International Satoyama Intiative

SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)は、持続可能な社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)の価値を世界で広く認識してもらうことによって、その保全と再生を促進する取り組みです。

『チェブラーシカの森散歩』(生物多様性をテーマにしたショートストーリー)

提出機関: チェブラーシカ・プロジェクト
提出日: 03/04/2013
カテゴリー:
  • 凡例:森林
  • 凡例:草地
地区: ---
国名: ---
詳細地図: 詳細地図(Google map)
要旨: チェブラーシカ・プロジェクトは、ロシアの国民的キャラクター『チェブラーシカ』の権利管理(旧ソ連圏を除く全世界)を行う共同事業組合です。1969年より旧ソ連で制作されたチェブラーシカの短編アニメーション映画の中でも、森林伐採や水質汚染、密漁などの“環境問題”に関する問題が扱われています。映画監督を始めとする映画スタッフたちの意思を継ぎ、2011年よりチェブラーシカ・プロジェクトは環境問題に関する活動『ちいさくてもできること』を開始しました。まず生物多様性の啓蒙を目的とし、オリジナルストーリー『チェブラーシカの森散歩』を制作、公式ホームページ上で掲載しています。 チェブラーシカとゲーナが森にキノコ狩りに出かけ、キノコの多様性や、森と生きものの共生について学ぶお話です。
キーワード: 森、きのこ、生物多様性、共生、チェブラーシカ
著作者について: ---
関連リンク: チェブラーシカの森散歩
チェブラーシカの活動

チェブラーシカとゲーナはダーチャに来ています。

ダーチャというのは、野菜畑のあるもう1つのお家のことです。

ここでは野菜や果物の世話をしたり、近くの森でキノコや木苺を採ったり ジャム作りやお菓子作りをしたり、川で泳いだり読書をしたりして ゆったりとした時間を過ごします。

今日は天気がいいので、チェブラーシカとゲーナは野菜畑で玉ねぎの収穫中です。

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C:うーん……なかなか抜けないよ……わぁ!

G:チェブラーシカ、大丈夫かい?

C:うん、大丈夫。見てゲーナ、すごく大きい!

G:本当に大きな玉ねぎだ!きっと君が一生懸命お世話したからだね。

キノコと一緒に炒めてサワークリームをのせたら、とてもおいしいだろうね。

C:うん、おいしそう!

G:チェブラーシカ、散歩もかねて森にキノコ狩りへいってみようか。

 

チェブラーシカとゲーナは、森へでかけることにしました。

ダーチャの北側、白いバラが咲く花道を抜けると森への入り口があります。

花から花へマルハナバチが飛びうつる横を静かに通り過ぎて チェブラーシカとゲーナは森へ入っていきました。

 

ひんやりとしている森の小道を、チェブラーシカとゲーナが並んでやってきます。

G:チェブラーシカ、

キノコ狩りで大事なことを教えてあげよう。

C:大事なことって何?

G:1つは、急がずゆっくり歩くこと。注意深く探さないといけないからね。

もう1つは、自然と仲良くなること。森の香りや枯葉を踏んだ音なんかを感じて

森と友達になるんだ。そうすれば森がキノコを採れるようにしてくれるんだよ。

C:うん、わかった。あ、あったよ、キノコ。

G:えっ、どこだい?……ああ本当だ、それはハタケシメジだね。

森の小道や草が多いところに生えるキノコだよ。

でも、今日欲しいのはそのキノコじゃないから、また別の日に採りに来よう。

 

木の上でさえずるツグミの歌声ときれいな空気に包まれてチェブラーシカとゲーナは森の道を進みます。

 

 

小さな川のほとりにやってくると、ゲーナが立ち止まりました。

 

G:チェブラーシカ、この川を渡って近道しようか。

C:ゲーナ、ぼく泳げないよ。

G:泳げなくても大丈夫さ、そっちに丸太の橋があるからね。まずお手本に私が渡ろう。

 

ゆっくりと丸太の橋を渡り始めたゲーナですが 体がグラグラ揺れて今にも落ちそうです。

 

G:チェブラーシカ……もしかすると……悪い…手本に……なるかも……しれないっ!

 

ゲーナは川の中にドボンと落ちてしまいました。

チェブラーシカは心配そうに川を見ていましたが、ゲーナはワニなので泳ぎは得意

スイスイと泳いでチェブラーシカのところに戻ってきました。

ゲーナがジャケットを脱ぐと、1匹のカエルがチェブラーシカの前に飛び出ました。

 

G:いいことが3つあったよ。 1つは川がきれいだから濡れただけですんだ。

もう1つは、川の中で新しい友達に会えた。

C:こんにちは、カエルさん。

G:この川は工場の汚れた水なんかが流れてきていないから

川の中のみんなは気持ちよさそうに泳いでいたよ。

 

カエルは元気よくジャンプすると、川の中に戻っていきました。

C:またね、カエルさん。ゲーナ、もう1つのいいことってなあに?

