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COP15:地域の生物多様性資金援助を行うCOMDEKSの新フェーズが開始
2022.12.21
2022年12月16日、IPSI事務局を務める国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、カナダのモントリオールで開催された国連生物多様性条約第15回締約国会議(CBD COP15)の一環としてサイドイベントを共催し、SATOYAMAイニシアティブ推進プログラム(Community Development and Knowledge Management for the Satoyama Initiative(COMDEKS))フェーズ4の開始を発表しました。IPSIの旗艦プログラムであるCOMDEKSは、小規模事業資金援助を通じて地域社会における生物多様性と自然資源の持続可能な利用を促進します。本イベントは国連開発計画(UNDP)、地球環境ファシリティ(GEF)、GEF小規模無償プログラム(GEF-SGP)、日本国環境省、生物多様性条約事務局(SCBD)とのパートナーシップのもと開催されました。
日本国の西村明宏 環境大臣は、環境省が生物多様性日本基金を通じてCOMDEKSフェーズ1~3において1050万米ドルの資金援助を行なったことを強調しました。また、COMDEKSの第4フェーズにおいて環境省より7億円規模の資金援助を実施予定であることも発表しました。経団連自然保護協議会(KCNC)の西澤敬二 会長は、KCNCが今後6年間で3億円を拠出してCOMDEKSとUNDPを支援することを発表しました。
カンボジアのセイ・サマル 環境大臣、エクアドルのグスタボ・マンリケ・ミランダ 環境・水・生態系移行大臣は、カンボジアとエクアドルの地域コミュニティにおけるCOMDEKSの活動に謝意を表明しました。COMDEKSは、健康や栄養供給といった社会的なニーズに対応するだけでなく、人々の環境意識の向上に貢献しました。
UNDPのサンバ・ティアム上級政策開発アドバイザーは、生物多様性の保全を再考し、搾取の少ない、よりバランスのとれた自然との関係を実現しなければ、ポスト2020生物多様性枠組(GBF)の目標を達成することはできないだろうと指摘しました。また、SATOYAMAイニシアティブが社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)に関する取り組みを通じて、自然を基盤とした解決策に貢献していることを強調しました。
IPSI運営委員会のアルフレッド・オテング・イェボア 委員長は、資金ギャップを埋め、生物多様性の保全を主流化するような統合的な資金システムを構築するため、利用可能なすべての資金を包括的に概観するよう求めました。UNU-IASの渡辺綱男 シニアプログラムコーディネーターは、生態系の回復、地域ごとの保全策、政策と能力開発、SEPLSを支える市場メカニズムなどの新たな優先行動を策定することによって、GBFや「国連生態系回復の10年」に貢献するようIPSIの行動計画を改訂する予定であることを紹介しました。また、COMDEKSが同様にIPSIの新たな優先行動をその枠組に組み込み、国際機関と環境省との連携を深めていくことを期待すると述べました。
COMDEKSについて
COMDEKSは、2011年以来SATOYAMAイニシアティブのビジョンである「自然共生社会」の実現に向けた活動を行っています。本プログラムは、世界20カ国において活動しており、人間と生態系が共生関係にある地域である「社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)」の維持と再建を支援するため、現地の団体に少額の助成金を提供しています。更なる詳細は、COMDEKSウェブサイトをご覧ください