イベント
国連生態系回復の10年 第2回里海再生国際シンポジウム
2022.09.05
2021年から2030年までの10年間は「国連生態系回復の10年」と位置付けられ、地球上の様々な生態系を積極的に回復・再生していくことが求められています。沿岸生態系は豊かな生物多様性を育み、人々の暮らしを支えている一方で、脆弱性が高いなど、回復・再生の努力がとりわけ求められる空間といえます。さらに日本の沿岸域においては、地域コミュニティの暮らしと沿岸生態系が密接に関わっている空間が多く存在することも、その回復・再生の道筋において認識される必要があります。
さらにまた、この10年は「国連海洋科学の10年」でもあります。SDG14(海の豊かさを守ろう)をはじめとする海洋に関係する諸課題の解決に向け、海洋科学の発展に国際的に特に力を入れる10年とするものです。この10年は海洋の生態系再生に関する科学的アプローチと、その再生の実践を進めることの双方を両輪で推し進めていくことが求められているともいえます。
以上を踏まえ、国連大学サステイナビリティ高等研究所と笹川平和財団海洋政策研究所は、「里海」という空間に着目し、その回復・再生に向けた課題と今後求められる対応の検討を進めています。本シンポジウムのシリーズは、その一環として開催されます。
第1回シンポジウムでは、里海を考える際に重要な総合的沿岸管理のためのステイクホルダーのエンゲージメントのありようについて、国内外の事例が報告されました。この回で、里海の再生に必要な総合的沿岸管理を推進するために、ブルーカーボン生態系を切り口にする可能性が示されました。また、沿岸域が気候変動に対して脆弱であり、その影響を予想以上に早く受けており、その科学的モニタリングが重要であること、そしてそのモニタリングにあたっては、子どもを含む地域コミュニティの参画が、里海においてはとりわけ重要であることが指摘されました。
シリーズ第2回目となる本シンポジウムでは、気候変動緩和策として重要でかつ多面的な機能を有するブルーカーボン生態系の回復・再生を促進するための仕組みづくり、そして里海の再生・回復における市民科学(シチズンサイエンス)の役割について、国内外の事例を通して学んでいきます。そして、ブルーカーボン生態系の回復・再生の活動に市民がいかに関わりその効果を高めることができるのか、里海という角度から議論します。
<主催>
国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)、笹川平和財団海洋政策研究所(OPRI)、環境省
<後援>
国土交通省
日時
2022年9月20日 13:00-16:30(日本時間)
場所
オンライン
言語
本イベントは、日本語と英語の両言語にて、同時通訳付きで開催されます。
参加方法
オンラインでのご参加をご希望の方は、こちらから事前にご登録ください。
国連大学(UNU)主催イベントへの参加者は、イベント関連の写真や、スクリーンキャプチャ、動画、音声に登場する可能性があります。詳細は、こちらのイベント情報ページをご参照ください。
プログラム
(総合司会:UNU-IAS 柳谷牧子)
13:00 開会挨拶およびオープニングセッション
- 渡辺綱男(UNU-IAS生物多様性と社会プログラム マネージャー)
- 阪口秀(OPRI所長)
- 第1回シンポジウムの振り返りと趣旨説明
柳谷牧子(UNU-IASプログラムコーディネーター) - 「里海における気候変動の影響と生物多様性保全」
豊島淳子(OPRI 研究員)
13:30 第1部:シチズンサイエンスによる沿岸生態系の保全・回復
- 「沿岸性生態系の保全とシチズンサイエンス―知床・インドネシアの事例」
牧野光琢(東京大学 大気海洋研究所教授) - 「アメリカチェサピーク湾のCoast Cardの取組」
ウィリアム・デニソン(メリーランド大学教授) - 「東京湾における市民による生態系再生」
古川恵太(海辺づくり研究会 理事長) - 質疑応答、討論
(休憩5分)
14:25 第2部:ブルーカーボン生態系の再生
- 「インターナショナルブルーカーボンイニシアティブの国際的取組について」
スティーブ・クルックス(インターナショナルブルーカーボンイニシアティブ 科学作業部会共同議長) - 「横浜からのブルーカーボンの萌芽と地域での取り組み、そしてJBEについて」
信時正人(ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)) - 「日生におけるアマモ場の再生と里海活動」
田中丈裕(里海づくり研究会議 理事・事務局長) - 質疑応答、討論
(休憩10分)
15:25 第3部:パネル・ディスカッション
- 基調講演・司会: 原田尚美(東京大学大気海洋研究所 国際・地域連携研究センター教授、総合海洋政策本部参与)
パネリスト: 田中丈裕、信時正人、古川恵太、青山紘悦(国土交通省海洋・環境課)、守容平(環境省自然環境計画課)
16:25 閉会挨拶
- 奥田直久(環境省自然環境局長)
注)登壇者、演題については予告なく変更する場合がありますので、予めご了承下さい。