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IPSIニュースレターが季刊になりました!
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2022年初頭から、IPSIニュースレターを段階的にリニューアルしてきましたが、今号より生物多様性、持続可能性、およびSEPLSに関する問題をIPSIメンバーやパートナーの知見を得て深く掘り下げ、季節ごとに独占インタビューや記事などを季刊ニュースレターとしてお届けします。
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月刊のミニ・ニュースレター「IPSI最新情報」では、イベントや締切に関する最新情報をお届けします。またIPSIの公式ソーシャルメディアアカウントも開設しました!
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本ニュースレターで配信を希望されるイベント情報や新しいケーススタディ、活動に関するニュースがあれば、IPSI事務局までご連絡ください。皆様からの情報提供をお待ちしております。
IPSI 事務局
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ポスト2020生物多様性枠組
2022年3月は、生物多様性にとって重要な月となりました。生物多様性条約(CBD)の、「ポスト2020生物多様性枠組(GBF)」を策定するための会議がスイス・ジュネーヴにて再開されました。本枠組は、2050年ビジョン「自然との共生」に向け、各国を導くための一連の原則が含まれており、来る生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で採択される予定です。
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IPSI事務局は、IPSIを代表して本会議に参加し、ランドスケープアプローチに焦点を当てた下記3つのサイドイベントを共催しました。
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特集:OECMsを機能させるために
今回のIPSIニュースレターでは、OECMsおよび、コンサベーション・インターナショナルとの共同プロジェクトについて特集し、OECMsの指定と管理に関するランドスケープアプローチの可能性を探り、推進していきたいと思います。
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OECMsとは何か?
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OECMsとは、other effective area-based conservation measures の略で、CBDでは「保護地域以外の地域をベースとする生物多様性保全手段」と定義しています。OECMsでは、人間による介入を禁止することなく、生物多様性が保護されています。実際、OECMsが多くの保護地域と異なるのは、常に責任ある人的介入があることです。OECMにおける人と自然の関係は、生物多様性と地域社会の両方が繁栄し、互いから利益を得ることを可能にしています。
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「ポスト2020生物多様性枠組(GBF)」の最終的な文言はまだ発表されていませんが、ターゲット3では、陸地と海域の30%を保護地域およびOECMsの保全システムを通じて確実に保全されるようにすることで、生物多様性への脅威を減らすことに焦点を当てています。
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この割合は、2030年までに地球上の陸地と海域の30%を保護地域に指定することを各国政府に求める「30 by 30」イニシアティブに由来しています。
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しかし、「30by30」イニシアティブは、どの地域が保全する価値があるのかについての指針に欠けていると批判を受けてきました。生産価値がほとんどない、あるいは全くないというだけで選出された、生物多様性の保全にとって重要ではない保護地域が多かったからです。
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コンサベーション・インターナショナルの報告書には、「IPLCの土地の大半は生態学的に良好な状態にあり」、そのランドスケープ管理が生物多様性の保全と一致しているため「気候変動の緩和に重要な役割を担っている」と述べられており、「OECMsはIPLCの土地の保全価値の認識を向上させる機会となる」ことを示唆しています。うまくいけば、OECMsは地域の生物多様性保全と持続可能性の実践を認める仕組みに成り得ます。より多くのコミュニティにOECMsを適用することを促しています。
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専門家の見識
コンサベーション・インターナショナルとUNU-IASの共同プロジェクト「OECMsを機能させる-効果的な地域ベースの保全のための生産ランドスケープ」
コンサベーション・インターナショナルとUNU-IAS(IPSI事務局)は、IPSIが推進するランドスケープアプローチが、OECMsに関する政策プロセスに貢献できる可能性を調査・促進するための新たなプロジェクトを開始しました。本プロジェクトは、SEPLSに関するIPSIの長年の経験に基づき、適切に管理されたランドスケープにおける持続可能な社会生態システムが、OECMsや広域ランドスケープ全体にどのような付加価値をもたらすかを示すために、IPSIメンバーと協力しながら様々な活動を進めています。
