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IPSI運営委員会のメンバーであり、私たちの友人でもあるジョン・リー氏(カマナ農工業開発協会(APAIC)代表)が逝去されました。リー氏のご冥福をお祈りするとともに、本号をリー氏に捧げたいと思います。
IPSIニュースレター2023年冬号は、以下の内容でお届けします。
  • IPSI新規メンバー紹介
  • 新規IPSI協力活動
  • 赤道賞(Equator Prize 2023)公募開始 など
本ニュースレターで配信を希望されるイベント情報や新しいケーススタディ・活動に関するニュースがあれば、IPSI事務局までご連絡ください。皆様からの情報提供をお待ちしております。

- IPSI 事務局

IPSI運営委員会メンバーのジョン・リー氏が逝去されました

John Leigh photo by IISD_ENB_Mike Muzurakis

Photo by IISD/ENB | Mike Muzurakis

2023年2月12日(日)、ペルーのリマにてジョン・リー氏が69歳で急逝されました。

リー氏は、最初は国際熱帯木材機関(ITTO)の代表として、その後はカマナ農工業開発協会(APAIC)の代表として、長年にわたりIPSI運営委員を務め、IPSIの多くのメンバーにとって大切な友人でした。
リー氏はAPAICの外交官として、NGOや国際機関と多くのパートナーシップを構築しました。APAIC以前は、1992年から2016年までITTOの保全担当官、2016年から2019年までペルー国立森林野生生物局の専務理事を務めました。同僚によると、彼はどんな会議室もその強い個性で満たし、常に貢献する準備ができており、非常に丁寧な態度で賛否両論を交えながら、センスあるユーモアで洞察を表現されていました。彼の友人たちは、彼は永遠に若く、どこでも常に歓迎されると話していました。

リー氏が望んでいた業績は、物質的なものではありませんでした。彼は、自然保護に関するシンプルで謙虚なものから偉大な成果まで、多くの成果を夢描き、実現しました。また、ペルー南部での荒廃したランドスケープを回復する取組など、多くのIPSI協力活動も実施し、IPSIと共有しました。熱意とエネルギーに溢れた彼がやろうと決心すれば、不可能なことは何もありませんでした。ペルー人としての誇りを持ち、美味しい食事や音楽、旅行、景色を楽しむこと、そして写真を撮って友人やコミュニティ全体と共有することを好みました。


彼は常に周囲の人々を幸せにしようと努めた良き友人として、すべての努力と思いを捧げて愛する家族を常に誇りに思っていた良き父親として、記憶されることを望んでいることでしょう。

IPSI事務局は、IPSIコミュニティ内の多くの友人、森林保護コミュニティ全体、友人、同僚など、多くの人々同様、リー氏の死を悼み、心よりご冥福をお祈りします。

John at field activities for APAIC. Photos below by APAIC

John Leigh APAIC
John Leigh APAIC 2 cropped

ご遺族からのメッセージ

ジョンは正直で、親切で、冒険好きで、楽しい人でした。家族を大切にし、長男で一人息子だったため、妻と二人の子供だけでなく、兄弟や、姪、甥にとっても大黒柱でした。多くの友人との交流を大切にし、集まりを欠かしませんでした。ビーチで過ごすこと、蘭の花の手入れ、バードウォッチング、クラシックロックやブルースを聴くことなどを好みました。彼は二人の子供、ヴァネッサとジェームスを誇りに思っていました。ペルー北部に設計したビーチハウスが彼の自慢でした。家の中の装飾品には、彼の性格だけでなく、彼の経験や旅行、自然への愛が反映されています。カマナでの情熱的なプロジェクト、逆砂漠化プロジェクトは、彼の生涯をかけた環境保護への献身によって実現したものであり、彼の誇りでした。

運営委員会メンバーからのメッセージ

  • 友人であり同胞あるジョン・リー逝去のニュースはとても悲しいです。生物多様性友愛の仲間として、ジョンはその職務を全うしました。そんな彼を予告なしに失ったことは、とても悲しいことです。ジョンは私にとって兄弟のような存在でした。彼はIPSIにける多くの困難な業務について、前向きに議論してくれました。戦略計画策定における彼の貢献は比類がありません。彼の意見は常に簡潔で要点を押さえていました。彼の死を悼みます。彼の優しい魂の安らぎと、残されたご家族のために祈ります。
- アルフレッド・オテン・イェボア氏(IPSI運営委員会議長)


  • ジョンは、IPSIの重要なメンバーとして献身的に活動し、国・地域・世界レベルで生物多様性の保全と持続可能な利用に多大な貢献をされました。とても寂しく思います。ご冥福をお祈り申し上げます。
- 鈴木渉氏(生物多様性条約事務局)


