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IPSIニュースレター2020年10月号
2020.10.29
IPSIニュースレター2020年10月号(日本語版)【SDM2020プロジェクト採択結果、他】
秋も深まり、夜寒を覚えるようになりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。新型コロナウィルス感染症の流行がなかなか収まらないため、IPSI事務局は在宅勤務を続けてはいるものの、「自然と調和する社会」に向けたランドスケープ・シースケープ・アプローチに関連する様々なプロジェクトや活動に積極的に取り組んでいます。皆様も引き続き健康と安全に留意してお過ごしください。
さて、2020年10月号のIPSIニュースレターをお届けします。日本語では概要のみご紹介しておりますので、詳細は本文をご覧ください。
1.SDM2020プロジェクト採択結果
SATOYAMA 保全支援メカニズム(SDM)は、2013年に設立されたIPSI協力活動のひとつで、社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)の保全と持続可能な利用の優良事例となり得るIPSIメンバーによるプロジェクトに、資金援助を行っています。2020年度は、下記6プロジェクトが採択されました。
・ 農村開発促進組織 (ARDO) 【NGO・ガーナ】
“Transforming rice production along the Weto range towards sustainable socio-ecological services”
・ 中国科学院農業政策研究センター・UNEP国際生態系管理パートナーシップ(UNEP-IEMP)【学術研究機関・中国】
“Strengthen partnerships and scaling up living model of using SEPLS in community-based agrobiodiversity enhancement and livelihood security for adapting to changes and crisis”
・ 環境保護保全団体 (EPCO) 【NGO・モーリシャス共和国】
“Enhancing socio-ecological production landscapes & seascapes at ‘Riviere du Cap’ wetlands to reduce pressure on the marine ecosystem in Mauritius”
・ 国立東華大学 【学術研究機関・台湾】
“Development of locally-sensitive indicators of resilience as a tool for adaptive landscape management in Taiwan’s SEPLS”
・ ニルマニー開発財団 (NDF)【先住民、コミュニティ団体・スリランカ】
“Recognizing Kandyan Forest Home Gardens (KFHGs) of Sri Lanka as Socio-ecological Production Landscape”
・ ビクーニャとラクダと環境 (VICAM) 【NGO・アルゼンチン】
“Altiplano, Jujuy Province, NW Argentina”
SDMの詳細は、IGESのウェブサイト(英語)をご覧ください。SDMの申請については、SDM事務局(sdm@iges.or.jp)へ直接お問い合わせください。
2.ISAP2020 テーマ別会合「SATOYAMAイニシアティブと社会変革~自然共生社会の実現に向けて~」
2020年11月12日16:30-18:00(日本時間)、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)のIPSI事務局と地球環境戦略研究機関(IGES)は、「持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム(ISAP) 2020において、オンラインセッション「SATOYAMAイニシアティブと社会変革―自然共生社会の実現に向けて―」を、日本国環境省の協力のもと共催します。本セッションは、SATOYAMAイニシアティブが推進しているSEPLSの概念が、「自然共生社会」の実現に向けた社会変革にどのように貢献できるかに焦点を当て、特にポストコロナの新たな現実を踏まえて、議論を行います。IPSI事務局の研究員である西麻衣子は、「SEPLSの管理からの教訓とポストコロナ時代の社会変革に向けた示唆(Lessons learned from managing SEPLS and their implications for transformative change in the post-COVID19 era)」というテーマで発表を行い、シニア・コミュニケーション・コーディネーターのウィリアム・ダンバーが、SEPLSの概念と、ポストコロナ時代へのその適用可能性、およびポスト2020生物多様性枠組への教訓を話し合うためのディスカッションで、モデレーターを務めます。
詳細は、ISAP2020のウェブサイトをご覧ください。
3.2020年10月29日開催 グローバル・ランドスケープ・フォーラム セッション「Seizing the landscape opportunity to catalyse transformative biodiversity governance」
