SDM

第2回SDM2023プロジェクト開始ワークショップを開催

2024.01.29

2024117日、SATOYAMA保全支援メカニズム(SDM)事務局を務める、公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)と国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、SDM2023のプロジェクト開始ワークショップを開催しました。ワークショップでは、プロジェクトの実施者にSDMの実施と報告の手順について説明されたとともに、IPSIメンバー同士でプロジェクトを共有し、意見交換を行いました。

ワークショップ冒頭、三輪幸司氏(IGESポリシーリサーチャー/SDM事務局)は、2回目となるプロジェクト開始ワークショップの参加者を歓迎し、SDMの概要と報告手順について説明しました。SDM事務局と各実施団体のプロジェクトリーダーによる自己紹介の後、SDM2023で採択された5つの団体が各プロジェクトについて発表しました。   

Suranjan Kodithuwakku氏(グリーン・ムーブメント・オブ・スリランカ(GMSL)、スリランカ)は、GMSLがインドのM.S.スワミナサン研究財団と協力して、マンナール湾とパルク湾地域の持続可能な管理を目的に、生産者、パートナー、推進者、政策立案者、政治家を巻き込んだ5-Psプラットフォームを確立するために、ワークショップ、会議、漁村訪問などの一連のイベントを開催すると説明しました。インドとスリランカの間に位置するこの場所には、サンゴ礁、藻場、マングローブ林など、さまざまな絶滅危惧種が生息しています。

Supriya Kochar(IORAエコロジカル・ソルーションズ、インド)は、森林と農地がモザイク状に存在するサトプラ・メルガット・ランドスケープの長期的な保全と持続可能な管理のビジョンについて共有しました。その方策として、地元の人々と共に、包括的な「ランドスケープと生物多様性の管理・保全計画」を策定する他、知識共有のためのマルチステークホルダー・プラットフォームの構築や、コミュニティの生計向上のためのパイロットプロジェクトの実施を予定しています。

Siva Ramamoorthy氏(べロール工科大学(VIT)、インド)は、南インドのマライヤリ・コミュニティにおいて、生物多様性保全に貢献する聖なる森とSthala-vrikshasを保全・回復するプロジェクトについて概説しました。VITは、絶滅の危機に瀕している植物とその保全活動を記録し、絶滅危惧種を試験管内で保全するためのプロトコルを確立して、その植物を庭園で復活させる計画です。

Bibiana Vilá (ビクーニャとラクダと環境(VICAM)、アルゼンチン)は、2024年の国際ラクダ年を記念して、持続可能性のためにラクダ科動物の価値を高めることを目的に、コミュニティ協議会との知識の共同生産、紡績技術向上のための能力開発、生物多様性調査、持続可能なバリューチェーンの改善に焦点を当てた活動をすることを発表しました。

Yaw Osei-Owusu(コンサベーション・アライアンス・インターナショナル、ガーナ)は、アテワ・レンジ森林保護区を保護するために、資源管理とマーケティングにおける女性の地位向上や農業慣行の改善、荒廃地域の回復、変化を追跡するためのデータベースとGIS画像の開発を行うプロジェクトを紹介しました。

最後に、三宅里奈氏(IPSI事務局次長)は、昆明・モントリオール生物多様性枠組のターゲット3を達成するために、社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)と強く結びついている「保護地域以外で生物多様性の保全に資する地域(OECM)」を拡大していくことの重要性を強調しました。また、SDMプロジェクトが、活動のヒントを提供し、実行を促すことで、IPSIメンバー全員にとって価値のあるものであると述べました。

すべてのプロジェクトが終了に近づくと、プロジェクトの実施団体は、プロジェクト完了ワークショップで結果や経験、教訓を共有します

背景

SDMSATOYAMAイニシアティブを支援する活動をさらに推進するため、IPSIメンバーにシードファンドを提供するIPSI協力活動です。国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)、地球環境戦略研究機関(IGES)、環境省が2013年に共同で設立しました。SDM2022において枠組みが刷新され、プロジェクトあたりの助成額の増額や優先分野と昆明・モントリオール生物多様性枠組との整合性の強化の他、インセプション・ワークショップとプロジェクト完了ワークショップが導入されました。SDM2023では、26件の応募のうち5件が採択されました。詳しくはSDMウェブサイトをご覧ください。