  • 親愛なるジョン、SATOYAMAイニシアティブへの多大なる貢献と、ウィットに富んだユーモアとセンス、そして友情に感謝します。あなたの笑顔と人生に対する前向きな姿勢を、大切にしていきます。
- マウリツィオ・フェラーリ氏(フォーレスト・ピープルズ・プログラム)


  • 彼の逝去を知り、大きな悲しみに包まれています。彼の友情、洞察力、そして熊本ワークショップへの参加をはじめとしたIPSIへの貢献は大いに惜しまれるでしょう。ご遺族の皆様に心よりお悔やみ申し上げます。
- 浜一朗氏(環境省自然環境局 自然環境計画課 生物多様性戦略推進室)


  • ジョンの訃報に接したIPSI関係者全員がとてもショックを受けていると確信しています。彼はIPSI運営委員会の素晴らしい同僚であり、素晴らしい友人でした。彼と一緒に仕事をした人たちは、彼がIPSICBDのイベントにおいて進行役を務めたり、長年にわたる自然保護の経験から得た専門知識を共有するに際し、常にそのスキルと熱意に感銘を受けていました。個人的には、世界各地の会議会場でジョンと過ごし、時には夜遅くまでワインを飲んだことが良い思い出です。彼は自然保護に取り組むのと同じくらい、人生を楽しむことに没頭していました。彼の死は本当に無念です。
-ウィリアム・ダンバー氏(コンサベーション・インターナショナル)
IPSI事務局は、この追悼文の作成にあたり、リー氏のご遺族、ホルヘ・マリュー氏(APAIC会長)、ウィリアム・ダンバー氏(コンサベーション・インターナショナル プロジェクト・マネージャー)にご協力いただいたことに感謝の意を表します。
お知らせ

新規IPSIメンバーの紹介

この度、IPSI運営委員会は、IPSIメンバーとして新たに6団体の加入を承認しました。これにより、IPSIメンバーは合計で298団体となりました。新規メンバーは以下の通りです。

NGO / 市民団体
政府機関(省庁)
企業

新規IPSI協力活動の紹介

IPSI運営委員会は、新たに2つの IPSI協力活動を承認し、IPSI協力活動は合計60件となりました。新規協力活動は以下の通りです。

赤道賞(Equator Prize) 公募開始

Equator Prize 2023 Newsletter banner
📢 赤道賞(#EquatorPrize 2023)の公募が開始されました!

国連開発計画(UNDP)では、自然を利用した解決策や、 #localactionを活用している地域密着型の取組を募集中です。

🌍 惑星のセーフティネット構築
🌳 自然との関わりの再定義
💲人と地球のための新しいグリーンエコノミーの創造

生態系の健全性、世代間の公平性、男女平等に関する取組を優先します。

応募方法、対象者、受賞の可能性については、以下のリンク先をご覧ください。応募締切は2023年3月20日です。
ニュース

Nature for Life HubがIPSIの生物多様性・健康・持続可能性に関する研究を紹介

SITR7 Video Newsletter Banner
2022 Nature for Life Hub は、政府、非営利団体、市民団体、企業、先住民、ユースを集め、3日間のオンラインイベントを開催し、ネイチャー・ポジティブな未来に向けた社会変革的な行動について議論しました。IPSI事務局およびUNU-IASは、去年出版されたSATOYAMAイニシアティブ主題レビューの最新巻「 社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)における生物多様性-健康-持続可能性の相互関連性(Biodiversity-Health-Sustainability Nexus in Socio-Ecological Production Landscapes and Seascapes (SEPLS)」を紹介するビデオを制作しました。

詳細はこちらから

SDM2022採択プロジェクト開始ワークショップを初開催

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2023年1月30日、SDM事務局を務める、公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)と国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、SATOYAMA保全支援メカニズム(SDM)のプロジェクト開始ワークショップを初めて開催しました。本ワークショップでは、SDMの実施および報告の手順について、プロジェクト実施者からの説明があった他、IPSIメンバー同士のネットワーク構築の機会が提供されました。

SDMは、IPSI協力活動の一つで、IPSIメンバーの活動を支援する資金調達メカニズムです。2022年の提案募集では、SDMの枠組が刷新され、プロジェクト当たりの助成金額の増額、優先分野と昆明・モントリオール生物多様性枠組との整合性の強化、プロジェクト開始ワークショップと完了ワークショップの導入などの変更が発表されました。

本件に関するニュースはこちらからご覧ください。

元IPSI事務局スタッフ、ブルーノ・レレスからのメッセージ

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親愛なるIPSIメンバーの皆様

IPSIファミリーの一員として活動できたことを光栄に思います。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の大流行という困難な時期に国連大学に参加して以来、世界中から集まった素晴らしい同僚やIPSIメンバーに歓迎され、疲れや孤独を感じることなく過ごすことができました。

