2022年3月24日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、スイスのジュネーブでの生物多様性条約(CBD)会合でサイドイベントを共催し、「地域をベースとするその他の効果的な保全手法(OECMs)」の指定と管理における社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)の可能性について議論しました。
OECMの政策プロセスに貢献するために、UNU-IASとコンサベーション・インターナショナル(CI)は、ランドスケープ管理に関する長年の経験から情報とアイデアを収集し、得られた教訓をOECMの指定と実施に適用するプロジェクトを開始しました。 ウィリアム・ダンバー氏(CI・プロジェクトマネージャー)は、ランドスケープ・アプローチを、あらゆる景観と利害関係者がつながっているとみなす地域ベースの保全コンセプトとして定義し、2022年2月にUNU-IASとCIが開催した専門家対話の結果を発表しました。この対話セッションは、貿易から文化まで広範にわたり、かつ地域や先住民のコミュニティのランドスケープ管理への認知を高める、連結されたシステムとしてのOECM特別な要素についての洞察を生み出しました。
UNU-IASのスニータ・サブラマニアン研究員は、ジュネーブ会合においてOECMsをポスト2020生物多様性枠組(GBF)に統合するにあたっての課題、機会、および重要性に焦点を当てたパネルディスカッションの司会を務めました。
ステファン・ウッドリー氏(IUCN)は、OECMsとして指定された地域は、重要な生物多様性の価値を持ち、その生物多様性を保護するために効果的に管理されなければならないことを指摘しました。国連開発計画(UNDP)のテレンス・ヘイ・エディ氏は、統合的にランドスケープを管理していくことを通じて自然と調和した社会を実現するためのグローバルな取り組みである国際SATOYAMAイニシアティブにおけるUNDPとUNU-IASの協力を強調しました。この共同活動には、OECMsとしての可能性を測定するための、さまざまな国における社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)の持続可能性と制度化の分析が含まれています。
登壇者らは、先住民や地域コミュニティによる効果的なランドスケープ管理に注目し、ポスト2020生物多様性世界枠組(GBF)に彼らのガバナンスを含めることの重要性を強調しました。国連貿易開発会議(UNCTAD)のリカ・ササキ氏は、UNCTADによる持続可能な貿易と投資を促進するためのプログラムであり、ガイドラインを設定する際に地域の状況を考慮するバイオトレード・イニシアチブ(BioTrade Initiative)について話しました。世界の生物多様性ユースネットワーク(GYBN)の ミルナ・フェルナンデス氏は、GBFにガバナンスの側面を含めなければ、保全活動に不平等が生じると指摘しました。Women4Biodiversityのムリナリニ・ライ氏は、ランドスケープ・アプローチとOECMsは、女性とユースを含むあらゆる人々を包摂しなければならない、と付け加えました。
また、参加者たちは、確立されたランドスケープ管理システムは、能力と法的保護のギャップを埋めるために支援されるべきであり、生物多様性を保護して気候変動を緩和するためには社会変革が必要である、と結論付けました。
本イベントは、生物多様性条約第24回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA-24)と並行して、UNU-IAS、コンサベーション・インターナショナル(CI)、国連貿易開発会議(UNCTAD)、日本環境省、および国際自然保護連合(IUCN)によって開催されました。