International Satoyama Intiative

SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)は、持続可能な社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)の価値を世界で広く認識してもらうことによって、その保全と再生を促進する取り組みです。

「世界と日本の生物多様性総合評価発表記念シンポジウム:生物多様性のいま - いのちの共生を、未来へ -」

2010年5月10日、国連大学ウ・タント国際会議場において、「世界と日本の生物多様性総合評価発表記念シンポジウム:生物多様性のいま- いのちの共生を、未来へ-」(主催:国連大学、環境省、生物多様性条約(CBD)事務局、国連環境計画(UNEP))が開催され、「地球規模生物多様性概況第3版(GBO3)」および「日本の生物多様性総合評価(JBO)」が公式発表されました。GBO3については、東京を皮切りに、同日付で世界12か所で発表されました。GBO3とJBOの結果を踏まえ、研究者、NGO、企業、メディア、大使館関係者等を含むおよそ300名の聴衆を前に、社会における「生物多様性の主流化」についての議論が繰り広げられました。

シンポジウム議事概要

1.挨拶

田島環境副大臣、パク・ヨンウ国連環境計画アジア・太平洋事務所長、武内和彦国連大学副学長より挨拶が述べられた。また、アフメッド・ジョグラフ生物多様性条約事務局長および、COP10名誉大使のMISIA氏より、ビデオメッセージが伝えられた。

2.基調講演

1)ザクリ・アブドゥル・ハミドマレーシア政府科学顧問/GBO科学審査パネル共同議長

2010年目標が達成が不可能であること、及び、遺伝子、種、生態系の各レベルにおける生物多様性の損失の危機について強調した。また、生物多様性の損失が生態系の機能に与える影響について説明し、持続可能なモデルの一つとして、里山ランドスケープを紹介した。

2)中静透東北大学大学院教授/生物多様性総合評価検討委員会座長

生物多様性総合評価の目的、枠組み、結果について発表を行い、生物多様性の損失は、部分的には改善しているが、全体としての傾向は止まっていないとの生物多様性総合評価の結論を述べた。

3)渡邉綱男 環境省大臣官房審議官

地球規模生物多様性概況第3版(GBO3)と生物多様性総合評価により示された課題をふまえ、生物多様性保全に関する、COP10及びその先に向けた日本の取組みについて発表を行った。

3.パネルディスカッション

冒頭に、3名のパネリストによる発表が行われた。最初に、植田和弘京都大学大学院教授が、環境経済学の観点から生物多様性の価値について発表した。次に吉田正人国際自然保護連合日本委員会会長/生物多様性条約市民ネットワーク共同代表が、生物多様性保全への取り組みに対する、多様な人々の参画の必要性等について述べた。最後に、藤田香日経BP社環境経営フォーラム生物多様性プロデューサーが、生物多様性に対する人々の認識の不足と、企業での認識の高まりについて述べた。

次に、コーディネーターの武内副学長より、全パネリストに向けて、「GBO3の評価結果をどう受け止めるか、また今後はどういう方向を目指すべきか」という点について質問がなされた。各パネリストの回答は以下のとおり。

ザクリ氏:メッセージを強く多くの人に発する役割を担う人が必要であると同時に、草の根レベルでも伝えていく努力が重要である。

中静氏:今後は生物多様性の損失の日常生活への影響をも含めた評価を行う必要がある。また、生物多様性は保全の対象としてだけでなく、各地域の中で考えることが大切である。

植田氏:生物多様性の保全を、「ストック」を次世代に渡すための維持管理の枠組づくりとして、意識する必要がある。また、グローバル化と生活スタイルの変化により生物多様性の価値が分かりにくくなっており、意識的な対策が必要である。

吉田氏:「生物多様性」を行動に反映する人を増やすことが重要である。また、GBO3や生物多様性総合評価の結果を、それぞれのセクターでの対策に取り入れることが必要と考える。

藤田氏:企業の生物多様性に対する取り組みのいっそうの推進が必要である。一方で、このような取組みが生物多様性に与える影響の定量評価や、その枠組みづくりも必要になる。

パク氏:生物多様性を市場価格に反映させるための仕組みづくりが必要である。日本と開発途上国で生物多様性の状況が異なること、また貧困の問題にも留意する必要がある。

渡邉氏:生物多様性に関して日本で取り組むべき課題が明らかになった。また環境行政以外の分野での取り組みや、地域づくりの一環として取り組む必要性を認識した。

最後に、武内副学長より、生物多様性の問題については、生き物だけでなく、各地域において、それぞれ生き物と地域の人のつながりをとり戻すことが大事であること、生物多様性の議論は世界一律にできるものではなく、グローバルな取組みと、地域の取組みをいかに結びつけるかが鍵となる、とのまとめが述べられた。

(より詳細な内容については、右コラムの議事概要をご覧ください。)

満員のシンポジウム会場 パネルディスカッションで発言するGBO3科学審査パネル共同議長、A.H.Zakri氏

議事概要

議事概要 (詳細)

ダウンロード

議事及び会議資料

プログラム

ダウンロード

プレゼンテーション

The Global Biodiversity Outlook 3 and the Post-2010 Target

A.H. ザクリ (マレーシア政府科学顧問 / GBO3科学審査パネル共同議長) ダウンロード


『生物多様性総合評価:日本の生物多様性はいま-過去50年間の生物多様性の評価と求められる行動-』

中静 透 (東北大学大学院生命科学研究科教授 / 生物多様性総合評価検討委員会座長) ダウンロード


『COP10とその先に向けた日本の取組』

渡邉 綱男 (環境省大臣官房審議官) ダウンロード


『生物多様性の価値と評価問題』

植田 和弘 (京都大学大学院経済学研究科・地球環境学堂教授) ダウンロード


『ポストCOP10を見据えた市民社会の取組み』

吉田 正人 (国際自然保護連合日本委員会会長 / 生物多様性条約市民ネットワーク共同代表) ダウンロード


『私たちは今、何をすべきか? - 企業や市民、メデイアの視点から』

藤田 香 (日経BP社 環境経営フォーラム 生物多様性プロデューサー) ダウンロード