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IPSIニュースレター2020年6月号
2020.07.01
IPSIニュースレター2020年6月号(日本語版)【IPSI運営委員会開催報告、SDM公募開始のご案内、オンライン講演参加報告、他】
日本では、新型コロナウイルス感染拡大に伴う活動制限も緩和され、「新しい日常」が始まりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。2020年6月号のIPSIニュースレターをお届けします。日本語では概要のみご紹介しておりますので、詳細は本文をご覧ください。
1.新規IPSIメンバーの紹介
5月下旬に持ち回り(オンライン)で開催されたIPSI運営委員会で新たに9団体がメンバーに承認されました。これにより、IPSIメンバーは合計267団体になりました。新規加入メンバーは以下のとおりです。
- 生物多様性保全推進団体(Advocates for Biodiversity Conservation:ABC-Ghana)【NGO、ガーナ】
- オーストリア科学アカデミー 山岳調査学際研究所(Austrian Academy of Sciences, Institute for Interdisciplinary Mountain Research)【学術研究機関、オーストリア】
- 琵琶湖とつながる生きもの田んぼ物語推進協議会(The Council of Promoting Biodiversity in Rice Paddies Connected to Lake Biwa)【その他(自治体及び多様な主体の協働事業)、日本】
- ニルマニー開発財団(Nirmanie Development Foundation:NDF)【先住民・コミュニティ団体、スリランカ】
- PEDAインターナショナル(People Empowering & Development Alternatives(PEDA)International) 【企業、パキスタン】
- スガンティ・デバダソン海洋研究所(Suganthi Devadason Marine Research Institute:SDMRI)【NGO、インド】
- 台湾景観環境協会(Taiwan Landscape Environment Association:TLEA)【NGO、台湾】
- べロール工科大学(Vellore Institute of Technology)【学術研究機関、インド】
- ビクーニャとラクダと環境(VICAM: Vicuñas, Camélidos y Ambiente)【NGO、アルゼンチン】
新規加入メンバーは、各地域におけるIPSIのプレゼンスを向上させ、IPSI活動の更なる発展につながると期待されます。IPSI事務局は、今後もSATOYAMAイニシアティブを一層推進するため、皆様と緊密に連携していきたいと考えています。
2. 新規IPSI協力活動の紹介
IPSI協力活動は、2団体以上のIPSIメンバーが協働して実施する活動で、IPSI運営委員会によって承認されます。今回の運営委員会で、新たに4件の活動が承認され、合計52件になりました。新規協力活動は以下のとおりです。
- 台湾生態学ネットワーク(TEN)に沿ったSATOYAMAイニシアティブ台湾パートナーシップ(TPSI)の主流化(Mainstreaming of Taiwan Partnership for the Satoyama Initiative (TPSI) in line with Taiwan Ecological Network (TEN))
- SATOYAMAの新たな未来:文化的景観を維持するための政策と実践の革新(New Futures for Satoyama: Innovation in Policy and Practice to Sustain Cultural Landscapes)
- 山岳研究に関する国際シンポジウム:SATOYAMA山岳景観(International Symposium on Mountain Studies: Satoyama Mountainscapes)
- マングローブ関連製品を通じたくらしの多様化のためのコミュニティの能力強化(Enhancing Community Capacity for Livelihood Diversification through Mangrove Forest-based Products)
IPSI協力活動は、各取組への関心を高め、パートナーシップとしてのIPSIの機能を向上させるとともに、知識の共有を通じてSEPLS管理の向上を図る良い機会です。IPSI協力活動となる可能性の取組がある場合は、IPSI事務局までご連絡ください。
3.【受付中】SATOYAMA 保全支援メカニズム(SDM)2020事業プロポーザルの募集
SATOYAMA保全支援メカニズム(SDM)は、IPSI協力活動として2013年に公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)、環境省(MOEJ)、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)が共同で設立しました。SDMは、毎年IPSIメンバーからプロジェクトを公募し、採択したプロジェクトに対して1件あたり最大1万米ドルの資金協力を行っています。SDM事務局では2020年のSDMプロジェクトの応募受け付けを開始しました。締め切りは8月14日です。
詳細は、SDMウェブサイト(英語)をご覧ください。また、応募に関するご質問等は、SDM事務局(sdm@iges.or.jp)までご連絡ください。
4.国連海洋会議2020に向けた準備イベント参加報告
2020年の国連海洋会議(正式名称「持続可能な開発目標14(持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する)実施支援2020年国際連合会議」)は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行のため、開催が延期となりましたが、多くの準備イベントが、6月8日の世界海洋デーとその前後で、オンラインで開催されました。6月3日の講演会「海洋活動の機運維持:アジア太平洋ステークホルダーの参加と関与(Keeping the Momentum for Ocean Action: Asia-Pacific Stakeholder Participation and Engagement)」では、IPSI事務局の研究員イヴォーン・ユー博士が、総合的な沿岸管理のためのランドスケープ・シースケープアプローチの重要性と、SATOYAMAイニシアティブが陸と海のつながりを向上させ、海洋汚染から生物多様性や気候変動まで様々な問題の解決に役立つ可能性について発言しました。
