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IPSIニュースレター2022年夏号は、キャリアアップやSEPLSプロジェクトの発展につながる機会が盛り沢山です。本号に掲載されている内容は以下の通りです。
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- NIPSI新規メンバー・新規IPSI協力活動
- 締め切り間近!SATOYAMA保全支援メカニズム(SDM)公募
- 生態系回復に関する無料講座
- アジア太平洋地域の農村持続可能性に関するフェローシップ(2022-23)
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本ニュースレターで配信を希望されるイベント情報や新しいケーススタディ・活動に関するニュースがあれば、IPSI事務局までご連絡ください。皆様からの情報提供をお待ちしております。
--IPSI 事務局
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新規IPSIメンバーの紹介
- 国際教養大学(Akita International University (AIU))、日本
- 中央大学理工学部人間総合理工学科(Department of Integrated Science and Engineering for Sustainable Societies, Faculty of Science and Engineering, Chuo University)、日本
- インターナショナル・ ランドコンサベーション・ネットワーク (International Land Conservation Network (ILCN))、アメリカ
- サンパウロ州観光局 (Secretariat for Infrastructure and Environment – Sao Paulo State Government (SIMA-SP))、ブラジル
- 桃園市(Taoyuan City Government)、台湾
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新規IPSI協力活動の紹介
IPSI運営委員会は、新たに3つの IPSI協力活動を承認し、IPSI協力活動は合計58件となりました。新規協力活動は次のとおりです。
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SATOYAMA保全支援メカニズム(SDM)
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Photo by Ollivier Girard/CIFOR
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SATOYAMA保全支援メカニズム(SDM)は、地球環境戦略研究機関(IGES)、環境省(MOEJ)、IPSI事務局を務める国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)が共同で運営するIPSI 協力活動 であり、IPSIメンバーのプロジェクトを支援するための資金調達メカニズムです。2030年に向けた世界の潮流を踏まえ、プロジェクトの実効性を高めるため、この度SDMの枠組を刷新しました。本年度は、5団体のプロジェクトに対して、1団体あたり最大20,000ドルの資金援助が行われます。
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- 資金・プロジェクト期間:最も大きな変更点は、 助成団体数とその金額です。IPSIメンバーからのご要望を反映し、各プロジェクトの助成金額は2倍となりました。プロジェクト期間は1年以内という条件になりました。
- 優先分野: ポスト2020生物多様性枠組 と連携し、「その他の効果的な地域をベースとする保全手段(OECMs)」の開発支援、ランドスケープ・シースケープの回復、先住民・地域コミュニティとの保全・協働、レジリエンス強化、持続可能な食料・原料の生産に取り組むプロジェクトが優先されます。
- ワークショップ: 助成金受領団体は、2つのオンライン・ワークショップ(発足ワークショップ、プロジェクト完了ワークショップ)に招待されます。発足ワークショップは、プロジェクト採択後に開催されます。本ワークショップでは、ネットワークを構築し、プロジェクト概要を共有する機会を提供します。全てのプロジェクトが完了に近づいたら、プロジェクト完了ワークショップに招待され、プロジェクトの結果、経験、教訓が共有されます。
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ご利用者の声
SDMの資金援助を受けたIPSIメンバーに、SDMがどのように役立ったか、プロジェクトはどのような成果を上げたのか、声を届けてもらいました。
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SDMの資金はプロジェクトにどのように役立ちましたか?
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- 「SDMの資金は、プロジェクト開発の重要な手段です。この資金はビクーニャ繊維を洗浄して紡ぎ、スカーフを織るために必要なコストと時間を詳細に調査するための原動力となりました。SDMが提供する資金活用の幅広さは、持続可能なプロジェクトの開発を可能にします。ほとんどの自然保護基金では、助成対象が厳しく制限されていますが、革新的かつ持続可能なプロジェクトの多くは、そういった基金では対象外となってしまいます。」
-ビクーニャとラクダと環境(VICAM) Bibiana Vila氏
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「SDMにより、3つのカヤの森の劣化した5ヘクタールの土地が回復し、12,500本の在来樹種の苗木が植え替えられました。プロジェクトにより、500人のコミュニティメンバーの能力を高め、質の高い苗木を育て、森林の回復・再生に取り組み、自然を基盤とした事業(エコツーリズム、かご細工、養蜂、伝統工芸品、商業用苗床)を成功させることが出来ました。」
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-ケニア森林研究所(KEFRI) Chemuku Wekesa氏
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「SDMは、啓発活動、現地でのワークショップ、農家の交流会などを通じて最も重要な、教育を支援しています。農家が集まることがなければ、考え方や優良事例を聞いて学び、交流することは難しいでしょう。」
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-地域企業開発研究所(CENDI) Dang To Kien 氏
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- 「SDMの資金は主にベニン南部のアグエゲス市において、SEPLSのコミュニティ管理技術に関する地域コミュニティの能力向上に役立っています。生物多様性とマングローブ生態系のより良い保全とコミュニティのモニタリングを促進します。」
-フランコフォンアフリカの友・ベナン(AMAF-BENIN) Fatai AINA 氏
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- 「プロジェクトの開始以来、毎年恒例だった山火事が、地域コミュニティとの様々な戦略的関与と、2つの消防ボランティアグループの結成、訓練、強化、個人用保護具の提供により、最小限に抑えられるようになりました。」
-農村開発促進組織(ARDO) Winifried Donkor 氏
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プロジェクトは、地域コミュニティと自然との間に健全な関係を構築することが出来ましたか?
