IPSIニュースレター2019年11月号

2019.11.25

IPSIニュースレター201911月号(日本語版)ポスト2020生物多様性枠組最新情報地球規模評価報告書の政策決定者向け要約、新規IPSIメンバー紹介、他

 
 皆様いかがお過ごしでしょうか。201911月号のIPSIニュースレターをお届けします。日本語では概要のみご紹介しておりますので、詳細は本文をご覧ください。






1.ポスト2020生物多様性の枠組み・目標の最新情報

 2011年から2020年までの「国連生物多様性の10年」、「生物多様性戦略計画2011-2020」及び愛知目標の終了を来年末に迎えるにあたり、生物多様性条約では、2021年以降の世界的な生物多様性政策の指針となる「ポスト2020生物多様性枠組」の策定プロセスに着手しています。さまざまな文書や報告書の作成・提出が呼びかけられているほか、プロセスを議論するための作業部会も設置され、多くの協議やワークショップが開催されています。

 IPSI事務局とIPSIパートナーはこのプロセスに大きく貢献し、できるかぎり多くのイベントに積極的に参加してきました。IPSI事務局は20199月に「ポスト2020の生物多様性枠組のためのランドスケープ・アプローチに関するテーマ別専門家ワークショップ」を熊本市で開催し、さらに同事務局スタッフは以下のイベントにも参加しました。
 
 また、本ニュースレター執筆時は以下のイベントに出席しています。

 さらに、2019年中に以下のイベントにも参加する予定です。
 これらの全てのイベントにおいて、IPSI事務局はIPSIパートナーとともに、SATOYAMAイニシアティブのコンセプトとランドスケープ・シースケープ・アプローチの推進に努めており、次の10年以降も「自然共生社会」の実現に貢献すべく努めてまいります。

 

2.生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES地球規模評価報告書の政策決定者向け要約確定版の公表

 生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)は、「生物多様性と生態系サービスに関する地球規模評価報告書」の政策決定者向け要約(本年5月に承認・公表)の最終版を発表しました。本報告書は、政府間機関でほぼ15年ぶりに行われた、自然と自然の恵みの現況と傾向、変化の直接的・間接的要因、そして何より、すべての人々がより良い未来に向けてとれる行動を提示したものです。国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、IPBESIPSIネットワークから得た知見の共有を含め技術的支援を提供する協定を結んでいます。本報告書は、生物多様性保全全般、特にポスト2020生物多様性枠組の策定プロセスに重要な資料となりますので、ぜひご一読ください。

 本要約は、IPBESのウェブサイト(英語)からご覧いただけます。

 

3.シンポジウム「自然共生社会の実現に向けた社会変革~IPBES地球規模評価を踏まえて次期生物多様性世界目標を考える~」の開催

 2019年1221日(土)、東京大学にてシンポジウム「自然共生社会の実現に向けた社会変革」が環境省と公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)の共催により開催されます。本会合はIPBESが公表した地球規模評価で、生物多様性の課題解決における社会変革(transformative change)の必要性が指摘されていることを踏まえて開催されるもので、IPBES地球規模評価報告書の解説、社会変革についての専門家によるパネルディスカッション、自然共生社会の実現に関する参加者によるグループディスカッションを通じて、生物多様性に必要な社会変革と一般市民ができることについて考えます。参加は無料で、事前申込(1219日〆切)が必要です。

 イベントの詳細およびお申込みは、環境省のウェブサイトよりご確認ください。

 

4.新規IPSIメンバー紹介:環境保護保全団体 (EPCO)

 環境保護保全団体(Environmental Protection & Conservation OrganisationEPCO)は、1987年に設立された非政府組織であり、地球環境ファシリティ(GEF)のCSO(市民社会組織)ネットワーク、および西インド洋海洋科学協会(WIOMSA)のメンバーでもあります。201312月以来、国際自然保護連合(IUCN)のメンバーで、2014年には地球市民社会の防災ネットワーク(GNDR)の南部アフリカを代表する理事となりました。
 主な取り組みに、以下があります。

 1. 啓発活動–災害リスク低減/気候変動
 2. 小・中学校との教育キャンペーン
 3. イベント管理と運営-世界環境デー/世界湿地の日
 4. 幅広い環境問題(気候変動、海洋生態系、環境意識)に関するワークショップ
 5. 貧困救済プロジェクト/コミュニティベースのプロジェクト
 6. 科学的・技術的プロジェクト
 7. データ収集 海岸の監視、カタツムリ回収プロジェクト、脆弱性指標
 8. 企業の社会的責任プロジェクト
 9. 環境管理に関するコンサルティング
 10. インターンシップ/ボランティアプログラム
 11. 手作り/リサイクル工芸品(「Made in Heaven」)

 EPCOはまた、さまざまな国際会議や能力開発ワークショップにも参加しており、IPSI協力活動「GEF-SATOYAMAプロジェクト」のパートナーでもありました。

 詳細は、 EPCOのウェブサイトをご覧ください。

 

5.ケーススタディ紹介:国際アグロフォレストリー研究センター

 IPSIメンバーの国際アグロフォレストリー研究センターより、「From payment to co-investment for ecosystem services: Stewardship and livelihood improvement in the Lake Naivasha agro-production landscape, Kenya」 と題したケーススタディが提出されました。ナイバシャ湖はラムサール条約湿地であり、その上流域は、国立公園、森林保護区、小規模農地で構成され、ナイバシャ湖と周辺コミュニティへの重要な水源です。しかし、持続可能でない農業慣行による上流集水域の土壌劣化で農業生産性が低下しました。また水質汚濁・汚染により、上流域の先住民の生活と食料安全保障の著しい低下や、下流域の水量・水質の低下がみられ、湖の持つ社会経済および文化活動を支える生態学的ポテンシャルが脅かされています。そのため、複数のNGOが政府機関、地域コミュニティ、民間セクターと協力し、上流の小規模農家と下流の民間投資家をそれぞれ生態系サービスの提供者と受益者として結び付けるPES(生態系サービスへの支払い)スキームを開始しました。この事例では、生活と環境保全に対するPESの効果を分析しました。生態系サービスの維持と地元住民の生活向上に係るインセンティブツールとしてのPESスキームの構築においては、実行可能性調査、農業生産性の向上による利益、関係者のPESへの参加意欲が、どれも極めて重要な役割を果たしていることが明らかになりました。

 ケーススタディの詳細は、こちら(英語)をご覧ください。

 

 なお、本ニュースレターで共有を希望されるイベント等の情報がございましたら、IPSI事務局までご連絡ください。また、記事は日本語版ニュースレターのみの掲載も可能です。皆様からの情報提供をお待ちしております。

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SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)事務局
国際連合大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS
東京都渋谷区神宮前5-53-70
電話:03-5467-1212(代表)
E-mail: isi@unu.edu
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