本研究について
IPSI事務局は、協力活動の一環として、生物多様性条約に基づき各締約国が策定する「生物多様性国家戦略及び行動計画 (National Biodiversity Strategies and Action Plans :NBSAPs)」 のランドスケープアプローチに関する研究を2016年から行っています。本研究プロジェクトは、生物多様性条約におけるランドスケープアプローチの再概念化と、NBSAPsの策定および実施における同アプローチの適用性に関する分析と検証を目的に、IPSI事務局のUNU-IASとIPSIメンバーである東京大学未未来ビジョン研究センター (UT-IFI) 、生物多様性条約事務局、日本国環境省が共同で実施しています。 研究過程や関連資料の詳細については、以下をご参照ください。
研究の背景
NBSAPsは生物多様性条約を実施する上で主要な手段であり、各締約国は、条約の目的達成に向けて、国の意思決定に生物多様性への配慮を組み込み、各分野にわたる問題を主流化するためのロードマップを提示することになっています。これまでのNBSAPの策定プロセスを通じて、多くの締約国がNBSAPの強化と説明責任の向上の必要性を表明しており、本研究プロジェクトは、生物多様性条約の実施を支援する試みとして、生産ランドスケープ・シースケープを管理するための統合的アプローチ、とりわけIPSIが推進するSEPLSの概念が、NBSAPの策定と実施にいかに効果的であるか明らかにすることを目指しています。
最終フェーズ
最終フェーズは、「"
生物多様性国家戦略及び行動計画 (NBSAPs) へのランドスケープアプローチの適用に関するガイドの作成」と題したIPSI協力活動として2021年に開始しました。本フェーズでは、政策立案者が昆明・モントリオール生物多様性枠組に沿ってNBSAPsを更新・実施する際に、ランドスケープアプローチを取り入れるための指針となるガイドを作成しました。さらに、ガイドを補完し、昆明・モントリオール生物多様性枠組実施のための能力構築を支援するため、ビデオも作成されました。 これら制作物が多様な政策決定者にとって有用となるよう、UNU-IASは締約国および関連組織と協議しながら作成を進めてきました。2022年3月に開催されたCBDジュネーブ会合では、公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES) 、国連開発計画(UNDP)、日本政府と協力して
サイドイベントを開催しました。本イベントでは、NBSAPsの策定時にランドスケープアプローチを適用する上での課題とニーズについて、パネルディスカッションが行われました。2022年4月には、締約国および関係機関との
ワークショップを開催し、ガイド案に関する多くの意見や提案が寄せられました。本ガイドは、得られたフィードバックに基づき、更なる修正を重ね、COP15での昆明・モントリオール生物多様性枠組みの採択を受け、2023年10月に完成しました。作成は、生物多様性条約事務局の協力のもと、IGESと共同で行われ、特に昆明・モントリオール生物多様性枠組みのゴールとターゲットの達成を目指す国々にとって役立つ情報が記載されています。
ガイドとビデオは「参考資料」からダウンロード可能です。
今後の内容改善に役立てるため、UNU-IASは実践上の課題や実例研究に基づくフィードバックを歓迎しています。ご意見・ご感想などisi@unu.eduまでメールをお願いします。