IPSIニュースレター2021年2月号

2021.02.25

IPSIニュースレター20212月号(日本語版)【UNU-IAS 2021年度大学院プログラムの入学願書受付開始、他】
 
 三寒四温の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。新型コロナウィルス感染症の収束が未だ見えない中、IPSI事務局は在宅勤務を続けてはいるものの、「自然と調和する社会」に向けたランドスケープ・シースケープ・アプローチに関連する様々なプロジェクトや活動に積極的に取り組んでいます。皆様も引き続き健康と安全に留意してお過ごしください。

 さて、2021年2月号のIPSIニュースレターをお届けします。日本語では概要のみご紹介しておりますので、詳細は本文をご覧ください。

1.UNU-IAS 2021年度大学院プログラムの入学願書受付開始

 UNU-IASは、2021年度大学院(修士・博士)プログラムの入学願書を受付中です。両プログラムとも2021年9月に開始し、講義はすべて英語で行われます。

<締め切りについて>
 入学願書の応募締切は、修士課程サステイナビリティ学が2021年3月12日、博士課程サステイナビリティ学が2021年4月9日です。本プログラムの詳細や出願方法は、こちらを覧ください。

<プログラムについて>
 UNU-IASのプログラムは、持続可能な未来の実現に向け、特にサステイナビリティに関する世界的な取組の最前線で活躍できる人材の育成を目指しています。学生は、国連の枠組下にある国際的な大学で学ぶという、またとない機会を得ることができます。また、UNU-IASの政策研究プロジェクトに積極的に関わることで、学術的知識に加え、実践的な研究能力を身につけることができます。

 本プログラムは、国連機関やその他の国際機関、政府関係機関、国際NGOや民間企業等における国際的なキャリアを目指す新卒者、社会人、実務者を対象としています。学生は、UNU-IASだけでなく上智大学や国際基督教大学などでも単位を取得することができ、東京大学大学院新領域創成科学研究科(UT-GSFS)や上智大学とはジョイント・ディプロマプログラムも実施しています。

 UNU-IASの修士課程では東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻とのダブル・ディグリープログラムを開始します。両大学の入学試験に合格した学生は、東京大学での2年間の修士課程の後にUNU-IASでの1年間の修士課程を経て、最短で3年間で2つの修士号を取得する機会も与えられます。多くの方のご応募をお待ちしております。またお知り合いにも是非ご周知ください。

2. IPSIのケーススタディプロジェクトがユネスコアジア太平洋文化遺産保全賞を受賞

 IPSIパートナー、香港大学社会科学部サステイナビリティ政策研究室によるIPSIケーススタディ「Living Water & Community Revitalization – An Agricultural-led Action, Engagement and Incubation Programme at Lai Chi Wo (Sustainable Lai Chi Wo Programme)」の元となったプロジェクトが、2020年度ユネスコアジア太平洋文化遺産保全賞の第1回持続可能な開発・特別賞を受賞しました。香港の北東部Lai Chi Wo(茘枝窩)にて、荒廃した伝統的な農業ランドスケープを活性化するという本研究室のLai Chi Woプログラムは、「かつて見捨てられた農村の文化的景観を再生させるための先駆的な取組である」と称されました。

 Lai Chio Wo(茘枝窩)村とHSBCの全面的支援の下、2013年に開始された本プロジェクトは、「持続可能なLai Chio Wo(茘枝窩)」と「HSBC農村の持続可能性」という2つの連続したプログラムで構成されています。審査員は、このプロジェクトを「自然に基づく解決策を用いて、客家民族の歴史的な農耕地の総合的に再生するという、持続可能な開発に関する重要な取組である」とし、「自然遺産と文化遺産を重要性を絡めて、香港特別行政区およびその他の都市・農村の持続可能性に関する新たなアジェンダ策定の重要性」を示したことを称賛しました。この賞は、持続可能性への強いコミットメントを共有する多くの個人や組織が協力してプロジェクトを進めてきた努力が評価されたものです。


 Lai Chi Wo(茘枝窩)の再生に関する紹介ビデオはこちらからご覧いただけます。

3.ケーススタディ紹介:フィリピン大学オープンユニバーシティ・ロスバニョス校/国立イフガオ大学

 今月は、IPSIメンバーであるフィリピンのフィリピン大学オープンユニバーシティ、フィリピン大学ロスバニョス校および国立イフガオ大学によるケーススタディ「Re(Connecting) with the Ifugao Rice Terraces as a socio-ecological production landscape through youth capacity building and exchange programs: A conservation and sustainable development approach 」をご紹介します。本ケーススタディは、SATOYAMAイニシアティブ主題レビュー第五巻にも掲載されています。

 フィリピンのイフガオ棚田(IRT)は、1995年にユネスコの世界遺産に登録され、2005年には、国連食糧農業機関によって、フィリピンで初めての世界農業遺産(GIAHS)にも指定されました。これらの認定にも関わらず、イフガオ棚田は、生物文化的多様性および社会生態システムの管理不足、整備不良、棚田の放棄、規制されていない観光活動、若者の移住など、様々な課題に直面しています。これらの課題に対処し、イフガオ棚田を回復し、その保全と持続可能な開発を支援するために、様々なセクターによる復興努力と取組が進められました。


 本ケーススタディでは、イフガオの若者たちが再び一丸となり、そして都市部の若者をSEPLS(社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ)としてのイフガオ棚田とつながることを目的とした、若者の能力構築と交換プログラムについて検証しています。イフガオの若者は、イフガオ棚田をその景観美および世界農業遺産への指定という価値からのみ捉えていると報告された一方、都市部の若者は、交換プログラムを通じて、イフガオ文化のナレッジと価値体系に触れ、その経験によりイフガオの棚田と自然に関する様々な価値を学ぶことができました。このプログラムをイフガオ棚田に関わる他の若者や、他のSEPLSにも拡大させることを推奨しています。

 本ケーススタディの詳細はこちら(英語)をご覧ください。

 本ニュースレターで共有を希望されるイベント等の情報がございましたら、IPSI事務局までご連絡ください。また、日本語の記事をお送りいただければ日本語版ニュースレターに掲載いたします。皆様からの情報提供をお待ちしております。

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SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)事務局
国際連合大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)

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電話:03-5467-1212(代表)
E-mail: isi@unu.edu

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