IPSIニュースレター2020年1月号

2020.01.29

IPSIニュースレター20201月号(日本語版)ポスト2020生物多様性枠組の策定に関する最新情報、IPSIに関する最新論文の紹介他

 
 皆様いかがお過ごしでしょうか。20201月号のIPSIニュースレターをお届けします。日本語では概要のみご紹介しておりますので、詳細は本文をご覧ください。



1.ポスト2020生物多様性枠組の策定プロセスに関する最新情報
 IPSIパートナーと事務局は、生物多様性条約(CBD)の下で議論されている「ポスト2020生物多様性枠組」の策定プロセスにおいて、「社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)」を含むランドスケープアプローチが重要な要素の一つとして、次期枠組に組み込まれるよう、今年も引き続き積極的に働きかけてまいります。

 今月の最新情報として、まずCBD事務局が次期枠組のゼロドラフトを公表しました。こちら(英語)よりダウンロード可能です。本素案に、ランドスケープアプローチ自体への直接的な言及はないものの、その基本概念の多くが、包括されています。

 次に、CBD事務局は、ポスト2020生物多様性枠組の実現可能な目標や指標、基準に関する以下2つの意見公募を行っています。

 
 枠組にランドスケープアプローチを組み込むためにも、皆様ぜひご意見をCBD事務局にご提出ください。

 また、IPSI事務局のスタッフは、来月、中国の昆明で開催予定の以下の会合に参加予定です。ご参加予定の方は、ぜひIPSI事務局までご連絡ください。

 ポスト2020生物多様性枠組プロセスに関する詳細はこちら(英語)をご覧ください。





2.論文掲載のお知らせ: 持続可能な解決のためのマルチレベルネットワーク:IPSIを事例に

 国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)の学生であるRaffaela KozarらによるIPSIの事例研究プロジェクトに関する論文が査読付き学術雑誌「Current Opinion in Environmental Sustainability」に掲載されました。本論文は、IPSIの事例研究の中から、ソリューションスキャニング手法で特定した優良事例と成果を紹介しています。IPSIのような協働ネットワークは、SEPLSにおける生物多様性の保全や持続可能な開発といった課題に対し、知識の共有と解決策の実施を通じて、取組規模の拡大に寄与していると評価しています。社会ベースのソリューションスキャニングのような体系的アプローチを通して解決策を分析することで、SEPLSの管理における優先順位付けと統合を通して、強靭で持続可能な社会を実現するための道筋が示されると述べています。本論文は、SEPLSの概念とIPSIの関係における科学的根拠をさらに裏付ける大きな一歩です。ぜひご一読ください。

 本論文はこちら(英語)よりご覧いただけます。

 

3.UNU-IAS 2020年度大学院プログラムの入学願書受付開始

 UNU-IASは、2020年度大学院(修士・博士)プログラムの入学願書を受付中です。両プログラムとも20209月に開始し、講義はすべて英語で行われます。

<締め切りについて>
 入学願書の応募締切は、修士課程サステイナビリティ学2020228日、博士課程サステイナビリティ学2020410日です。
 出願はUNU-IASonline application website(英語)から可能です。本プログラムの詳細は、こちらを覧ください。質問等は、こちらまでお願いします。

<プログラムについて>
 UNU-IASのプログラムは、持続可能な未来の実現に向け、特にサステイナビリティに関する世界的な取組の最前線で活躍できる人材の育成を目指しています。
 学生は、国連の枠組下にある国際的な大学で学ぶという、またとない機会を得ることができます。また、UNU-IAS政策研究プロジェクトに積極的に関わることで、学術的知識に加え、実践的な研究能力を身につけることができます。

 本プログラムは、国連機関やその他の国際機関、政府関係機関、国際NGOや民間企業等における国際的なキャリアを目指す新卒者、社会人、実務者を対象としています。学生は、UNU-IASだけでなく上智大学や国際基督教大学などでも単位を取得することができ、東京大学大学院新領域創成科学研究科(UT-GSFS)や上智大学とはジョイント・ディプロマプログラムも実施しています。

 UNU-IASの修士課程では東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻とのダブル・ディグリープログラムを開始します。両大学の入学試験に合格した学生は、東京大学での2年間の修士課程の後にUNU-IASでの1年間の修士課程を経て、最短で3年間で2つの修士号を取得する機会も与えられます。多くの方のご応募をお待ちしております。またお知り合いにも是非ご周知ください。




4.プロジェクト紹介:シャブンダプロジェクト(The Shabunda Project

 コンゴ民主共和国を拠点とするIPSIパートナーの「環境再生事業団 (GIERI)」は、コンゴ盆地のシャブンダ熱帯雨林を保護する大規模プロジェクトを開始しました。本プロジェクトは、森林を保全するだけでなく、当該地域の先住民に最大限の社会経済的便益を提供する、責任ある開発の取組を支援するものです。プロジェクトは二段階からなり、第一段階では、カーボンオフセットと地元先住民の保護を目的としたQuantum Qarbon制度の認定地域を創造し、第二段階では、認定地域における森林の再生および二酸化炭素フラックス(吸収・放出)の観測を行います。

 本プロジェクトの詳細はこちら(英語)をご覧ください。また、映像による紹介はこちら(英語)をご覧ください。






5.ケーススタディ紹介:ノイマルクト・ ランドケア協会(ドイツ)

 IPSIパートナーであるドイツの非営利団体「ノイマルクト・ランドケア協会は、バイエルン州のノイマルクト・イン・デア・オーバープファルツ地域のジュラ紀から変わらない景観の多様性と独自性を保全し、その価値を高めるために、文化的景観を活用しながら保全するプロジェクトを行っています。
 当該地域は、1950年代初頭までの集約的放牧により、独自の文化的景観が形成され、多くの生物がモザイク状で豊かな景観に適応・依存してきました。2002年に、当団体は同州の他の3つのランドケア協会とともに、以下の目標を掲げ、文化的景観に関するバイエルン州全体の生態学的ネットワークを立ち上げました。


  • 持続可能な土地利用のための包括的システムによる生物多様性の維持と最適化
  • 絶滅危惧種の生息地の保護や分断化された生息地の結び付け、あるいは新たな生息地の創造
  • プロジェクトの広報や環境教育、環境負荷の低い観光による生物多様性と自然保全意識の啓発 

 これらの目標を達成するには、農薬や化学肥料を使用しない伝統的農業と同地域の豊かな生物多様性を維持するための伝統的土地利用を維持、促進することが不可欠です。これは、持続可能な方法で生産された農産物を販売する市場があってはじめて、長期的な継続が可能となります。そこで、持続可能な農法による地元農産物にラベル付けをし、従来品との差別化を図ることにしました。
 ノイマルクト・ランドケア協会は他3つのランドケア協会と協力し、地元政府の支援も得て、2004年に「Juradistl」という商標で地域マーケティングの実施と管理を開始しました。今や当該ブランドは、南ドイツにおける主要な生物多様性プログラムの一つとなっています。
詳細はこちら(英語)をご覧ください。

 

 なお、本ニュースレターで共有を希望されるイベント等の情報がございましたら、IPSI事務局までご連絡ください。また、日本語の記事をお送りいただければ日本語版ニュースレターに掲載致します。皆様からの情報提供をお待ちしております。

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SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)事務局
国際連合大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS
東京都渋谷区神宮前5-53-70
電話:03-5467-1212(代表)
E-mail: isi@unu.edu

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