2022年12月2日、IPSI事務局を務める国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、第14回持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム(ISAP2022)にてテーマ別会合を共催しました。本オンラインイベントでは、社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)を促進・保全・再生するための各プロジェクトを支援するシードファンドプログラム、SATOYAMA保全支援メカニズム(SDM)について議論が交わされました。本セッションは、公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)とのパートナーシップのもと開催されました。
開会挨拶にて、日本国環境省の奥田直久 自然環境局長は、SDMが愛知目標およびSEPLSの保全と持続可能な利用に大いに貢献してきたと述べました。
IGESの武内和彦 理事長は、生物多様性と気候変動の目標は相互に補完しあうものであり、それゆえ気候・生物多様性・人間の福利は統合的なアプローチを必要とするつながり合ったシステムとして取り扱われなければならないことを強調しました。IGES生物多様性と森林エリアの三輪幸司 研究員は、SDMがUNU-IAS、IGES、日本環境省が共同で設置したIPSIの協力活動であることを紹介しました。SDMは、2013年以来世界各国59件のプロジェクトに資金提供しています。
IPSI加盟団体からは、SDMプロジェクトの事例研究が発表されました。南アジア環境フォーラムのディパヤン・デイ研究・革新部門議長は、インド・アルナチャール州における先住民コミュニティ主導のSEPLSの保全・再生・ガバナンスに関する知見を提供しました。台湾国立東華大学環境学院自然資源環境学部のクワン・チュン・リー教授とパウリーナ・カリモヴァ研究助手は、SATOYAMAイニシアティブ台湾パートナーシップ(TPSI)によるレジリエンス(回復力)評価活動について論じました。
パネルディスカッションでは、地域社会とのオープンな対話が重要であること、特に自らの文化的慣習が理解され尊重されることで人々がプロジェクトに積極的に参加すること、などが指摘されました。また、プロジェクトによって地域経済、持続可能な生産と消費、生物多様性の保全が促進されたことも紹介されました。
最後に、IPSI事務局長の渡辺綱男氏は、先住民や地域社会を含む地域のステークホルダーに生物多様性の保全と再生のための社会革新的行動を促すよう、効果的な戦略を実施する必要があることを改めて強調しました。
更なる詳細とプレゼンテーション資料は、ISAP2022のウェブサイトからご利用いただけます。