IPSIニュースレター2020年8月号

2020.08.26

IPSIニュースレター2020年8月号(日本語版)【国連ハイレベル政治フォーラムにてSATOYAMAイニシアティブに関するサイドイベントの実施、他】

 
 暑い日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。新型コロナウィルスの世界的流行は依然として続いておりますが、皆様の安全をお祈り申し上げます。
 さて、20208月号のIPSIニュースレターをお届けします。日本語では概要のみご紹介しておりますので、詳細は本文をご覧ください。


1. 国連ハイレベル政治フォーラムにてSATOYAMAイニシアティブに関するサイドイベント開催

 

 2020716日、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)に関する国連ハイレベル政治フォーラム(High-Level Political ForumHLPF)」において、「自然共生社会の実現に向けたSATOYAMAイニシアティブ:コミュニティ・ランドスケープ・シースケープのための包括的なアプローチ」と題したサイドイベントを開催しました。

 本イベントは、UNU-IAS、日本国環境省、コスタリカ環境エネルギー省、国連開発計画(UNDP)、地球環境ファシリティ小規模無償プログラム(GEFSGP)、地球環境戦略研究機関(IGES)、生物多様性条約(CBD)事務局が主催し、各組織の代表がSATOYAMAイニシアティブやその関連課題について発表し、参加者と対話を行いました。オンラインの公開イベントとして開催された本イベントは、400人以上が視聴登録し、SATOTAMAイニシアティブとIPSIの取組を多くの人に知っていただく絶好の機会となりました。

 イベントの詳細および録画映像はこちらよりご覧いただけます。



新記事紹介:Invasive Alien Species and Local Communities in SEPLS

 

 IPSIメンバーのIGESとそのパートナーによって書かれた新しい記事が、学術雑誌「Environmental Science & Policy」に掲載されました。

 記事の要約を以下の通りご紹介します。

「侵略的外来種(Invasive Alien Species: IAS)の効果的な管理には、利害関係者の包括的な関与と、人とIASとがどのように関わっているのかを明確に理解する必要があります。地域社会とその周辺環境が相互依存する社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)においては、人とIASの相互作用は特に複雑です。

 科学文献のレビューから、SEPLS内の地域社会におけるIASの正負の影響への見解を調べ、人とIASの相互作用を理解し、効果的な管理戦略の立案を目指しました。

 地域社会への好影響がある場合に、IASが有用であるとの認識が生まれるものの、その管理方法について利害関係者間に論争を招く可能性が高いことがわかりました。このような衝突への対応策としては、利害関係者の参画を保持するために、IASの人への好影響を保持・増幅させながら、その封じ込めを協力して行っていくことです。ただし長期的にみると、SEPLSにおけるIAS管理には、長期目標と戦略の設定が必要です。」

 本記事はこちら(英語)より入手いただけます。

 

 
3.【締め切り間近】IPBES: テーマ別評価に関する外部レビュー

 本ニュースレター7月号でもお知らせしたとおり、「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(Intergovernmental Science-Policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services: IPBES)」は、「生物多様性損失の根本的要因、社会変革の決定要因、および生物多様性の2050年ビジョン達成に向けた選択肢」に関するテーマ別評価報告書に関するスコーピングレポート(骨子(章立て))草案の外部レビュープロセスを実施しています。

 これまでのIPBESの評価報告書や成果物には、生物多様性と生態系サービスへの取組を改善する有用なツールとして、すでにランドスケープアプローチが強調されていますが、引き続き、ランドスケープアプローチが世界の政策決定の場で良い形で影響をもたらすことができるよう、読者の皆様もぜひ本レビュープロセスにご参加ください。

 外部レビューの締め切りは2020828日です。詳細はこちら(英語)をご覧ください。



4.海洋のサステイナビリティに関するイベント実施

 2020722日、海洋プラスチック廃棄物と持続可能な漁業に焦点を当てた「水がなければ、命も、青も、緑もない。」というオンライン・トークイベント「Save Our Seas Talk Event」が開催されました。100人以上の参加者が、専門家の意見に耳を傾け、活発な議論を行いました。IPSI事務局のEvonne Yiu博士は基調講演者として、持続可能な生産と消費が、プラスチック廃棄物問題の解決にどのように役立つかを論ずると共に、SATOYAMAイニシアティブとIPSIが、海洋の持続可能性に果たす役割についても強調しました。

 本イベントの詳細、録画画像はこちらからご覧いただけます。



5.新メンバーの紹介:PEDAインターナショナル(People Empowering & Development Alternatives (PEDA)International

 今年、新たに9団体がIPSIに加わりましたが、今月号ではその中の一つである、パキスタンの社会的企業「PEDAインターナショナル(People Empowering & Development Alternatives (PEDA) International」をご紹介します。

 PEDAインターナショナルは、貧困と持続可能な開発の根本的な課題への代替的かつ革新的解決策を提供することを目指す開発コンサルティング会社です。主にコミュニティと産業プロジェクトに焦点を当て、研究活動と産業プロジェクトの評価から得た知識を、異なる地域やセクターで実施されるプロジェクト活動の学習と貢献を通じて人々に提供します。PEDAはレジリエンス(強靭性)に関するアプローチおよび枠組に取り組んでおり、特に農業、食料安全保障、気候変動、水、自然災害、その他の政治的、経済的、紛争による衝撃に対するレジリエンスに関する専門知識を有しています。主な取組は以下の通りです。

・地球変動、環境、レジリエンス、災害リスク低減

・文化、メディア、平和構築

・水の安全保障と移住

・気象情報システム(風力/気象予測代替エネルギー/早期警報システム)

・モニタリング、評価、調査

 本企業の詳細に関しては、こちら(英語)をご覧ください。



6.ケーススタディ紹介:ウン ノヨン・オンネション(バングラデシュ)

 バングラデシュのウン ノヨン・オンネションより、「The Sundarbans is our mind’: An exploration into multiple values of nature in conversation with traditional resource users」と題されたケーススタディが提出されました。本事例は「Satoyama Initiative Thematic Review vol.5SATOYAMAイニシアティブ主題レビュー第5巻)」にも所載されています。

 本研究は、バングラデュのシュンドルボン(The Sundarbans)地域にて伝統的な暮らしを送る人々による自然への多様な価値観に関して述べています。複数の根拠に基づくアプローチ(evidence-based approach)と、シュンドルボンの人々の参加型洞察と学際的で異端的観点を組み合わせた調査は、市場浸透価格による環境資源の評価では、人間と自然の相補性を通じて生み出される社会的利益や価値が考慮されないことを論証しています。シュルドルボンの人々は、森を、人間と自然の社会性を繁栄させる「彼らの心」とみなしています。伝統的な知識体系は、政府機関および非政府機関による支援と機会を与えられた場合に、保護地域そして「保護地域以外の地域をベースとする生物多様性保全手段(OECM)」においても生物多様性資源の持続可能な管理に大きく貢献し得ることを述べています。

 本事例の詳細はこちら(英語)からご覧ください。



 本ニュースレターで共有を希望されるイベント等の情報がございましたら、IPSI事務局までご連絡ください。また、日本語の記事をお送りいただければ日本語版ニュースレターに掲載いたします。皆様からの情報提供をお待ちしております。

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SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)事務局

国際連合大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS

東京都渋谷区神宮前5-53-70

電話:03-5467-1212(代表)

E-mail: isi@unu.edu

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