2020年6月5日、「世界環境デー」オンラインセミナー、「新型コロナウイルスの生物多様性への影響:科学教育の再考」にて、イヴォーン・ユーUNU-IASコンサルタントが基調講演を行いました。ユー博士は、生物多様性と健康、教育を通じた社会変容(Biodiversity for One Health: Making Transformative Change through Education)を中心テーマに据え、生物多様性は人々の健康と地球の持続性の基盤であるため、生物多様性が損失されると、必然的に人々の健康が脅かされ、伝染病や感染病の世界的大流行のリスクを増大することを説明しました。
本オンラインセミナーは、東南アジア教育大臣機構(The Southeast Asian Ministers of Education Organization: SEAMEO)の事務局とユネスコが主催したものです。東南アジアや世界各国から3,800人がライブ配信に参加しました。録画映像はこちらからオンラインで視聴いただけます。
ユー博士は、人々の健康は動物の健康や我々が共有する環境と密接に関わっているとする「ワンヘルスアプローチ(One Health Approach)」を強調しました。また、地域のコミュニティーと連携し、生物多様性の損失を食い止めるための生涯教育を推奨するなどの、教育を通じた社会変容の必要性に焦点を当てました。博士は、新型コロナウイルス感染拡大は、人々と地球にとって前よりも良い状態にする、より良い復興(build back better)のための機会を提供するものと言えると指摘し、その実現には新しい考え方、学び方、働き方が必要であることを強調しました。
本オンラインセミナーでは、東南アジアの専門家によるパネル・セッションも行われました。セッションでは、フィリピンにおける、革新的で持続可能な農業生産の実践や、持続可能な開発のための教育(ESD)の観点からの生物多様性に関する教育機関の取り組み、タイでの保全生態学を通じた科学・技術・工学・数学教育 (STEM教育)の適用など、現場での活動が紹介されました。