生物多様性とは?

「生物の多様性」とは、“すべての生物(陸上生態系、海洋その他の水界生態系、これらが複合した生態系その他生息又は生育の場のいかんを問わない。)の間の変異性をいうものとし、種内の多様性、種間の多様性及び生態系の多様性を含みます”(環境省「生物の多様性に関する条約」)。つまり、生物多様性とは、地球上の多様な個性あふれる生命とそれらの相互関係を意味します。人間を含む地球上すべての生き物は、他の多くの生き物の助けを借りながら、多様な生態系の中でバランスを保ちながらつながり、その中で私たち人間も様々な恩恵を受けています。 生物多様性条約(Convention on Biological Diversity)で定義されている関連用語については、こちらを参照ください。
  • 生物多様性の現状

    生物多様性の保全には、原生的な自然の保護のみならず、人々が古くから持続的に利用や管理してきた農地や二次林など、人間活動の影響を受けて形成・維持されている二次的自然環境の保全も非常に重要です。これらの二次的自然環境には、多様な種がその生存のために適応・依存しており、その維持・再構築が生物多様性の維持・向上に重要な役割を果たします。しかし、これら自然環境は、都市化、産業化、過疎化等により、急速に衰退しています。そのため、二次的自然環境の価値を世界で広く再認識するとともに、早急かつ効果的な対策を講じることが求められており、現在、長年にわたり、地域社会が周辺環境に適応しながら発展させてきた持続可能な土地利用システムの知恵と慣行に、再び注目が集まっています。
  • CBDとは?

    「生物多様性条約(The Convention on Biological Diversity、以下CBD)」は、生態系の破壊や生物多様性の損失が国際問題として認識されるようになったことを受け、1992年5月にケニア・ナイロビで採択され、同年6月にブラジル・リオデジャネイロで開催された国連環境開発会議にて加盟のための署名が開始され、1993年12月29日に発効しました。現在、196か国が批准しています。
    CBDでは、主に以下の3つの目的に沿って議論が進められています。
    1. 1. 生物多様性の保全
    2. 2. 生物資源の持続可能な利用
    3. 3. 遺伝資源の利用から生じる利益の公平かつ衝平な配分
    より詳細な情報はCBD事務局のウェブサイトをご覧ください。
  • SEPLSとは?

    里山のように、長い時間をかけて人々が自然と寄り添いながら、農林漁業などを通じ形成してきた二次的自然地域のことを、学術的に「社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(Socio-ecological production landscapes and seascapes、以下SEPLS)」と呼びます。このような場所では、多様な種が生存のために適応・依存しており、人間の活動も生物多様性の維持・向上に重要な役割を果たしています。また、同時に、人間も生命の維持や暮らしに必要なモノやサービスを日々享受しています。この人間と自然との相互作用が中心的な役割を果たしている二次的自然地域は、世界中で見られ、日本では「里山」、韓国では「マウエル(mauel)」、インドネシアでは「ケブンタルン(kebun-talun)」、スペインでは「デエサ(dehesa)」と各地域で様々な呼び名があります。SEPLSという言葉は、昨今の急速な生態系の破壊や生物多様性の損失に早急かつ効果的に対処するため、世界中の誰もが認識できるよう誕生しました。
  • SATOYAMAイニシアティブとは?

    SATOYAMAイニシアティブは、現在SEPLSが直面している課題を共有し、生物多様性の保全と人間の福利向上のために、地域の特異性に配慮しながら、人間と自然とが持続可能な関係を保持した「自然共生社会の実現」を目指して、日本国環境省と国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)が共同で国際社会に提唱した取組です。本イニシアティブの下、世界各地でSEPLSの保全と再構築に向け、農林漁業などの生産活動を通し、いかにして人と自然とが持続可能な関係を構築できるか、知見の共有を含め、社会的・科学的な観点から様々な活動が行われています。

愛知目標

愛知目標は、2010年10月に愛知県で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)において、2050年までに「自然と共生する世界」の実現を目指し、2020年までに「生物多様性の損失を止めるために効果的かつ緊急な行動を実施する」ための目標です。愛知目標では5つの戦略目標の下、20の個別目標が定められています。
  • 戦略目標A: 各政府と各社会において生物多様性を主流化することにより、生物多様性の損失の根本原因に対処する。
  • 戦略目標B: 生物多様性への直接的な圧力を減少させ、持続可能な利用を促進する。
  • 戦略目標C: 生態系、種及び遺伝子の多様性を保護することにより、生物多様性の状況を改善する。
  • 戦略目標D: 生物多様性及び生態系サービスから得られるすべての人のための恩恵を強化する。
  • 戦略目標E: 参加型計画立案、知識管理及び能力構築を通じて実施を強化する。
  • (※各目標は、環境省仮訳引用 http://www.env.go.jp/press/files/jp/26757.pdf

SDGs

「持続可能な開発目標(The Sustainable Development Goals:以下、SDGs)」は、“誰も取り残されない”世界の実現を目指し、2015年9月に米国・ニューヨークの国連本部にて開催された「国連持続可能な開発サミット」で採択された、2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットからなる国際目標です。
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