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IPSIニュースレター2022年秋号へようこそ。今回は以下のような内容をお届けします:
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- COP27とCOP15の連動性
- COP15におけるIPSI主催サイドイベント
- SITR-9 原稿募集
- SDM 2022 結果
本ニュースレターで配信を希望されるイベント情報や新しいケーススタディ・活動に関するニュースがあれば、IPSI事務局までご連絡ください。皆様からの情報提供をお待ちしております。
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COP27とCOP15の連動性
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2022年11月初旬、エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催された国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)に各国首脳が出席しました。本会議における主要な決定の一つが、気候変動の影響による損失と損害に対処するための資金メカニズムの確立です。気候変動によって発展途上国が直面している困難に光を当てた歴史的な合意となりましたが、その一方で温室効果ガスの排出削減と化石燃料の段階的な削減に関するより強いコミットメントは達成されませんでした。
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2022年12月7日よりカナダ・モントリオールにて開催される国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)に各国首脳が再び集結します。本会議では、世界の天然資源の利用と保護に関する1992年の国際合意である「生物多様性条約」を中心に、今後10年間の生物多様性と生態系の保全・保護・再生・持続可能な管理のためのロードマップである「ポスト2020生物多様性枠組」の採択に向けた交渉が行われます。
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専門家の見識
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Photo by Nicholas Turner / UNU-IAS
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気候と生物多様性の危機は相互に関連しており、地球規模で原因と結果を共有しています。一方の会議での合意事項は、他方の会議にも影響を及ぼし、全体的な視野で政策を立てる必要があります。
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IPSI事務局のスニータ・サブラマニアン研究員は、エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催された国連気候変動条約第27回締約国会議(COP27)に参加し、UNU-IAS主催のサイドイベントにて気候変動、生物多様性、SDGsへの相乗効果のある行動について議論しました。サブラマニアン研究員は、相互に関連する課題への取り組むには、公平で包摂的な政策アプローチが重要であると指摘し、気候、生物多様性、その他のセクターが協力して相乗効果を最大化する例として、「ワンヘルス (One Health)」を挙げました。
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COP27閉会後、サブラマニアン研究員は「ネクサスアプローチやワンヘルス、ランドスケープアプローチなどの全体的な戦略は、社会と生態系の両方の優先課題を組み込むため、健康と福利の確保につながります。また、IPBESとIPCCが共同開催した生物多様性と気候変動に関するワークショップの報告書は、それぞれ生物多様性と気候変動に関して科学と政策をつなぎ政策提言を行う国際組織が、両課題の相互関連性を示し、共同で作成したエビデンスに基づく報告書の一例であると説明しました。
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国連の気候変動および生物多様性に関する会議では、増え続ける人口に対する食糧安全保障から気候変動ショックに対する回復力および緩和まで、相互に関連した課題の解決を目的としています。「気候変動と生物多様性の問題は複雑で、単純化することは答えになりません。人々は複雑な中で暮らしており、単純化した解決策では不十分です」「心強いニュースは、既に地域レベルで統合的な活動が行われていることです。これらの活動規模を拡大し、政治的な後押しを得ることが急務です」とサブラマニアン研究員は続けました。
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本年12月に開催される生物多様性条約の第15回締約国会議(COP15)において、IPSI事務局は、SATOYAMAイニシアティブの柱である、資源や便益へのアクセスの公平性の確保、知識や技術などの反射的共有による持続可能な生産・消費活動の支援を促進します。
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COP15におけるSATOYAMAイニシアティブ関連サイドイベント
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2022年12月7日~19日の間、カナダ・モントリオールで開催される国連生物多様性条約締約国会議(COP15)において、IPSI事務局はいくつかのサイドイベントを開催します。COP15に参加される方は是非お知らせください!IPSIメンバーや仲間にお会いできるのを楽しみにしています。