皆さんは、IPSIを生産的に保ち、近年直面している多くの課題への解決策を見出すよう、私を奮い立たせてくれました。私は皆さんから、SEPLSの概念が、生物多様性、健康、持続可能性のつながりを強化し、COVID-19の蔓延と戦うための行動をどのように支援したか。地方自治体が、革新と伝統を融合させ、持続可能なランドスケープを再構築するために、どのように若者を鼓舞出来るか。SATOYAMAイニシアティブが2010年の構想から、70ヵ国以上、300近くのメンバーが参加する大きなパートナーシップへどのように発展してきたか、を学ぶことができました。皆さんと一緒に、IPSIの新たな10年に待ち受けているものについての議論をはじめ、皆さんの膨大な知識をポスト2020生物多様性枠組の交渉に生かすことを支援できたことに大きな喜びを感じました。

私は、生産ランドスケープにおける持続可能性と生物多様性の保全の強化が、自然への調和を実現する鍵であると、これまで以上に確信するようになりました。そのため、私は昨年IPSIを離れ、IPBES事務局に参加して、生物多様性、水、食料、健康の相互関係のテーマ別評価の支援を担当することになりました。新しい立場になっても、持続可能性へのネクサス対応オプションの背後にある科学を深く掘り下げ、IPBESの専門家やステークホルダーとして、多くの皆さんと引き続き協働できることを嬉しく思います。

これからも皆さんと連絡を取り合い、皆さんの成果の最新情報を聞くことを楽しみにしています。私たちは、より良い科学と政策のために協力することで、生物多様性の危機を防ぐことが出来ます。この戦いにおいて、私を頼りにして頂けたら光栄です。

ブルーノ・レレス
最近の出版物

Bridging Between Owners and Users in Japan’s Private Property Regime: The Case of Farmland Banking

書籍「The Political Economy of Land」には、西麻衣子氏(IPSI事務局、リサーチフェロー)が執筆した一章「Bridging Between Owners and Users in Japan’s Private Property Regime: The Case of Farmland Banking」が掲載されています。本章では、1980年以降の農業人口の減少や大規模な農地放棄を緩和するために導入された農地バンク制度を通じて、日本の農地の権利がどのように再編成されたかについて検証しています。農地バンク制度は、都道府県が個人所有の農地を第三者に転貸し、農地集約を促進する新たな権限を与えるものです。

The Politics of Adaptiveness in Agroecosystems and its Role in Transformations to Sustainable Food Systems

Earth System Governance journal誌には、スニーサ・サブラマニアン氏(IPSI事務局、リサーチフェロー)が共著した論文「The Politics Of Adaptiveness In Agroecosystems And Its Role In Transformations To Sustainable Food Systems 」が掲載されています。本稿は、農業生態系における適応性を管理する最近のパラダイム(ランドスケープ概念を含む)をレビューし、持続可能な食料システムに向けた農業生態系の変革を管理するために、このパラダイムのギャップと可能性を明らかにしています。
ケーススタディ紹介

Cooperative of Farmers’ Association with Communities for Ecological and Organic Scale Production of Rice Industry

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The local agricultural products with the “Black-winged Kite” brand (Image source: Wu-Feng District Farmers’ Association)

IPSIメンバーである台湾の行政院農業委員会水土保持局(SWCB)と中華民国農業行政院のケーススタディ「Cooperative of Farmers’ Association with Communities for Ecological and Organic Scale Production of Rice Industry 」をご紹介します。

台湾の呉鳳区は有名な農業地帯です。しかし、農家の低所得や農薬の過剰使用は、地域の発展を妨げる厄介な問題となっており、農民間の対立を解消し、農地生態系の野生生物を保護することを妨げていました。

呉鳳農民会、台湾農業研究所、行政院農業委員会水土保持局、国立中興大学は、農家を支援し、農地生態系を保護するためのマルチステークホルダー・プラットフォームを形成しました。このプラットフォームは、農民の認識や、農法を有機農業へと変革することにより、収入の増加や生態系回復を可能にしました。有機農業における農民の行動の変化と野生生物保護の強化により、地域の生物多様性保全と分野横断的な協力に基づく農業経済の見通しとの間のバランスを促進しました。
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ニュースレターで配信を希望されるイベント等の情報がございましたら、IPSI事務局までご連絡ください。

また、日本語の記事をお送りいただければ日本語版ニュースレターに掲載いたします。

SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)事務局国際連合大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)東京都渋谷区神宮前5-53-70電話:03-5467-1212(代表)E-mail: isi@unu.edu

連絡先やメールアドレスに変更があった場合は、事務局までお知らせください。当ニュースレターの配信登録はこちら

Cover photo by Jeremiah Berman on Unsplash
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The activities of the IPSI Secretariat are made possible through the financial contribution of the Ministry of Environment, Government of Japan

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