8月23-24日に山梨県富士吉田市において、関係各国の政府・国際機関の関係者、研究者、専門家約80名の参加を得て「SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ準備会合 ~社会生態学的生産ランドスケープの推進を目指して~」を環境省、国連大学高等研究所(UNU-IAS)主催、生物多様性条約事務局(SCBD)共催で開催しました。本会合では、生物多様性条約(CBD)第10回締約国会議(COP10)で発足することとしている、上記パートナーシップの運営や活動内容等について議論を行いました。
【概要】
2010年8月23日-24 日
会場:山梨県富士吉田市 山梨県環境科学研究所 ホール
主催:日本政府環境省 (MOEJ)、国連大学高等研究所 (UNU-IAS)
共催:生物多様性条約事務局 (SCBD)
後援:山梨県
【目的】
本会合は以下3つの検討を目的として行われました。
[1]SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)の運営方法や活動内容等の検討
[2]COP10期間中におけるIPSIの発足式についての検討
[3]COP10におけるSATOYAMAイニシアティブ関連の決議案についての検討
【議題】
◇8月23日
セッション1:IPSIの運営方法及び活動内容
議題1: IPSI運営規定の案についての検討
議題2: IPSIの協力活動
◇8月24日
セッション2:COP10とその後に向けた戦略的取組
議題3:COP10におけるIPSI発足式
議題4:COP10におけるSATOYAMAイニシアティブ関連の決議案についての意見交換
【議論の概要と成果】
◇1日目:IPSIの運営方法及び活動内容 午前中は、IPSIの運営規定案について検討を行いました。
議論の中では、
・IPSIに地域住民や先住民を参画させていくことの重要性、
・IPSIへの参加要件として事例の提出は有効だが、しかし地域住民等による事例作成に当たっては能力面・言語面での支援が必要であること、
・IPSIの円滑な運営を図るため、総会における意思決定の範囲や制度、開催頻度について、さらなる検討が必要であること、
・運営委員会のメンバーの選出や交代等の手続き事項に関し、民主的な制度及び継続性の担保の必要性、
・継続性やこれまでのSATOYAMAイニシアティブへの貢献から、事務局は当面の間は国連大学高等研究所が担うのが適当であること、
・生物多様性条約の関連プログラムとの連携の必要性、
・SATOYAMAイニシアティブの関連活動に係る資金動員戦略等の検討の必要性、
等が指摘されました。
・また、IPSIの想定される5つの活動分野(知見の集積・普及、政策研究、指標研究、能力開発、現地活動支援)については、それらが横断的で相互に関係があることの認識の重要性等について指摘されました。
午後は、国連大学高等研究所、国連大学サスティナビリティと平和研究所、国連環境計画(UNEP)、バイオバーシティ・インターナショナル、国連地域開発センター(UNCRD)、地球環境ファシリティ(GEF)、国連開発計画(UNDP)、クリティカル・エコシステム・パートナーシップ基金(CEPF)、コンサベーション・インターナショナル(CI)の発表者により、各機関・各組織がIPSIに対してどのような協力活動を行えるのかについての発表が行われ、各団体・各機関において、IPSIと共通する考え方や、IPSIの活動となり得る活動が多くあることが共有されたほか、
・自然資源の管理にあたっては、多様な主体の参加を得た地域での活動が重要であり、またそうした活動にあたっては、伝統的知識と科学的知見を融合した新たなイノベーションにつなげていくことが必要であること、
・関係者の能力開発の重要性、
・GEFのスモールグラントプログラム並びにCEPF等のプログラムやイニシアティブの経験から学び、連携を強化することにより、相乗効果を促進すること、
等が指摘されました。
◇2日目:COP10とその後に向けた戦略的取組
COP10期間中に予定している、IPSIの発足式の内容、進め方について検討を行い、開催の時期や、プログラム構成、効果的な広報戦略、運営規則の承認に向けた段取りなどについての認識が共有されました。
また、SATOYAMAイニシアティブ関連の決議案に関する意見交換を行い、修正点や進め方に関する留意点が指摘された他、SATOYAMAイニシアティブに対する理解を得るためにCOP10に向けてさらなる働きかけが必要であるとの認識が共有されました。
◇全体概要
本会合結果、運営規定はほぼ合意され、COP10に向けてIPSIの立ち上げに向けた準備を早急に進めることとなりました。
本会合での配布資料、発表資料、プログラム、議長総括、運営規定及び同補則文書は、こちらのページからダウンロードできます。
[会議の様子]
[参加者による現地のSATOYAMA視察]
議事概要
議長総括(仮訳)
関連資料
参加者リスト(仮訳)
成果物
[最終決定文書] 運営規定(仮訳)
[最終決定文書] 運営規定(英)
[最終決定文書] 運営規定補足文書(英)
プログラム(仮訳)
審議資料
議題1:IPSI運営規定(英)
議題2:IPSIの協力活動(仮訳)
議題3:COP 10におけるIPSI立ち上げ式典(英)
議題4:COP10におけるSATOYAMAイニシアティブ関連の決議案について(英)
報告資料
UNU-IAS Proposal of Activities under Cluster 1: Knowledge Facilitation
国連大学高等研究所(UNU-IAS) ダウンロード
Agricultural Biodiversity Conservation and Man and Biosphere Reserves
バイオバーシティインターナショナル ダウンロード
Contributed Brief for the Discussion on Collaborative Activities of the IPSI
エコアグリカルチャー パートナーズ ダウンロード
Knowledge Facilitation for the Satoyama Initiative (英)
国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC) ダウンロード
Activity proposal Satoyama Initiative (英)
国際竹籐組織(INBAR) ダウンロード
IPSI運営規定案
国連大学高等研究所(UNU-IAS) ダウンロード
プレゼンテーション
Collaborative Activities of the International Partnership for the Satoyama Initiative
中尾文子(国連大学高等研究所フェロー) ダウンロード
UNU-IAS and International Satoyama Initiative
ゴヴィンダン・パライル(国連大学副学長 兼 国連大学高等研究所所長) ダウンロード
Proposed Activities for Knowledge Facilitation and Policy Research
武内和彦(国連大学副学長 兼 国連大学サスティナビリティと平和研究所所長) ダウンロード
UNEP’s Potential Contribution
アルフォンス・カンブー(国連環境計画環境法・条約生物多様性及び土地に関する法律・ガバナンス課プログラムオフィサー) ダウンロード
Conserving Biodiversity in Agrarian and Natural Landscapes: Developing and applying global indicators of social and ecological integrity and well-being of mosaic landscapes rich in biodiversity
パブロ・エイザギレ(バイオバーシティ・インターナショナル 上席科学官) ダウンロード
Biodiversity, Human Security and Regional Development: Partnership with the Satoyama Initiative
市川和佳子(国連地域開発センターコンサルタント) ダウンロード
GEF Mainstreaming Biodiversity into Production Landscapes/Seascapes and Sectors
渡辺陽子(地球環境ファシリティ プログラムマネジャー兼上席生物多様性専門家) ダウンロード
Providing support for on-the-ground projects and activities to maintain, rebuild and revitalize socio-ecological production landscapes.
ジョン・ワトキン(クリティカル・エコシステム・パートナーシップ基金無償資金課長) ダウンロード
Activities of CI: Science, Demonstration, Amplification
日比保史(コンサベーション・インターナショナル アジアポリシー・バイスプレジデント 兼 日本プログラム代表) ダウンロード