SDM

初となるSDM2022採択プロジェクト開始ワークショップを開催

2023.02.03

2023年1月30日、SDM事務局を務める、公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)と国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、初めてとなるSATOYAMA保全支援メカニズム(SDM)のプロジェクト開始ワークショップを開催しました。ワークショップでは、プロジェクトの実施者にSDMの実施と報告の手順について説明された他、IPSIメンバー同士のネットワーク構築の機会が提供されました。

SDM は、IPSI協力活動の一つで、IPSIメンバーの活動を支援する資金調達メカニズムです。2022年の提案募集では、SDMの枠組が刷新され、プロジェクト当たりの助成額の増額、優先分野と昆明・モントリオー生物多様性枠組との整合性の強化、プロジェクト開始ワークショップと完了ワークショップの導入などが主に変わりました。

ワークショップ冒頭、SDM事務局の三輪幸司氏は、初となるプロジェクト開始ワークショップの参加者を歓迎し、新しい枠組について説明しました。また、2013年から2021年にかけてSDMが世界26カ国で54件のプロジェクトに資金を提供し、支援したことを強調しました。続いて、SDM2022で採択された5つの団体が各プロジェクトについて発表しました。

Rashed Al Mahmud Titumir氏(ウン ノヨン・オンネション:UO)は、UOは、世界最大のマングローブの群生地帯であるシュンドルボンに影響を及ぼす課題を緩和し、適応するための先住民と地域コミュニティ(IPLC)による行動が、生態系の健全性や住民の生活水準、持続可能な生産と消費を向上させたかどうか調査することを共有しました。

Malin Jönsson氏(生命の種財団:FSVAC)は、FSVACは地域コミュニティの参画を促す活動を行っており、メキシコの地元で生産された種子の入手を保証し、トウモロコシの生物多様性と地域の食料供給を維持するために、本プロジェクトが立ち上げられたことを説明しました。

財団法人慈心有機農業発展基金会(TOAF)は、ここ数年、先住民の農業知識が台湾の生物多様性をどのように維持・強化しているかを調査してきました。Alice JJ Hsu氏 (TOAF) は、彼らの伝統的な知識を守るために、コミュニティ・シード・バンクと、食料や農業に関する教育と年長者が若い世代を指導するための学習施設を設立すると説明しました。

Kien Dang氏(社会政策エコロジー研究所:SPERI)は、IPLCを支援することで地域に根ざした保全とランドスケープ・アプローチを促進しながら、混合種農業と生態系回復を主流化するベトナムでのプロジェクトを紹介しました。また、Dese Yadeta Edesa氏(エチオピア生物多様性研究所)は、絶滅の危機に瀕しているエチオピアの植物Yehebを保全するために、自然に基づく解決策を通じた地域に根ざした保全と回復の取組を紹介しました。

最後に、IPSI事務局次長の柳谷牧子氏は、SATOYAMAイニシアティブは地域の活動に根ざしており、IPSIの重要な役割の一つは、このようなプロジェクトをつなぎ、世界中で知識を共有することであると強調しました。

すべてのプロジェクトが終了に近づくと、プロジェクトの実施団体は、プロジェクト完了ワークショップで結果や経験、教訓を共有します。

SDMは、UNU-IASとIGES、日本国環境省(MOEJ)により2013年に設立されました。詳細は、SDMウェブサイトをご覧ください。