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国連生物多様性の10年記念シンポジウム 「いしかわ・かなざわから発信する生物多様性 10年のあゆみ」オンラインで開催

2020.06.03

2020年5月16日、UNU-IAS いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(OUIK)は、「国連生物多様性の10年(2011〜2020年)」を記念して、シンポジウム 「いしかわ・かなざわから発信する生物多様性10年のあゆみ 〜持続可能な次の10年に向けて〜」をオンラインで開催しました。約280名の参加者を得て、次の10年に向け、生物多様性とどのように向き合い持続可能な社会を作っていけるのかを共に考える機会としました。

武内和彦公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)理事長・国連大学上級客員教授の基調講演では、「国連生物多様性の10年」の活動を生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)から公表された報告を元に振り返りました。愛知目標やSDGsなどの、地球規模での持続可能性に向けたゴールの達成における、「トランスフォーマティブ・チェンジ(社会変革)」の必要性が強調されました。

小山明子UNU-IAS OUIK 研究員からは、生物多様性の保全に関する具体的な地域の取り組み事例として、石川県能登島長崎地区での「能登島自然の里ながさき」の活動紹介がありました。生物多様性調査・保護・モニタリングの継続と、生き物が育つことのできる環境維持が重要であり、そのためには地域に根差した取り組みが必要不可欠であると述べました。

さらに、ビジネスセクターからの展望を、藤田香日経BP 日経ESGシニアエディター・日経ESG 経営フォーラムプロデューサーが説明しました。近年のESG投資の傾向や企業側の取り組みが紹介されました。

パネルセッションでは、「この10年を振り返り、今後の10年について語る」をテーマに取り上げました。道家哲平 国際自然保護連合日本連合(IUCN-J)事務局長、鳥居敏男 環境省自然環境局長、イヴォーン・ユーUNU-IAS OUIK研究員が加わり、渡辺綱男UNU-IAS OUIK所長がモデレーターを務め、意見交換が行われました。それぞれが、市民団体、社会の一員としての立場、国の政策、立案に関わる立場、そして国際機関という立場から、今後の方向性について発表を行いました。あらゆる分野、産業、社会レベルにおいて連携・協力を強化し、新しい考え方やアイデアを共有していくことの重要性が指摘されました。また、生物多様性の多面的な価値をより多くの人が理解し、一人ひとりが解決者なることを目指そうとの提案がなされました。さらに、今回の新型コロナ感染症拡大に伴い、社会において多くの変化が余儀なくされている現状を、ひとつのトランスフォーマティブ・チェンジへのきっかけとしていくことを目指したいという方向性が示されました。

このシンポジウムのレポート全文(日本語)は、OUIKのウェブサイトにてご覧いただけます。