IPSIニュースレター2021年1月号

2021.01.28

IPSIニュースレター20211月号(日本語版)【ジャパンタイムズにIPSIに関する記事の掲載、他】
 
 寒い日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。新型コロナウィルス感染症の収束が見えない中、IPSI事務局は在宅勤務を続けてはいるものの、「自然と調和する社会」に向けたランドスケープ・シースケープ・アプローチに関連する様々なプロジェクトや活動に積極的に取り組んでいます。皆様も引き続き健康と安全に留意してお過ごしください。


 さて、2021年1月号のIPSIニュースレターをお届けします。日本語では概要のみご紹介しておりますので、詳細は本文をご覧ください。

1.ジャパンタイムズにIPSIに関する記事の掲載

 IPSI事務局のイヴォーン・ユー(UNU-IAS研究員)のインタビュー記事が、ジャパンタイムズの「サステナブル・ジャパン」のコーナーに掲載されました。本記事は、主にIPSIについて取り上げており、日本や世界の持続可能性のためのSATOYAMAイニシアティブの原則の重要性について、海と森林の関係性を例に挙げて明確に説明しています。

 本記事は、こちら(英語)からご覧いただけます。ぜひご一読ください。

2. SEPLSとしての山岳に関する記事紹介

 オンラインマガジンの@UGAResearch に、IPSIメンバーである米国のジョージア大学地理学部新熱帯山岳学共同実験室のファウスト・サルミエント教授の「Down from the mountain: Mountains as socio-ecological landscapes」と題された記事が掲載されました。本記事は、文化と自然、両方の観点から山岳ランドスケープとその重要性を説明した上で、長年にわたって科学界で支持されてきたモデルを覆す、山岳生態系の新たな解釈について、SATOYAMAイニシアティブおよび社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)の概念と関連付けて述べています。

 本記事は、こちら(英語)からご覧いただけます。ぜひご一読ください。

3.ウェビナー「生物多様性の危機と企業の対応」の開催報告

 在日英国商工会議所(BCCJ)は、「生物多様性の危機と企業の対応(The Biodiversity Crisis and the Corporate Response)」と題したウェビナーを1月22日に主催しました。本ウェビナーは、地球環境における生物多様性を保護する上で、企業、政府、および非営利セクターなど様々なタイプの組織による、様々な役割や取り組みにおける関与の促進を目的に開催されました。

本ウェビナーでは、IPSI事務局の渡辺綱男(UNU-IASシニアプログラム・コーディネーター)などの専門家による基調講演が行われました。パネリストは、世界が真の生物多様性危機に直面していることから、生物多様性が本年および今後の主要な政策プロセスの中心であり、政府や組織にとっての優先事項になるだろうと述べました。

 本イベントの詳細、および収録動画は、BCCJのウェブサイトをご覧ください。

4.PANCES:モデリングに関するオンラインセミナー開催

 IPSIメンバーである公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)がプロジェクトを統括しているPANCES(社会・生態システムの統合化による自然資本・生態系サービスの予測評価)は、社会生態系の統合モデルを構築し、将来の自然資本や生態系サービス、およびその価値を評価する研究を進めています。本プロジェクトでは、2021年3月10日に学生や若手研究者向けのセミナーを開催し、基礎理論やモデリング方法論、および将来のシナリオ分析、土地利用と被覆変化分析、生態系サービス評価を研究するための具体的なケーススタディを紹介します。セミナーは、2021年3月10日15時~18時30分(日本時間)にオンラインで開催され、登録の上、無料で参加可能です。

 本セミナーの詳細および登録は、こちらをご覧ください。

5.IPBES:価値評価 第2稿 外部レビュー募集
 
 生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)は、「生物多様性および生態系の機能とサービスを含む自然とその恵みに関する多様な価値観の概念化に関する方法論的評価」、すなわち「価値評価」について外部レビューを募集しています。

 2回目となる今回の外部レビューは、政府や科学者、意思決定者、実践者、そのほか識者や有資格者等の専門家を対象としています。評価の科学的な高水準と政策的な妥当性を確保するため、学際的専門家パネルは、関連する全ての分野の専門家からの幅広い参加を求めています。IPSIメンバーで該当する方は是非ご参加ください。

 本レビューに関する詳細はこちら(英語)をご覧ください。

6.ケーススタディ紹介:インド・エネルギー資源研究所(TERI

 今月は、IPSIメンバーであるインド・エネルギー資源研究所(TERI)のケーススタディ「Mainstreaming Community-Conserved Areas (CCAs) for biodiversity conservation in SEPLS – A case study from Nagaland, India 」をご紹介します。本ケーススタディは、SATOYAMAイニシアティブ主題レビュー第五巻にも掲載されています。

 インドのナガランドでは、伝統的な保全活動が生物多様性の保護に役立っており、特に森林劣化と野生動物の喪失への対応として、1800年代初頭にコミュニティ保全地域(CCAs)が宣言されたという記録があります。

CCAsによる伝統的保全活動の復活は、地域コミュニティが生産的移動耕作地の中に森林区画を確保することで、保全及び生態系の回復力向上に資することが期待されます。ランドスケープ全体にCCAsを設置・連結させ、生計手段の発展を通じた保全の支援を目的とした試験的なプロジェクトが、ナガランドの3つの村で開始されました。採用されたモデルは、伝統的な保全活動を復活させ、補完的な生活手段を提供することによって、これらの山岳コミュニティと森林の回復力を強化することを目的としています。共同CCA設置後、各コミュニティが天然資源の保全向上とSEPLSの共通資源管理の改善を報告したことから、本プロジェクトが効果的であったことは明らかです。

 本ケーススタディの詳細はこちら(英語)をご覧ください。



 本ニュースレターで共有を希望されるイベント等の情報がございましたら、IPSI事務局までご連絡ください。また、日本語の記事をお送りいただければ日本語版ニュースレターに掲載いたします。皆様からの情報提供をお待ちしております。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)事務局
国際連合大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)

東京都渋谷区神宮前5-53-70
電話:03-5467-1212(代表)
E-mail: isi@unu.edu

連絡先やメールアドレスに変更があった場合は、事務局までお知らせください。
□当ニュースレターの配信登録はこちら

*SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)は、日本国環境省の支援により運営されています。