IPSI定例会合

IPSI第4回定例会合の開催報告

2013.09.12

IPSI-4

第4回SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)定例会合が、福井県、環境省、IPSI事務局の主催で「生物多様性の保全と人間の豊かな暮らしの実現に向けたIPSI戦略の実施」をテーマに9月12-14日まで、福井県で開催されました。

今回のテーマがローカル目線と現場での活動に焦点をあてることでもあり、その一環として「里山ステイ」が福井県によって企画されました。地元の方々が家にIPSIメンバーを向かえ、メンバーたちは稲の収穫やお寺の訪問など、現地の生活を肌で感じる貴重な経験をしました。

9月12日にはエクスカーションが開催され、64人が越前市白山地区及び三方五湖周辺地区(若狭町及び美浜町)への視察を行いました。越前市白山地区では、コウノトリの野生復帰を目標として実施されている同地区の環境保全・里山振興の取組みが、また、三方五湖周辺地区では、湖の魚の水田への遡上の確保、シジミ生育環境の再生など、周辺地域の多様な主体が参加する自然再生の取組みが、それぞれ紹介されました。

R0010680

IPSI総会は9月13日に行われ、68団体の代表ら124人が出席しました。田中和德環境副大臣と西川一誠福井県知事が開会挨拶を行いました。総会ではIPSI戦略を実施に移すための行動計画が承認されました。また、次回会合(IPSI-5)を、生物多様性条約第12回締約国会合(COP12)にあわせ、2014年の10月4日及び5日、韓国の平昌(Pyeongchang)において開催する案が発表されました。IPSIのメンバーとして新しく承認された機関は以下のとおりです。

社会振興機関(インド)

IORAエコロジカル・ソルーションズ(インド)

環境保全情報センター(ウガンダ)

カマナ農工業開発協会(ペルー)

越前市(日本)

ビバモス・メホール生活改善機構(グアテマラ)

若狭町(日本)

山田兄弟製紙 株式会社(日本)

9月13日の午後から翌14日午前にかけて、「地域の視点からみた社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)の保全と活用における課題と可能性」をテーマに公開フォーラムが行われ、合計143人が参加しました。渡辺陽子氏(地球環境ファシリティー事務局上席生物多様性専門官)とワンジャ・ニンギ博士(ケニア湿地生物多様性研究チームコーディネーター)が共同議長を務めました。

Public Forum 2
公開フォーラムの冒頭、全体会合が開催されました。全体会合では、まず星野一昭環境省自然環境局長からの挨拶があり、COP10でのIPSI設立の経緯、そして来年開催されるCOP12に向けて、IPSI-4の開催意義と期待が表明されました。続いて、福井県におけるSEPLSの保全と持続可能な利用に取り組む専門家である関岡裕明氏(株式会社 環境アセスメントセンター敦賀事務所所長)より、県内における里山里海(湖)の経験と教訓に関する発表が行われました。その後、世界のSEPLS管理に関する各地域の体験と教訓の共有について、以下の5つのIPSIメンバーより先進的な活動が紹介されました。
· 環境と開発協会(JASIL)/イカンバイ・ヒジャバ氏
· ハワイ州農務省/ラッセル・コクブン氏
· ア・ロシャ・ガーナ/セス・アッピアークビ氏
· 自然及び持続可能な開発協会(ANDES)/アレハンドロ・アルグメド氏
· フォレスト・ピープルズ・プログラム/マウリツィオ・フェラーリ氏

Assembly
一連の先進事例の紹介に引き続き、メンバーは5つの分科会に分かれ意見交換と討議を行いました。IPSIメンバーの多くは、福井県が主催した里山ステイプログラムやエクスカーションへの参加を通じ、福井県内における地域の経験に基づいた新しい知見を得ていたことなどもあり、地域の視点や経験に基づいた活発な議論が行われました。

WG

ポスターセッションは2013年9月13日から14日にかけて行われました。IPSI部門(主に英語)に44点、福井部門(主に日本語)に53点、合計97点のポスターが出展されました。また、IPSIの協力活動の一環として、インクカートリッジ里帰りプロジェクト、福井県及び国連大学の協力によりSATOYAMAポスターアワードが実施され、参加者の投票により選ばれた受賞者への表彰式が、県民シンポジウムにおいて行われました。

Poster Session

また、9月13日には里山保全の全国組織となる「SATOYAMAイニシアティブ推進ネットワーク」が設立されました。西川福井県知事と谷本石川県知事が共同代表に就任され、副代表に国際自然保護連合日本委員会が任命されました。設立総会には、企業、民間団体、研究機関、行政など101の団体が参加しました。
2013年9月13日夜には、武内和彦国連大学上級副学長がモデレーターを務め、西川福井県知事と谷本石川県知事を招いて、日本における里山里海の保全に関する代表的な政治的リーダーとIPSIメンバーとの「SATOYAMAダイアローグ」が行われました。
西川知事からは、コウノトリを指標種とする持続可能な里山の管理やブランド化された無農薬米(「コウノトリ呼び戻す農法米」)の生産・流通、三方五湖における自然再生の取組み、IPSI-4を契機とした「里山里海湖研究所の設立」など、福井県の里山里海(湖)に関する積極的な取組みに関する発表が行われました。
谷本知事からは、能登地域の世界農業遺産(GIAHS)登録などを通じた里山里海の保全と持続可能な利用などに関する発表が行われ、その中で、里山里海に居住する住民の役割の重要性が強調され、ファンドの創設や民間企業との連携など、その支援のための新しいアプローチが紹介されました。

福井県ホームページhttp://www.pref.fukui.lg.jp/doc/kankyou/satoyama/result.html

環境省ホームページhttps://www.env.go.jp/press/press.php?serial=17142

福井新聞みらい・つなぐ・ふくいフェースブックhttps://www.facebook.com/mirai.tsunagu.fukui