2024年12月11日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、サウジアラビアのリヤドで開催された国連砂漠化対処条約第16回締約国会議(UNCCD COP16)にてサイドイベントを開催しました。本イベントでは、ランドスケープ・アプローチを用い持続可能で包括的な取り組みを推進しながら、どのように環境に関わる政策と開発に関わる政策のギャップを埋めることが可能か議論しました。また、各国政府、先住民および地域社会(IPLCs)、NGOおよび研究機関など300を越える組織が参画する地球規模のパートナーシップであるSATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)についても紹介しました。
UNU-IASスニータ・スブラマニアン研究員(IPSI 事務局)は、ランドスケープ・アプローチについて紹介しました。ランドスケープ・アプローチは、ランドスケープやシースケープの持つ経済、精神的など様々な価値を調和するものであり、利益の最大化だけでなく公平で配慮のある経済を促進するものであるとを強調しました。また、IPSIメンバーが議論をしながら、彼らの地域の持続可能な活動がより幅広い政策目標に貢献していることに言及しました。
UNDP 地球環境ファシリティ(GEF)小規模無償プログラムRissa Edooパートナーシップスペシャリストは、日本の環境省、経団連自然保護基金およびUNU-IAS、IPSIが連携して支援する取り組みであるSATOYAMAイニシアティブ推進プログラム(COMDEKS)を紹介しました。COMDEKSは先住民及び地域社会(IPLCs)や市民社会に対し資金的、技術的支援を提供し、生態系機能の回復、生物多様性の向上および持続可能な暮らしの構築などの環境問題に対処する地域支援のプロジェクトです。ビデオによるプレゼンテーションではペルー、プーノのアンデス地方の女性たちによる活発な取り組みが紹介されました。彼女たちの持つ祖先代々受け継がれる知識と持続可能な活動を通じ、劣化したランドスケープが回復し、乾燥した地域が緑豊かな生態系に変わっています。
IPSIメンバーの視点から、Friends for Francophone Africa-Benin (AMAF-Benin) Fatai Ainaエグゼクティブディレクターは、地域のウェルビーイングを促進しつつ、生態系の健全性を確保する生態系サービスに対する支払い、総合的アプローチ、持続可能な活動およびステークホルダーの参加に基づく統合的な生態系管理の必要性に言及しました。また、気候変動へのより幅広い対応と暮らしの向上ための取り組みの一環として、マングローブや農業生態系(アグロエコシステム)の保護の重要性を重ねて強調しました。