CBDイベント

CBDジュネーブ会議サイドイベントでランドスケープの展望とポスト2020生物多様性枠組を検証

2022.04.12

2022年3月17日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、スイスのジュネーブでの2022年生物多様性条約(CBD)会議でサイドイベントを共催し、ポスト2020生物多様性枠組(GBF)にランドスケープ・アプローチを組み込むことを目的として、ランドスケープ管理の優良事例について議論しました。

オランダ環境評価庁(PBL)のマーセル・コック氏は、ランドスケープ・アプローチの概念を紹介し、生態系アプローチの拡大やボトムアップ型かつ参加型の方法による社会変革に向けた変化の創出などの利点を強調しつつ、ランドスケープレベルで生物多様性の保全を促進することの重要性を強調しました。コック氏はまた、UNU-IASとPBLによる共同出版となったポリシーブリーフ『Seizing the landscape opportunity to catalyse transformative biodiversity governance』の提言事項を提示しました。

UNU-IASのスニータ・サブラマニアン研究員は、ランドスケープ・アプローチ、生物多様性国家戦略および行動計画(NBSAPs)、CBD主流化戦略、およびポスト2020目標の実施のためのCBD行動アジェンダの間の関連性について概説しました。また、ランドスケープ・アプローチの分野横断的な性質が、地域ベースの保全、回復や再生、持続可能な利用などの複数の目標の相乗的な実施を促進する可能性があると述べました。

パネルディスカッションでは、コック氏、サブラマニアン研究員、UNU-IASのパートナーシップアソシエイトであるブルーノ・レレス氏が、自然を回復・再生する機会、公平なランドスケープ・ガバナンスの必要性、国連生態系回復の10年や気候変動に関するパリ協定などその他のグローバルな目標におけるランドスケープ・アプローチの適用について話し合いました。インド、マラウイ、メキシコ、セルビアなどの締約国は、ランドスケープ・アプローチを適用した経験について話し合い、目標達成に向けた更なる交渉を進展させるための洞察を提供しました。 

NGOおよびユース代表らは、公平なガバナンス、IPLCs(先住民族と地域コミュニティ)と青年の代表権、ランドスケープ計画と管理における人権の促進に関する問題提起を行いました。また議論の中で、国際SATOYAMAイニシアティブが土地の権利の尊重および先住民と地域コミュニティへの自由かつ事前の十分な説明と同意を推進してきた経験を踏まえ、ポスト2020目標において伝統的知識と生物文化多様性の保全が十分に検討されるべきであることが強調されました。さらに、登壇者たちは、公平なガバナンスと人権のためのセーフガード・メカニズムを目標に含めるよう求めました。

ポスト2020生物多様性世界枠組に関する第3回公開作業部会(WG2020-3)のこのサイドイベントは、オランダ環境評価庁(PBL)と日本環境省との共催で行われました。