International Satoyama Intiative

SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)は、持続可能な社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)の価値を世界で広く認識してもらうことによって、その保全と再生を促進する取り組みです。

カトマンズ(ネパール)での地域会合開催報告

2013年5月14-15日に、ネパール政府森林土壌保全省とIPSI事務局が共催し、16の国と61名の専門家の参加を得てSATOYAMAイニシアティブのアジア地域ワークショップを開催しました。

Workshop participants together with Hon. Minister

テック・バハドゥール・タパ・ガルティ森林土壌保全省大臣とワークショップ参加者

アジア地域ワークショップは2日間に渡り、テック・バハドゥール・タパ・ガルティ森林土壌保全省大臣の開会挨拶から始まりました。彼は、ネパール森林土壌保全省が現在改訂中の生物多様性国家戦略・行動計画の持続可能な資源利用において、SATOYAMAイニシアティブを更に推進する内容となっていることや、地域レベルでネパールが実施している保全活動が生物多様性条約の目的に資するものであることを強調しました。

渡辺陽子氏(地球環境ファシリティ、生物多様性上級専門家)とクリシュナ・チャンドラ・パウデル博士(ネパール森林土壌保全省長官)両議長が、アジア地域ワークショップの目的である、1)SATOYAMAイニシアティブに関連した知識と経験の共有、2)IPSI活動の更なる推進とアジア地域での理解と連携の強化、3)IPSI戦略と行動計画の更なる深化 について紹介を行い本会議が開始いたしました。

Hon. Minister Tek Bahadur Thapa Gharti and

ワークショップ後のレセプションの様子

ワークショップ初日は、3件の事例紹介プレゼンテーションが行われました。

1.ゴパール・ラワット博士(国際山岳地総合開発センター、生態系サービス主任研究員):国際山岳地総合開発センターは、ヒンドゥークシュ山脈を中心とした8カ国の国境を越えた開発プロジェクトを行っているが、ゴパール氏は事例を用いて国境を越えた取り組みの複雑さや効果的な保護地区管理について説明を行いました。

2.ゴパール・ラジ・シェルチャン氏(地球環境ファシリティ・小規模融資プログラム・ネパールコーディネーター):ネパールにおけるSATOYAMAイニシアティブ推進プログラム(COMDEKS)の状況について紹介し、5年間に渡る実施計画を推進するための参加型の指針においてレジリエンスの指標が果たす役割について強調しました。

3.メグ・ナス・カフレ氏(土壌保全省):ネパールにおいて、コミュニティによって管理されたランドスケープが、どのように生物多様性の保全に貢献してきたかを説明し、日本とネパールの共通点であるモザイク型のランドスケープの重要性やこうしたランドスケープの縦横のつながりを強調し、また、生物多様性の保全を確保するための森林・農地・生態移行帯・水土壌の統合管理が直面している課題について述べました。

事例紹介のプレゼンテーションに続いて、小グループに分かれたディスカッションの時間が設けられ、参加団体のSEPLSに関する経験やSATOYAMAイニシアティブ・IPSIの活動内容への期待等が共有されました。小グループのディスカッションでは、以下3つの主題が提示されました。

a) アジアにおける社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)での経験の共有

b) SEPLSでのプロジェクト実施の際に機会・課題となることの特定

c) 上記で課題とされたことに対するIPSIとしての貢献の機会

小グループでのディスカッションでの結果は、その後の総会で再度共有されました。

Participants engaging in small group discussions

小グループでのディスカッションの様子

総会での発表を準備している様子

ワークショップの総括として両議長は、今後IPSIが継続して組織・地域レベルで展開していくべき分野があることを強調し、参加者からの提案として以下の点を指摘しました。

  • 世界における、日本の里山と似ている地域を継続して特定していくことの必要性
  • 継続してIPSIのネットワークを拡大・強化していくことの重要性
  • ランドスケープ・レベルでの活動を国家・地域において推進していく際の資金調達戦略
  • 能力開発やランドスケープ、保全への理解を深めるための方策
  • 活動を実行する際に、文化的価値や伝統知識、ジェンダーの問題が考慮されるべきであること
  • 気候変動との潜在的な関係性が、様々な段階で考慮されるべきであること

閉会演説において、IPSI事務局長である竹本和彦氏はワークショップでの活発な議論に感謝し、ワークショップでの成果や提案を受けてIPSIが進化していくことを強調した。

ワークショップを共催したクリシュナ・チャンドラ・パウデル博士(ネパール森林土壌保全省長官)は、最後に「生物多様性は全てに関わる事柄で、毎日が生物多様性の日である」と述べ、ワークショップを閉会しました。

ワークショップ翌日にはネパール国森林土壌保全省主催の現地視察があり、カトマンズ郊外のジャナガル、クシャデビにおける、ネパールの社会生態学的生産ランドスケープ(SEPLS)を周りました。

ネパール農村のモザイク型ランドスケープ

Dr. Krishna Chandra Paudel (Secretary, MoFSC Nepal) guiding an excursion for workshop

現地視察をガイドするクリシュナ・チャンドラ・パウデル博士(ネパール森林土壌保全省長官)

ネパールに典型的なモザイク型ランドスケープの風景

関連資料

Joint Communique Issued by the Workshop Co-organisers