2020年10月29日(木)18:15~19:45(日本時間)、SATOYAMAイニシアティブからのSEPLSの視点を盛り込んだセッション「Seizing the landscape opportunity to catalyse transformative biodiversity governance」が、グローバル・ランドスケープ・フォーラム (GLF)生物多様性デジタル会議の一環として開催されます。本イベントは、オランダ環境評価庁( P B L)が、IPSI事務局を運営するUNU-IASなどのパートナーと共同で開催し、生物多様性条約(CBD)のポスト2020生物多様性枠組(GBF) を支援するために、非国家主体が実施しているランドスケープ・アプローチとその組立てが担う取り決め役割に焦点を当て、政策がそれをどのように支援できるかを議論し、地域ベースの非国家主体のGBFへのコミットメントと検証の可能性を示していきます。
本イベントの登録方法などの詳細は、Global Landscapes Forumのウェブサイト(英語)をご覧ください。
4.地球規模生物多様性概況第五版(GBO-5)の公表
地球規模生物多様性概況(GBO)は、生物多様性、特に愛知目標の進捗状況や傾向について、生物多様性条約が定期的に公表している報告書です。最近公表された生物多様性概況第五版(GBO-5)は、「地球規模での生物多様性の損失は警戒すべきペースで進んでいるが、要となる幾つかの遷移を経て、持続可能な道筋へ舵を切ることは可能である」と結論付けられています。また、本報告書の中に、ランドスケープ・アプローチが頻出していると共に、SATOYAMAイニシアティブは、愛知目標7(持続可能な農業、水産養殖業、林業)の模範例として具体的に言及されています。GBOには、生物多様性戦略計画2011-2020の進捗に基づく多くの情報が含まれており、今後数年間、政策立案の基礎資料となります。
本報告書の概要要約および全文は、こちら(英語)よりダウンロード可能です。
5.「自然と未来のシナリオとモデルに関するIPBESワークショップ」専門家推薦募集
生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)では、「自然と未来のシナリオとモデルに関するIPBESワークショップ」に参加する専門家の推薦を受付中です。IPBESのシナリオとモデルに関する特別委員会の作業の一環として開催される本ワークショップでは、「自然と未来の枠組み」の草案および自然・人々にとって新しく、望ましい未来のシナリオを策定するために役立つ方法論的ガイダンスを作成します。本ワークショップは、2021年1月12日~15日にオンラインで開催予定で、状況に応じて2021年後半に対面会議も行われる予定です。
本ワークショップ、および推薦プロセスに関する詳細は、IPBESのウェブサイト(英語)をご覧ください。
6.ケーススタディ紹介:サンティアゴ・デ・コンポステーラ大学高等技術専門学校(EPS)
今月は、IPSIメンバーであるスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ大学高等技術専門学校のECOAGRASOCプロジェクトのケーススタディ「Enhancing communication and co-learning in socio-ecological landscape management through elicitation of local communities’ visions and values」をご紹介します。本ケーススタディは、SATOYAMAイニシアティブ主題レビュー第五巻にも掲載されています。
シストラル山脈は、スペイン・ガリシア自治州の北部にある山岳地帯です。豊富な降水量、風、霧を特徴とする大西洋の海洋性気候が、広大な湿地と沼地から成るランドスケープの形成を創成している当該地域は、「共同森林地帯(MVMC)」という特異な所有形態となっています。管理アプローチおよび共有地から得られる利益の両方に関する決定は、MVMCコミュニティ会合で行われます。地域社会のビジョンと価値観は、意思決定プロセスに不可欠であり、天然資源の管理とランドスケープの構成に大きな影響を及ぼします。
EUが出資するプロジェクト「LIFE in Common Land」は、11のMVMCが参加して、シストラル山脈で進められました。その目的には、保全の成果に対する支払いなどのインセンティブを含む、優先生息地の保護のための管理アプローチの開発が含まれます。地域社会から情報を得るための定性的アプローチも開発され、その結果、地域社会が認識する自然や生態系の特性が、多くの場合、環境保全機関が価値を見出しているものとは異なることが明らかとなりました。さらに、地域構成員の場所の感覚と環境への愛着という重要な要素、および野生生物と家畜の相互作用に関連する環境の対比が特定されました。これらの結果は、生態系の管理と保全に対する新たなアプローチの基礎を形成する、理解と共同学習法の開発に役立つでしょう。
本ケーススタディの詳細はこちら(英語)をご覧ください。
本ニュースレターで共有を希望されるイベント等の情報がございましたら、IPSI事務局までご連絡ください。また、日本語の記事をお送りいただければ日本語版ニュースレターに掲載いたします。皆様からの情報提供をお待ちしております。
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SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)事務局
国際連合大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)
東京都渋谷区神宮前5-53-70
電話:03-5467-1212(代表)
E-mail: isi@unu.edu
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