G:あれだよ。ほら、丸太の下側を見てごらん。キノコが生えてるよ。

C:ほんとだ。でも、さっきのキノコと形が違う。

G:ああいう形のキノコもあるのさ。

あれはヒラタケといって、湿っぽいところの枯れ木に生えるんだ。

あの丸太の橋は苔も生えていて滑りやすいから近道は諦めて、

いつもの道をいくとしよう。

 

 

G:チェブラーシカ、少し風が湿っぽいだろう?

こういう湿気が多いところが好きなキノコもあるんだ。

C:ゲーナ、ここに白いキノコがあるよ。

G:よく見つけたね。これは……

 

ゲーナはキノコの図鑑を取り出してページをめくりました。

G:これはおそらくドクツルタケだね。ふむふむ……白くてかわいらしい形だけど、

とても危険な毒キノコだそうだ。“死の天使”なんて呼ばれているらしい。

これは採らないでおこう、チェブラーシカ……チェブラーシカ?どこだい?

 

ゲーナが周りを見回すと ルリイロトンボを追いかけて茂みに入っていくチェブラーシカの姿が目に入りました。ゲーナもあわてて後を追いかけます。

 

G:チェブラーシカ、そっちは湿地だからはまらないように気を付けて!

C:わぁ!ゲーナ、こっちこっち!

G:どうしたんだいチェブラーシカ……ああ……これは……

 

チェブラーシカとゲーナの目の前に広がる湿地の上には

きれいな青色をしたルリイロトンボがたくさん飛んでいました。

 

C:ゲーナ、きれいだね。

G:ああ、とってもきれいだ……まるで絵の中に入り込んだ気分だよ……。

しばらく景色を眺めた後、ルリイトトンボに見送られて

チェブラーシカとゲーナは森の奥に向かいました。

 

チェブラーシカとゲーナは、森の奥にたどり着きました。

 

G:チェブラーシカ、ごらん!

C:わぁ、こんなにいっぱいのキノコ、ぼく、はじめて見たよ!

G:ここみたいな、日陰で湿ったところにキノコは生えやすいんだ

C:この赤いキノコ、きれいだね。

G:それはベニテングダケ。“幸運のキノコ”とも呼ばれているんだよ。

チェブラーシカ、君に何かいいことがあるのかもしれないね

C:じゃあ採って帰って、みんなにもわけてあげようよ。

G:うーん……残念だけど、ベニテングダケには毒があるんだ。

今日は……えーっと……あった、この茶色いキノコを集めてくれるかい。

ヤマドリタケというキノコでとてもおいしいから、みんな喜んでくれるよ。

C:うん、わかった。

 

チェブラーシカとゲーナは、キノコをかごに入れ始めました。

チェブラーシカは突然キノコを採る手をとめて、1つ1つキノコを見比べています。

C:ゲーナ、今日たくさんのキノコをみたけど、同じキノコなのにみんな違うんだね。

G:ああ、柄が細かったり、傘が大きかったり、色や形もいろんなのがあったね。

C:このキノコ、傘がすごく大きいよ。

ゲーナは体が大きいから、この大きいキノコあげるね。

G:ありがとう。よし、これくらいで十分かな。

C:ゲーナ、キノコはまだたくさんあるよ?

G:チェブラーシカ、今日の私たちの夕食にはこれで十分だ。

もし私たちが全部のキノコをとってしまったら

他のみんながキノコのソテーを食べられなくなってしまうだろう?

それに、ここにキノコが生えなくなったら

私たちも食べられなくなってしまうかもしれないからね。

C:キノコ、なくなっちゃうの?

G:そうならないように、今日必要な分だけ、にしておこう。

C:うん。

G:じゃあダーチャに戻って夕飯を作ろうか。チェブラーシカ、手伝ってくれるかい?

C:うん!ぼく、玉ねぎの皮をむくよ。ゲーナは玉ねぎを切ってね。

G:ああ……川遊び用のゴーグルが必要だな。

C:どうして?

G:チェブラーシカ、玉ねぎを切るとね、なぜだか涙が出るんだ。

前にシチューを作った時の話なんだが…………

 

チェブラーシカとゲーナは手をつないで、静かな森の道を帰っていきました。

 

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