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本サイドイベントは、IPSIの10周年を記念して開催されます。IPSIコミュニティの専門家が一同に会し、これまでの成功例や今後の計画について議論を交わします。
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本サイドイベントでは、社会変革の実現に必要不可欠な、生物多様性ガバナンスへの社会全体アプローチについて議論します。自治体、民間企業、IPSIからの登壇者と共に、新しい報告書「ネイチャー・ポジティブへの道筋の探求(英題:Exploring Nature-Positive Pathways)」にまとめられた知見について議論します。
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本サイドイベントは、マングローブの生態系保全が沿岸地域の複数の課題にどのように貢献するか議論した上で、関連する政府の政策やドナーおよび民間企業による実施活動の共有を行います。また再生を促進し、ポスト2020生物多様性枠組の目標を達成するための持続可能な管理を確実に行うため、自然を基盤とした解決策(NbS)としてのマングローブ保全における課題と機会を明らかにします。
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IPSI Decade Report 2010-2022
COP15では、IPSIメンバーのこれまで12年間の功績 を称える報告書「IPSI Decade Report 2010-2022」を発表します。デジタル版は2022年12月7日より入手可能となります。印刷版は2023年に発行予定で、IPSIメンバーである中越パルプ工業株式会社の取り組みである竹紙を使用します。
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Photos by Osamu Nishimura
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中越パルプ工業株式会社 竹紙の取り組み
中越パルプ工業株式会社 営業企画部長 西村修氏よりメッセージを頂きました。
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中越パルプ工業株式会社は、あらゆる紙製品に原紙を供給する総合紙パルプメーカーです。マスプロ製品としての紙は、古紙と木材が主原料です。しかし当社では、1998年より日本の竹を製紙原料に活用する取り組みを始めました。
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高度成長期前の日本では、カゴやザル、建築素材として生活に多用されていた竹も、現代ではほとんど使われていません。成長が早い竹は、手入れをしないと光を求めて根を伸ばし、竹林に隣接する健全な森林や里山を侵蝕して荒らし、本来ある生物多様性を脅かします危険があります。放置竹林の問題は、九州から東北まで全国的に広がっていて、今のところ解決策がないのが現状です。
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竹は木材に比べパルプ収率も低く、チップ加工する際にも硬く空洞な形状のため効率が悪く、本来は製紙原料に不向きです。しかし、竹林整備で伐採された竹の処分に困る地域の問題を、当社の一社員が社命でもなく自分の意志で、自分の職域で解決に向けて試行錯誤を重ね、今では製紙原料として年間1万トン(最盛期は2万トン越)の日本の竹を、紙の原料として、木材原料と同様に購入しています。圧倒的な竹の需要を興し、価値を創出しました。 大量の竹を持続的に活用することで、生物多様性保全に繋がる里山保全や地域経済創出が図られています。
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「竹紙」の取り組みを伝え始めた頃、初めてIPSIの会合に出席しました。この会合がきっかけで2011年にIPSIに参加し、RIO+20のサイドイベントでは竹紙が日本を代表する好事例のひとつとして報告されました。読者にも、竹紙の取り組みを通じて、社会的課題をジブンゴトにすることで解決ができることを伝えたいです。ひとりの社員によって実現した好事例を伝え、共感させ、さらに行動を促すことで、社会が前進するはずだからです。
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ビデオ紹介:NBSAPsのためのランドスケープ・アプローチ
この度IPSI事務局は、政策立案者が生物多様性国家戦略及び行動計画(NBSAPs)にランドスケープ・アプローチを取り入れるための手引きとなるビデオを制作しました。ランドスケープ・アプローチは、社会的目標と環境的目標のバランスを取るために、ランドスケープ管理に全体的な視点を適用します。NBSAPsは、生物多様性条約(CBD)の締約国が、生物多様性の保全と持続可能な利用のために策定する戦略です。詳細、ビデオ視聴はこちらから。
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SATOYAMAイニシアティブ主題レビュー第9巻 要旨募集
UNU-IASは、「SATOYAMA Initiative Thematic Review Vol.9 (SATOYAMAイニシアティブ主題レビュー第9巻)」の発刊に向け、IPSIメンバーからの原稿要旨募集を開始します。第 9 巻のテーマは「ビジネスと生物多様性:社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)の文脈における相互のつながり Business and biodiversity: reciprocal connections in the context of socio-ecological production landscapes and seascapes (SEPLS)」です。本テーマに関連する事例をお持ちの IPSI メンバーは、Call for Papers のガイダンスに沿って要旨をご提出いただくようお願いします。要旨の提出締切は2022年12月20日です。詳細はこちらをご覧ください。
