IPSIメンバーの国際アグロフォレストリー研究センターより、「From payment to co-investment for ecosystem services: Stewardship and livelihood improvement in the Lake Naivasha agro-production landscape, Kenya」 と題したケーススタディが提出されました。ナイバシャ湖はラムサール条約湿地であり、その上流域は、国立公園、森林保護区、小規模農地で構成され、ナイバシャ湖と周辺コミュニティへの重要な水源です。しかし、持続可能でない農業慣行による上流集水域の土壌劣化で農業生産性が低下しました。また水質汚濁・汚染により、上流域の先住民の生活と食料安全保障の著しい低下や、下流域の水量・水質の低下がみられ、湖の持つ社会経済および文化活動を支える生態学的ポテンシャルが脅かされています。そのため、複数のNGOが政府機関、地域コミュニティ、民間セクターと協力し、上流の小規模農家と下流の民間投資家をそれぞれ生態系サービスの提供者と受益者として結び付けるPES(生態系サービスへの支払い)スキームを開始しました。この事例では、生活と環境保全に対するPESの効果を分析しました。生態系サービスの維持と地元住民の生活向上に係るインセンティブツールとしてのPESスキームの構築においては、実行可能性調査、農業生産性の向上による利益、関係者のPESへの参加意欲が、どれも極めて重要な役割を果たしていることが明らかになりました。
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