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IPSIニュースレター2020年7月号
2020.07.15
IPSIニュースレター2020年7月号(日本語版)【IPSI事務局新メンバーの紹介、国連ハイレベル政治フォーラムでのサイドイベントの案内、ケーススタディの紹介、他】
7月も半ばになり、セミの鳴き声も聞こえ始めましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。令和2年7月豪雨で被災された皆様には心よりお見舞い申し上げますとともに、皆様の安全をお祈り申し上げます。
さて、2020年7月号のIPSIニュースレターをお届けします。日本語では概要のみご紹介しておりますので、詳細は本文をご覧ください。
1. IPSI事務局新メンバーの紹介
国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)の人事異動に伴い、IPSI事務局長にUNU-IAS新プログラム長の竹本明生氏が新たに就任しました。竹本氏は、2018年1月から2020年1月まで、地球環境ファシリティ(Global Environmental Facility:GEF)上級環境専門官として、気候変動や化学物質・廃棄物分野のGEFプログラムを担当していました。それ以前は、外務省経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development: OECD)日本政府代表部一等書記官やアジア太平洋地球変動研究ネットワーク(Asia-Pacific Network for Global Change Research: APN-GCR)事務局長、環境省地球環境局研究調査室長、同地球環境局国際担当参事官等を歴任しています。竹本氏は、1992年北海道大学理学部で修士号(地球物理)を取得、2010年茨城大学理工学研究科で博士号(工学博士:環境機能科学)を取得しています。
また、IPSI事務局次長には、UNU-IAS新プログラムコーディネーターの柳谷牧子氏が新たに就任しました。柳谷氏は、ランドスケープ生態学において学位を取得し、環境省で野生生物の取引や湿地生態系保全、海洋沿岸生態系の管理等、生物多様性の分野において広く活躍してきた他、最近までカナダ・モントリオールの生物多様性条約事務局にも出向していました。
この場を借りて、前事務局長の瀧口博明氏と前事務局次長の柴田泰邦氏に感謝の意を示すとともに、今後の益々のご活躍をお祈り申し上げます。
2.7月16日:国連ハイレベル政治フォーラムにおけるSATOYAMAイニシアティブに関するサイドイベント
現在開催中の「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)に関する国連ハイレベル政治フォーラム(High-Level Political Forum:HLPF)」において、「自然共生社会の実現に向けたSATOYAMAイニシアティブ:コミュニティ・ランドスケープ・シースケープを考慮した包括的なアプローチ」と題したサイドイベントが、7月16日に開催されます。本イベントは、日本時間21時~22時(ニューヨーク時間8時~9時)にオンラインにて実施され、どなたでも視聴可能です。
本イベントは、UNU-IAS、日本国環境省、コスタリカ環境省、国連開発計画(UNDP)、地球環境ファシリティ(GEF)小規模グラント・プログラム(Small Grants Programme: SGP)、地球環境戦略研究機関(Institute for Global Environmental Strategies:
IGES)、生物多様性条約事務局が主催し、各組織の長らがSATOYAMAイニシアティブやその関連課題について発表し、参加者らと対話を行います。ランドスケープアプローチに関する取組を世界の人々に知っていただく絶好の機会ですので、読者の皆様はぜひご参加ください。
イベントの詳細はこちらを、参加方法はこちら(英語)をご覧ください。
3.IPSIケーススタディワークショップ(オンライン)開催報告
2020年6月22日から26日まで、「SATOYAMAイニシアティブ主題レビュー(Satoyama Initiative Thematic Review:SITR)」第6巻の出版に向けた執筆者向けワークショップが、IPSI事務局および地球環境戦略研究機関(IGES)によりオンラインで開催されました。今年のテーマは、「社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)の様々な恩恵による社会変革(Transformative change through the multiple benefits of socio-ecological production landscapes and seascapes:SEPLS)」で、SEPLSの取組が生物多様性の保全以上の様々な恩恵をもたらし得ることを念頭に、参加者らはSEPLSの管理と社会変革の概念との関連について、IPSIの事例研究から得られた教訓を基に、議論を行いました。
SITR第6巻は、今年度中に出版予定です。
ワークショップの詳細は、こちら(英語)をご覧ください。
4.SBSTTA-24に向けたピアレビュー文書(草案)の公開およびコメント募集について
生物多様性条約(CBD)事務局は、新型コロナウイルス感染症の影響により、第24回科学技術助言補助機関会合(Subsidiary Body on Scientific, Technical and Technological Advice: SBSTTA-24)の開催を2020年11月初旬に再延期することを発表しました。SBSTTA-24で議論される予定の、ポスト2020年生物多様性枠組みの策定関連文書が、現在、ピアレビューのために閲覧可能です。本文書には、2020年以降の枠組みや2030年・2050年目標、その評価指標の草案も含まれています。IPSIの目指す「自然共生社会」の実現に貢献し得る強固な枠組みを策定するためにも、読者の皆様には、本ピアレビュープロセスにご参加いただき、草案へのコメントを提出することを強くお勧めします。
