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コロンビアにおける生物多様性と平和のためのランドスケープ・アプローチ
2024.11.01
2024年10月29日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、国連生物多様性条約第16回締約国会議(CBD COP16)においてコロンビアにおける人と自然の共生を推進するコミュニティ主導のイニシアティブに関するサイドイベントを共催しました。本イベントでは、地域の団体の経験と知見に焦点が当てられました。参加団体は、ランドスケープ・アプローチを用い生物多様性と資源の持続可能な利用を推進しています。また、様々な土地や海の利用を統合し、生物多様性保全と生産活動との両立を目指しています。
UNU-IAS アレクサンドラ・フランコ・グアハルドコミュニケーションアソシエイト(IPSI事務局)は、SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)について紹介しました。IPSIは、生物多様性保全推進および地域のウェルビーイング向上に向けランドスケープ・アプローチを通じた社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)の強化を目指す地球規模のイニシアティブです。
Corporación Ambiental y Forestal del Pacifico(太平洋環境森林組合)Andres Quintero事務局長は、コロンビアにおけるランドスケープ・アプローチの可能性と課題について話しました。コロンビアは豊かな生物多様性を持つ反面、この数十年間にわたりモノカルチャーとランドスケープの管理不全による生態系への脅威に直面しています。Quintero氏は保全と生産活動の両立を図るモデルとして「Integrated Management National or Regional District(国家規模もしくは地域の統合的管理)」を紹介しました。DRMIによって、地域社会や地域のステークホルダーとの協働的管理を促進しつつ持続可能な資源利用が可能になると述べました。
パネルディスカッションでは、紛争解決と平和構築にとってのランドスケープ・アプローチの重要性について経験が共有されました。Amazon Institute for Scientific Research Camilo Alberto Alvarado Ramírezアソシエイトリサーチャーは、カカオ、ゴムおよびアサイーなどの森林資源の持続可能な利用に焦点を当て、アマゾン地域社会との保全に関する取り決め推進のための取り組みの概要を説明しました。
Fundación para la Investigación y Desarrollo Sostenible (研究と持続可能な開発財団)Angie Patiño Montoyaエコロジーリサーチャーは、地域社会にビジネスチャンスを提供する観賞魚生産を通した淡水魚保全や地域の漁業者との協働で侵略的外来種の侵入を防ぎ生息数のコントロールを目的とするFUNINDESのプロジェクトを紹介しました。
ランドスケープ・アプローチを法律へ組み入れることの重要性について強調したティエラ・デル・フエゴ国立大学Christopher Anderson主任教授は、コロンビアのカウカ川について、地域社会による申し立てにより武力紛争による被害地域であると認定されていることを指摘しました。
質疑応答にて参加者は、持続可能な資源利用および土地管理における地域参加と地域の知見の主要な役割を強調しました。これに対しパネリストは、自治が極めて重要である一方でコミュニティが行政からの支援を必要とすることが多いことを指摘し、コミュニティと政府組織とのより強い結びつきの必要性について重ねて言及しました。