CBD

COP16にて生物多様性のための地域活動に関するサイドイベントを開催

2024.11.08

Photo: IISD/ENB / Mika Schroder
Photo: IISD/ENB / Mika Schroder

2024年10月30日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、コロンビア、カリにて開催された国連生物多様性条約第16回締約国会議(CBD COP16)にて、昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)の推進におけるSATOYAMAイニシアティブ推進プログラム(COMDEKS)の役割に焦点を当てたサイドイベントを共催しました。本イベントでは、カンボジア、コロンビアおよびトルコにおける生物多様性、自然資源の持続可能な利用のための地域主導のイニシアティブが取り上げられました。

COMDEKSは、SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)の旗艦プログラムです。生物多様性保全の取り組みと社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)の持続可能な管理のために、地域に資金を提供しています。COMDEKSは、国連開発計画地球環境ファシリティ小規模グラント・プログラム(UNDP GEF SGP)と共同で実施されています。

UNDP GEF SGP Risa Edooパートナーシップスペシャリストは、小規模融資および能力開発による地域振興に向けた当プログラムのアプローチを説明した新たなパンフレットの発行を発表しました。

UNU-IASスニータ・スブラマニアン研究員(IPSI 事務局)は、生態系のレジリエンス(強靭性)評価実施における、環境、社会的要素の図式化、変化要因の特定およびランドスケープ管理のための戦略策定を通して地域社会を支援するためにデザインされたツールキットの最新版を紹介しました。

トルコにおけるCOMDEKSプロジェクトを紹介したEngin Yilmaz氏(Yolda Initiative事務局長、Alliance for Mediterranean Nature and Cultureコーディネーター)は、本ツールキットが直近30年間の環境の状態の比較、変化要因の理解のために地域のステークホルダーにより利用されていると話しました。また、その結果は地理的情報システム上にデジタル化され、モニタリングや空間計画に役立てられていることも紹介しました。

SGPカンボジアNagin Navirakナショナルコーディネーターは、カンボジアにおいてCOMDEKSプログラムが259の小規模プロジェクトに資金提供を行ってきたことを取り上げました。地域のステークホルダーとのプロジェクト場所の選定および環境の保全と経済的エンパワーメントの両立に関する協働的プロセスも紹介し、継続的な対話と順応的管理の重要性を強調しました。

SGPコロンビアAna Beatriz Baronaナショナルコーディネーターは、ランドスケープ・アプローチがCOMDEKSにとって不可欠であることを強調しました。地域に根差した団体は、その地域特有の生態学的社会経済的ダイナミクスを考慮しつつ、プロジェクトを立ち上げて実施する責任があるとも述べました。またパラモスにおける、水保全とガバナンスについても紹介しました。パラモスの山岳の生態系はコロンビアの人口の三分の一近くへ水を供給しており、先住民と地域社会の拠り所になっています。

パネルディスカッションでは、もしコミュニティが地域を持続可能に管理する能力を持たない場合には、持続可能に向けた取り組みが断念され、持続的でない慣行に戻る可能性があることも話し合いました。また、COMDEKSの取り組みの重点である、地域主導の解決策への支援を通した地域活動の推進が改めて強調されました。

UNDPによる記事はこちら