IPSI事務局を務めるUNU-IASから新たなポリシー・ブリーフ(英題:Recognising and Supporting the Role of Culture in Effective Area-based Conservation)が発表されました。本ブリーフは、持続可能な人間と自然の関係をつうじて生物多様性の恩恵をもたらす地域文化を認識し、支援することを呼びかけています。「効果的な地域ベースの保全における文化の役割の認識と支援」に焦点を当て、社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)での経験に基づいて、包括的で公平、かつ伝統的知見を取り入れた持続可能な土地利用管理政策のための提言をまとめています。著者はウィリアム・ダンバー、スニータ・サブラマニアン、柳谷牧子です。
概要
「保護地域以外で生物多様性保全に資する地域(OECMs)」は、保護地域よりも広い範囲で生物多様性に貢献することができます。しかし、そのためには、OECMsが保護地域と連動して、持続可能な生産システムによりよく統合される必要があります。生産的な社会生態系の優良事例は多く存在しますが、潜在的なOECMの認定には、それらを可能にしている文化的背景を認識する必要があります。
提言
- 生産ランドスケープ・シースケープにおいて、人と自然の相互関係と生物多様性を育む文化の役割を十分に認識し、支援する。
- 地域文化とすべてのステークホルダーの権利の尊重を促進するランドスケープアプローチを用いて持続可能な市場メカニズムを開発する。
- 長期的な生物多様性の成果を高めるため、文化をエンパワーするための優れた実践を適用する。
- 地域社会が生物多様性保全のためにランドスケープやシースケープを管理することを奨励するために、能力開発を含む革新的なインセンティブを提供する。