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「私たちのプロジェクトは、地域コミュニティと自然の健全な関係を明らかに強化しました。チャクと呼ばれる野生動物から持続可能な方法で管理されたビクーニャ繊維を使用した衣料品製作の可能性が見いだされ、 地域開発の可能性の一部と実証・分析されました。」
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-ビクーニャとラクダと環境(VICAM)Bibiana Vila氏
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「はい、私たちのプロジェクトは地域コミュニティと自然の関係を強化しました。プロジェクトは、ラバイに生物文化遺産領域(BCHT)を設立し、ランドスケープをコミュニティ主導のプロセスで統合ランドスケープ管理アプローチシステムの下に置くことにつながりました。」
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-ケニア森林研究所(KEFRI)Chemuku Wekesa氏I
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- 「もちろん、その通りです。私たちのプロジェクトは、知識、能力向上、混合種農業の認識、統合農業など、地元の人々の利益向上につながりました。」
-地域企業開発研究所(CENDI)Dang To Kien氏
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「私たちのプロジェクトは、生物多様性とSEPLSの保全に有利な先住民や伝統的な慣習を奨励・強化し、地域コミュニティの環境意識を向上させました。地域コミュニティは、自分たちの地域の資源の保全にますます配慮するようになっています。」
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-フランコフォンアフリカの友・ベナン(AMAF-BENIN)Fatai AINA氏
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「プロジェクトの実施は、自然と人々の(緊張した)関係の解決に貢献しました。このプロジェクトの消火活動への貢献は、消火ボランティアの結成です。タフィ・マドールのコミュニティでは、抗火災ボランティアを中心に動員し、前例のない夜通しの消火活動に成功しました。」
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-農村開発促進組織(ARDO)Winifried Donkor氏
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人や生態系にどのような恩恵をもたらしてきましたか?
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「プナの人々は、感染しないように田舎に行き(そして、地域の不十分な医療施設の代わりに治療を施す人もいました)、互恵関係を再確立しました。」
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- ビクーニャとラクダと環境(VICAM)Bibiana Vila氏
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「育苗場が2ヵ所に設立され、カヤの森林内の劣化した場所の修復のために、在来樹種の高品質な苗を育てています。」
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-ケニア森林研究所(KEFRI)Chemuku Wekesa氏
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「混合種農業、動物や木との統合農業は、生態系にとってより機能的かつ補完的なサポートを提供します。農場を経済的、生態学的に持続可能なものにし、人間の健康も含めたシステムの構成要素間の機能を健全なものにする他の方法を示しています。気候の影響や病気の懸念から多くの困難が続いていますが、これらの農場は回復力を持ち続けています。」
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-地域企業開発研究所(CENDI)Dang To Kien氏
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「SDMの資金は、生物多様性やSEPLSに対する人為的圧力の軽減など、プロジェクトの目的と期待される成果の達成に役立っています。プロジェクトのおかげで、持続可能な家族農業に訓練と支援を施すことが出来、地域コミュニティの生計が持続的に維持されています。」
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-フランコフォンアフリカの友・ベナン(AMAF-BENIN)Fatai AINA氏
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「プロジェクト開始から1年半が経過し、農家がアグロフォレストリーや有機農法を取り入れることで、緑豊かな植生が見られるようになったのは喜ばしいことです。生物やげっ歯類が復活し、鳥は果物や種子を餌にするようになりました。」
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-農村開発促進組織(ARDO)Winifried Donkor氏
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英語、フランス語、スペイン語によるこの8週間のコースでは、天然資源と生物多様性を再生するための青写真を描くことから始めます。
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「AIRI 都市・農村持続可能性フェローシップ」 は、香港大学、清華大学、 国立政治大学、アジア工科大学院が共催する1年間のインキュベーション・プログラムです。本プログラムでは、アジア太平洋地域の都市と農村のつながりや農村部における持続可能性を担うチェンジフェローを目指す思想的指導者や優れた実践者の能力向上と関係構築を目的としています。
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HLPFサイドイベント、持続可能な復興に向けたSATOYAMAイニシアティブの役割に注目
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国連持続可能な開発目標に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)2022のサイドイベントでは、持続可能な開発目標(SDGs)の達成や新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックからの回復におけるSATOYAMAイニシアティブの役割を探りました。気候変動の課題に対する持続的な解決策を生み出し、ウェルビーイングを促進するためには、自然との調和に基づく統合的アプローチが必要です。本イベントの録画映像はこちらからご覧いただけます。
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気候変動とSDGsシナジー会議のサイドイベントで、生態系回復が自然基盤の解決策として注目される