IPSIメンバーの皆様には、シースケープに関する懸念や関心事項について共有いただきたく、パートナーシップとして海洋や沿岸の生物多様性に関して何をすべきか、ぜひIPSI事務局までご意見、ご提案をお寄せください。
イベントの詳細は、こちら(英語)をご覧ください。また、録画映像は、こちら(英語)からご覧いただけます。
5.世界環境デー、SEAMEO・UNESCO共同オンラインセミナー参加報告
世界環境デーの6月5日、東南アジア教育大臣機構(SEAMEO)事務局及びユネスコ(UNESCO)の共催で開催されたオンラインセミナー「新型コロナウイルスの生物多様性への影響:科学教育の再考(COVID-19 Effects on Biodiversity: Science Education Reimagined)」にて、IPSI事務局の研究員イヴォーン・ユー博士が基調講演を行いました。ユー博士は「生物多様性と健康、教育を通じた社会変容(Biodiversity for One Health: Making Transformative Change through Education)」と題した講演の中で、SATOYAMAイニシアティブについて説明し、現在の新型コロナウイルス感染症の世界的大流行は、人間の暮らしが自然と調和していないことに起因するとし、自然との健全な関係を再構築し、人間の健康を確保するには、地域レベルから地球規模まで、すべての利害関係者とコミュニティを含めた全社会的なアプローチが必要であると指摘しました。
オンラインセミナーの詳細は、こちら(英語)をご覧ください。また、録画映像はこちら(英語)からもご覧いただけます。
6.論文紹介:SDGsのローカライゼーションから得られた教訓
IPSIメンバーであるアメリカ自然史博物館生物多様性・保全センター(the American Museum of Natural History’s Center for Biodiversity and Conservation:CBC)の職員らによる論文が、学術誌Sustainability Scienceに掲載されました。
本論文によれば、世界中で持続可能な開発を実現するためには、多面的かつ分野横断的な取組と視点が必要です。世界的な目標の設定により、多様なスケールの優先事項と行動指針が提示され、これらの達成に向けた財源の割り当てやプログラムの実施を通じて、地域レベルでの連鎖的な効果を生み出します。本研究では、国連の持続可能な開発目標 (Sustainable Development Goals: SDGs) と、太平洋諸島全体における社会生態学的なレジリエンス(強靭性)の要素を含む地域の福利的側面とを体系的に比較することで、人間の福利と環境の健全性を高め、世界的な目標をローカライズ(各地域に適用)する方策を探求しています。その中で、太平洋地域では、福利に関する地域的概念と地球規模の目標であるSDGsとの間に部分的な一致はあるものの、明らかな乖離があることも示されました。世界的な持続可能性計画の中で、地域に根差した価値を考慮する余地を残すことは、世界的な目標達成に必要な社会変革をもたらすことにもつながると結論付けられています。
論文はこちら(英語)からご覧いただけます。また、IPSI協力活動を通じて開発された「SEPLS におけるレジリエンス指標」も掲載されている、CBCの情報サイト(英語)もぜひご覧ください。
7.【受付中】国連大学短期集中講座のお知らせ
UNU-IASは、サステイナビリティ・地球変動・国際開発プロジェクトをテーマにした4週間の短期集中講座を、毎年実施しています。プログラムは英語で実施され、開講期間は2020年9月1日~29日です。この講座では、地球規模の問題をグローバルな視点から理論と実践の両面において分析するための知識とスキルを提供します。専門の異なる大学院生や、さまざまな専門職に従事している方も申し込み可能です。プログラムの詳細・コースの内容・応募資格はこちらをご確認ください。応募締切は2020年7月10日(金)です。多くの方からのご応募をお待ちしております。また、お知り合いにも是非ご案内ください。
8.【受付中】IPBES:先住民や地域住民の知識に関する情報の募集
「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学–政策プラットフォーム(Intergovernmental science-policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services:IPBES)では、現在、先住民や地域住民の知識に関する情報・意見の提供を呼びかけています。資料は、現在IPBESが行っている3つの評価報告書(野生種の持続可能な利用、自然の多様な価値の概念化、侵略的外来種)のうち、いずれか1つ以上の評価に関するコミュニティ基盤の知識、実践、価値、ニーズ、経験を示すもので、言語は問いません。また、IPBES事務局は、査読者あるいは執筆者として評価報告書の作成に寄与し得る個人、コミュニティ、組織、ネットワークの推薦も歓迎しています。
詳細は、こちら(英語)をご覧ください。
本ニュースレターで共有を希望されるイベント等の情報がございましたら、IPSI事務局までご連絡ください。また、日本語の記事をお送りいただければ日本語版ニュースレターに掲載いたします。皆様からの情報提供をお待ちしております。
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SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)事務局
国際連合大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)
東京都渋谷区神宮前5-53-70
電話:03-5467-1212(代表)
E-mail: isi@unu.edu
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