International Satoyama Intiative

SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)は、持続可能な社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)の価値を世界で広く認識してもらうことによって、その保全と再生を促進する取り組みです。

第2回浦戸語り場開催

2013 年4月14日、東北大学と国連大学高等研究所は、浦戸諸島(宮城県塩竃市)におけるグリーン復興プロジェクトの一環として、昨年8月に開催された『第1回浦戸語り場』に続き『第2回浦戸語り場』を開催しました。今 回の語り場開催にあたっては、山形大学福島研究室、浦戸復興連絡協議会、公益財団法人日本離島センター、一般社団法人e-frontなどの関係者をはじ め、環境省、CEPAジャパン、東京大学、金沢大学をはじめとするIPSIメンバー団体ご協力を頂きました。当日は40名近い島民の方を含む80名以上の ご参加を頂き、浦戸諸島における持続可能な島づくりに向けた今後の具体的なアクションについて、和やかな雰囲気の中で活発な意見が交わされました。

第 1部の冒頭、主催者を代表して、東北大学の河田雅圭教授よりこれまでの活動の振り返りがありました。振り返りでは、第1回目の語り場では、島民の皆さんに ①「島の良いところ」、②「不安なところ」、③「島の理想の未来」、④「理想の実現のために自分ができる小さなこと」の4つのテーマを題材に浦戸諸島の将 来について意見交換を行っていただいたこと、話題提供で取り上げられた島根県隠岐郡海士町のまちづくりの取り組みが参加者の皆さんの心に残り、2013年 3月に山形大学、塩竃市主催で島の代表者による海士町視察が実現したこと、そして、以前は個々に活動していた多様なステークホルダーによる協力体制が構築 されながら第2回語り場の開催に至ったことなど、一つ一つの活動が着実に実を結んでいることが紹介されました。

次に、山形大学の福島真司教 授より、海士町視察の報告及び同町の地域再生戦略についてご説明頂いた後、塩竃市市民総務部政策課の阿部徳和課長より、行政の視点から海士町視察も踏まえ ての今後の浦戸諸島における政策方針をお話頂きました。視察に参加された各島及び漁協の代表者の方々からも視察を終えての率直な感想を頂き、「海士町はす ごかった!」という意見が聞かれる一方、「浦戸も負けてねえ」と島の再生に向けた前向きな声も多く聞かれました。

続いて、対馬市島おこし協 働隊で生物多様性保全を担当されている木村幹子さんより、対馬のいわゆる限界集落において、耕作放棄地の再生や環境に配慮した空き家の活用などを通じた地 域おこしの取り組みについてお話を頂き、浦戸の皆さんも頷きながら話を聞いていらっしゃいました。

第2部では、島民の方々からの信頼も厚い 福島教授のファシリテートのもと、少人数のグループに分かれワークショップ形式で意見交換が行われました。第2部では、地域再生に向けて浦戸諸島で取り組 んでいくべき以下の3つの課題について、①1人でできること、②10人でできること、③100人(島全体)でできることをそれぞれ話し合いました。

1) 人口減を食い止める。

2) 島外から来る人を受け入れる仕組みを作る。

3) 浦戸に住み続ける環境の整備。

年 齢もバックグラウンドも様々なグループで、浦戸の皆さんも今回島民の方々と初対面の皆さんも一緒になって、熱い討論が繰り広げられました。特に、浦戸の人 と自然(ソーシャル/ナチュラルキャピタル)を活かして交流人口を増やし、島を元気にしていくための様々なアイディアが出されました。

1) 『人口減を食い止める』

1人でできること

島の自然資源の案内、水産物の売り方を工夫する(収入増)、島に住み続ける、仕事を続ける、畑を作る、健康でいる 等

10人でできること

特 産物加工における六次産業化、ブランド化(高収入化)、婚活による人口増、小中学生に対する島育、空き家活用、ホームステイ、家庭訪問、島留学、皆に声を かける、住民経営の民宿、共同の宿の経営、島の朝市、島の学校のアピール、小学生の交換留学、日帰り牡蠣クルーズ、小さい船(コミュニティバスのような) の運営、若い人が働ける場をつくる 等

100人でできること

人口維持のため職を作る、小中学生に対する島育、林間学校、レジャー施設、観光客の受け入れ、地場産業が継続できる環境づくり 等

2) 『島外から来る人を受け入れる仕組みを作る』

1人でできること

牡 蠣養殖で人を雇う、定住希望者に対する世話、民泊支援、基幹産業の販路拡大、I・Uターン者への生活支援、物々交換、農作物の生産、アルバイトの仕事を作 る、市長への嘆願(住環境整備)、ワカメ・昆布養殖業の確立と加工・販売、カキの販売所、お試し暮らし体験、昔の暮らしの伝承、あさり掻きを教える、ボラ ンティアへの食事の提供、牡蠣むきを教える、海苔の作業を教える、方言を教える、自然を伝える 等

10人でできること

ト レーラーハウス設置、起業家の受け入れ(販路拡大)、特産物直販、市場の開催(島ごとの特産物)、島民の「物語」を形に、生活の知恵の伝承、震災時の経験 の伝承、本を書いて売る、若者の働ける場づくり、浦戸のお土産店(「島の駅」)をつくる、牡蠣レストランをつくる、島の案内人を育成する、島外の若者誘 致、体験型観光の際の牡蠣漁師の人集め、本土で仕事が可能にするための船の増便、宣伝・広告、アクセサリー(お土産)を作る、海苔・牡蠣の佃煮の商品化、 牡蠣むき等漁業のお手伝いが仕事になればよい、助成制度を形に出来る人材の受け入れ、漁のお手伝いなど仕事をコーディネートする人、若い人に牡蠣むきの技 術を教える 等

100人でできること

松島観光業界との連携、松島から観光客を引き込む、名物レストラン、商品を販売する場所、観光用の駐車場の設置、法律の改正(文化財保護法)、民間企業の誘致、船による移動販売、10億円産業を興す、人が住めるよう話し合う、住環境整備に係る調整区域の解除 等

3) 『浦戸に住み続ける環境の整備』

1人でできること

畑を作る(生きがい)、健康でいる、やる気を持つ、趣味を続ける、話をたくさんする、歩いて運動する、集会所で集まるきっかけ作り 等

10人でできること

お助け隊づくり(本土若者ボランティア)、高付加価値の商品を作る(各島の特産野菜など)、交流会の開催、投書箱を設ける、全体での楽しみを作る、島の暮らしなどについて本をつくる 等

100人でできること

交 通船の拡充、海上タクシーの復活(官民一体)、介護施設の設置、特養の開設(80歳以上)、集会所の設置、船の増便、医師の常駐、日用品を売る商店、子育 てしやすい環境づくり(子供預かり)、じじばば子育てコンシェルジュ、島外の子供を預かる、島で青空幼稚園、学習支援 等

三 陸復興国立公園創設の動きと合わせた「島の駅」構想をはじめ、第1回目の語り場のときに比べ、地域再生に向けたより前向きで具体的な案が多く出されまし た。参加した島民の方々からも、日頃なかなか口には出せない思いや考えをお互い伝えあうよい機会になったという声が聞かれました。本プロジェクトとして も、住民・行政・関係団体間との連携をさらに深めつつ、今回出されたアイディアを形にしながら、地域の自然や文化、生業を生かした里山里海コミュニティの 復興と再生を支援していきたいと考えています。また、プロジェクトの成果や生態系サービスに配慮したグリーン復興の意義・重要性について、今後開催される 国際会合等の場で、国内外に幅広く発信していく予定です。