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本イベントでは、生物多様性、気候変動、持続可能な開発といった地球規模の課題に対処するための自然を基盤とした解決策として、生態系の回復について議論されました。本イベントは、IPSI事務局を務めるUNU-IAS、国連食糧農業機関(FAO)、生物多様性条約事務局(CBD)が共催しました。本イベントの録画映像は こちらからご覧いただけます。
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Photo Credit: IISD/ENB–DiegoNoguera
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2022年7月9日、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)総会第9回会合において、「自然及びその便益に関する多様な価値の概念化に関する方法論的評価」に関する評価報告書が承認されました。本報告書では、自然の持つ多様な価値を無視し、短期的な利益や経済成長に重点を置いた政策がしばしば採択されている問題が指摘されています。
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The Routledge Handbook of Seascapes
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本書は、シースケープ・アプローチに関する世界各地の研究を集約し、全体像を示すはじめての書です。自然を文化、理論、政策、経営に結び付けた6つの章から構成されています。
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IPSI事務局メンバーが執筆した下記2つの章が含まれています。
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- 「Satoumi: prolonged interaction between human and nature」深町加津枝氏とIPSI事務局長、渡辺綱男氏の共著
- 「Traditional knowledge in the management of seascapes」UNU-IAS元リサーチフェロー、イヴォーン・ユー
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The Satoyama Initiative for urban-rural connectivity at the landscape scale
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本章は、元IPSI事務局メンバーのウィリアム・ダンバー氏、イヴォーン・ユー氏、UNU-IASのリサーチ・アソシエイトのフアン・パストール・イヴァールス氏が共同執筆しています。
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Health and landscape approaches: A comparative review of integrated approaches to health and landscape management
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本論文は、「Environmental Science & Policy 」誌に掲載されています。ワンヘルス、エコヘルス、プラネタリーヘルス(地球の健康)に関する文献のレビューを利用し、健康関連の課題の解決に役立つランドスケープ・アプローチを考察します。比較レビューでは、これらのアプローチに共通点(全体的なパラダイムなど)と相違点を示します。
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本論文は橋本禅氏とIPSI事務局メンバーの西麻衣子氏の共著です。2022年8月23日まで無料でアクセス可能です。
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SEPLSに関する最近の出版物があれば、是非お知らせください!
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Global Identification and Mapping of Socioecological Production Landscapes with the Satoyama Index
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The global map of the Satoyama Index values.
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IPSI新メンバーの国際教養大学のケーススタディをご紹介します。
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SEPLSに関する地理的情報の欠如は、政策やプログラムにおいて、それらの保全の可能性を無視する結果となっています。本ケーススタディでは、世界の土地利用データと既知のSELPSの2つのデータセットを用いて、多用途・文化的ランドスケープにおけるSEPLSを同定するための「さとやま指数」の世界的適用性を検証しました。
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その結果、生物多様性に着目して開発され、日本で検証された「さとやま指数」が、世界においても人と自然の複雑な関わりから生まれるランドスケープを特定出来ることが判明しました。SEPLSを世界の自然保護議論に関連づける「さとやま指数」のマッピングにより、約80%のSEPLSが、保護区や生物多様性重点地域といった既存の保全優先地域から外れていることが明らかになりました。SEPLSをOECMとして特定することは、SEPLSにより多くの保全上の関心を向けることにつながります。
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ニュースレターで配信を希望されるイベント等の情報がございましたら、IPSI事務局までご連絡ください。
また、日本語の記事をお送りいただければ日本語版ニュースレターに掲載いたします。
SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)事務局 国際連合大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)
東京都渋谷区神宮前5-53-70 電話:03-5467-1212(代表) E-mail: isi@unu.edu
連絡先やメールアドレスに変更があった場合は、事務局までお知らせください。 当ニュースレターの配信登録はこちら
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The activities of the IPSI Secretariat are made possible through the financial contribution of the Ministry of Environment, Government of Japan
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