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SATOYAMAイニシアティブ主題レビューについて
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SATOYAMA イニシアティブ主題レビューは、「社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)」 に関する特定のテーマに焦点を当て、有益な知見や教訓を提供する事例をまとめたものです。現場での活動から得られた実践的な経験や関連知識を収集し、政策提言に貢献することを目的としています。各巻には、政策や学術的な議論との関連性を明らかにし、現場で得られた教訓の適用を促すための統括を掲載しています。過去3巻同様に、第9巻もシュプリンガー社から出版される予定です。
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SATOYAMA イニシアティブ主題レビュー 第9巻(SITR vol.9)
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本巻では、ビジネスと生物多様性の相互関係の側面におけるSEPLSの関連性に焦点を当てます。本巻で取り上げる事例は、小規模農家、先住民、地域社会など複数のステークホルダーが、生物多様性を保全しつつ、生物多様性や天然資源に依存するビジネス(食品・飲料、繊維・木材、医薬品・化粧品、工芸・観光、ファッション・衣類など)に直接または間接的に貢献する中で果たす役割、姿勢、動機、および行動を明らかにすることが期待されます。また、SEPLSにおけるビジネスの影響について、ポジティブな影響(雇用、地域のブランド化など)とネガティブな影響(生態系の劣化、土地の権利剥奪など)を説明し、生物多様性や自然から人への貢献に対するビジネスの影響や依存度の分類や測定方法について洞察を提供することが期待されています。
SITRの過去の巻は、こちらからご覧いただけます。
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SDM 2022 助成団体
SATOYAMA保全支援メカニズム(SDM) 事務局は、今年度初めにSDM2022の提案募集を発表しました。SDM事務局には、合計15件の応募があり、その中からSATOYAMAイニシアティブのコンセプトの実現・推進に最も有望であると判断された以下の5団体が選出されました。
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- 財団法人慈心有機農業発展基金会(台湾)
- 生命の種財団(メキシコ)
- 社会政策エコロジー研究所(SPERI)(ベトナム)
- イノベーターズ(ウンノヨン・オンネション)(バングラデュ)
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Japanese land reform in the new era?: Farmers’ wellbeing and sustainable farmland management
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本論文は、IPSI事務局の西麻衣子氏(UNUリサーチフェロー)により、日本における国家主導の農地借用制度改革という取り組みに対する農家の反応について考察してします。2014年、日本政府は農業部門の活性化と農地放棄の是正を目指し、農地バンク(FB)と呼ばれる農地借用の新たな仲介機構を立ち上げました。本論文は雑誌「Environment and Planning C: Politics and Space journal」に掲載されています。
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Enhancing Livability Through Urban Land Conservation
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アメリカに本拠地を置くIPSIメンバーのインターナショナル・ランドコンサベーション・ネットワーク(ILCN)のケーススタディ「International Land Conservation Network 」をご紹介します。
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現在のボルチモア郡(アメリカ・メリーランド州)の社会・環境・経済状況は、第二次世界大戦後に遡る一連の計画・資金調達・保全の決定の結果がもたらしたものです。NeighborSpace of Baltimore County (NeighborSpace) はボルチモア郡内のオープンスペース不足を解消するために2002年に設立されました。郡内の小さな公園、庭園、小道、その他自然エリアの緑地を保護・改善することで、居住性の向上を目指しています。ボルチモア郡政府、地元の大学、そして最も重要な地域密着型組織と密接な協力関係を築くことで、成功を収めてきました。
国立公園局と協力し、近隣コミュニティの社会・環境・経済的な居住性を向上させる可能性に基づき、土地の保全価値を評価する、初のGIS優先順位付け手法を開発しました。
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また、日本語の記事をお送りいただければ日本語版ニュースレターに掲載いたします。
SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)事務局 国際連合大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)
東京都渋谷区神宮前5-53-70 電話:03-5467-1212(代表) E-mail: isi@unu.edu
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