詳細は、こちら(英語)をご覧ください。
5.IPBES:テーマ別評価に関する外部レビューの実施について
「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(Intergovernmental Science-Policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services: IPBES)」は、現在、「生物多様性損失の根本要因、社会変革の決定要因、および生物多様性の2050年ビジョン達成に向けた選択肢(「社会変革」)」に関するテーマ別評価報告書に関するスコーピングレポート(骨子(章立て))の草案を外部評価のために公開しています。本外部評価は、テーマ別評価報告書で取り上げる政策課題を定義するプロセスの早い段階から政府と利害関係者を関与させることで、スコーピングレポートの政策的妥当性を高めることを目的としています。
これまでのIPBESの評価報告書や成果物には、生物多様性と生態系サービスへの取組を改善する有用なツールとして、すでにランドスケープアプローチが強調されていますが、引き続き、ランドスケープアプローチが世界の政策決定の場で積極的に影響を与え続けられるよう、読者の皆様もぜひ本レビュープロセスにご参加ください。
外部レビューは2020年8月28日まで実施されます。
詳細はこちら(英語)をご覧ください。
6.新刊紹介:地理学と学際性、そして持続可能性
IPSI運営委員のメンバーである、ジョージア大学地理学部新熱帯山岳学共同実験室のFausto Sarmiento氏とLarry Frolich氏により編纂された学術書「The Elgar Companion to Geography, Transdisciplinarity and Sustainability」が、Edward Elgar社より出版されました。エルガーのウェブサイトには、「本書は、一流の地理学者の貢献により、将来のシナリオを向上し、南北問題や都市格差について論じながら、学際的科学(必須地理学)の模範として、持続可能性について整理している。」と賛辞が贈られています。また、本書には、IPSI事務局シニアコミュニケーションコーディネーターのウィリアム・ダンバーと元職員の市川馨による「ランドスケープ・シースケープの持続可能性のためのSATOYAMAイニシアティブ」の章も含まれています。
詳細はこちら(英語)をご覧ください。
7.新メンバーの紹介:ビクーニャとラクダと環境(VICAM: Vicuñas, Camélidos y Ambiente)
先月のニュースレターでお伝えしたとおり、先般、新たに9団体がIPSIに加わり、その一つ、アルゼンチンのNGO「ビクーニャとラクダと環境(VICAM: Vicuñas, Camélidos y Ambiente)」を今月号ではご紹介します。
同団体は、気候的および経済的理由から危険にさらされているアンデス高地 (アルティプラノ)の牧畜(ほとんどがラマと羊)において、環境保護と生物文化遺産とを融合させる取組を行っています。アルティプラノでは、人々は日々の生活を維持向上させるため、乾燥環境下でラクダやその他の家畜を繁殖し、管理する方法を発展させてきました。そこで、同団体は、アンデスの地域住民とともに、野生のビクーニャの捕獲・毛刈り・解放の伝統的手法の復活や、伝統と文化の育成、アンデスの生態系と生物多様性の維持を進めてきました。同地域の牧畜システムは自然の植生を基盤としており、VICAMはその保全から取り組んでいます。
VICAMの詳細はこちら(スペイン語)をご覧ください。
8.ケーススタディ紹介:フィリピンの生態学的農業モデル(秀明インターナショナル)
日本のNPO秀明インターナショナルは、フィリピンのシエラマドレ熱帯雨林において、先住民の小規模農家の生計を改善し、地域生態系を保護するため、生態学的農業と持続可能な土地管理の有効性を検証するプロジェクトを実施しました。受益者には、農薬や添加物を使用せず、天然の在来種子から作物を栽培するための生態学的農業技術と伝統的知識を組み合わせた自然農法について、詳細な研修を実施した他、伝統的な薬草であるハイビスカス (Roselle) の栽培、加工、販売の技術支援も行いました。当初は、他の作物も対象としていましたが、地域住民は、Roselleが健康面で最も優れており、地域やその気候により適していることに気付きました。その結果、本プロジェクトの費用対効果の高い生態学的農業モデルを通じて、同地域の先住民 (デュマガット族)は、焼畑や森林伐採、化学肥料や農薬の使用抑制により、生態系をも保護する伝統的な植物栽培による、持続可能な生計戦略がもたらされました。
詳細はこちら(英語)をご覧ください。
本ニュースレターで共有を希望されるイベント等の情報がございましたら、IPSI事務局までご連絡ください。また、日本語の記事をお送りいただければ日本語版ニュースレターに掲載いたします。皆様からの情報提供をお待ちしております。
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SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)事務局
国際連合大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)
東京都渋谷区神宮前5-53-70
電話:03-5467-1212(代表)
E-mail: isi@unu.edu
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