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背景として、OECMsという言葉は、CBDの愛知目標に遡りますが、締約国や運営組織は、どのような地域がOECMとして指定されるべきかを未だ正確に把握できていないことが挙げられます。コンサベーション・インターナショナルとUNU-IASは、CBD交渉におけるオブザーバーとしての立場や、主要な政策立案者や専門家との議論を通じて、このプロセスを注視してきました。
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本プロジェクトは、具体的な貢献をするために私たちの関与をさらに強めることを目的としています。最終的には、ランドスケープ・シースケープにおける持続可能性と回復力の向上、CBDの2050年ビジョン「自然との共生」、生物多様性や地球の持続可能性政策における生産的ランドスケープの重要性の認識という長期目標に向けて貢献することを目指しています。
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本プロジェクトの下で、多くの活動が計画中、もしくは、すでに進行中です。2022年2月には、「専門家対話」シリーズの初回がオンラインイベントして開催され(録画映像はこちら)、今後も同様のイベントが開催予定です。また、2022年3月にスイス・ジュネーヴで開催されたCBD会議にて、サイドイベントを開催しました。(詳細はこちらからご覧いただけます。)
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これらのイベントを通じて得られた知見やアイデアは、今後予定されているポリシーブリーフや学術論文などの研究成果に反映していきます。また、本プロジェクトでは、パートナー団体の「SEPLSにおけるレジリエンス指標」の経験を基にした指標ベースのツールの可能性についても検討しています。
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これまでのプロジェクト活動で得られた最も説得力のある知見は、「OECMsは従来の保護地域よりも人と自然の相互作用やガバナンス構造が多様なため、ランドスケープ全体の生物多様性に幅広いプラスの効果をもたらす可能性がある」というものです。同時に、既存の社会生態系が存在する地域であるため、公園のような新しいものを作ろうとするのではなく、そこに何があるのかを把握し、生物多様性保全にとって重要であると認識するプロセスの方が多くなっています。そうした認識があれば、このような地域が生物多様性の成果をさらに高めていくことが出来るでしょう。しかし、これは生態学的な懸念に加え、持続可能なサプライチェーンや権利・公平性の問題を考慮する必要があり、非常に複雑なプロセスです。
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IPSI メンバーおよび読者の皆様、専門家対話やその他のイベントへの参加、プロジェクトへの貢献、あるいは定期的に提供される最新情報を通じて、是非本プロジェクトにご参加ください。本プロジェクトの詳細情報や参加方法については、プロジェクト・マネージャーのウィリアム・ダンバー氏までお問合せください。 (wdunbar@conservation.org)
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「国際生物多様性の日2022」のテーマは、「すべてのいのちと共にある未来へ( Building a Shared Future for All Life )でした。
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2022年に開催予定の生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で採択されるポスト2020生物多様性枠組への機運を高め、支援を継続するために選ばれました。
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💚 今年の #生物多様性の日 は、私たちにすべてを与えてくれる地球に恩返しをしましょう 💚
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CBDは、5月22日の国際生物多様性の日にちなんだ「生物多様性(地球上の生命の基盤)のための22のアクション」を公開しています。生物多様性のための22のアクションで、どのように行動できるかを学びましょう。
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イベント報告
2022年5月20日、UNU-IASは、国際生物多様性の日2022を記念したオンラインシンポジウムを開催しました。本シンポジウムでは、国内外の動向を共有し、地域の取組をいかに促し、国際的な政策課題と結びつけるかを議論しました。生物多様性の保全や生態系の再生に取組むユースの活動事例や、地域社会における取組の成果についても紹介しました。
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Photo by A Rocha Ghana
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IPSIメンバーのア・ロシャ・ガーナのジャックリーン・エンバワイン氏(モニタリング、評価、報告部長)がパネリストとして参加し、生態系の回復に関する彼女の経験について、「Community-Led Woodland Restoration for Livelihoods and Sustainable Wood Fuel Utilization in the Mole Ecological Landscape」と題した発表を行いました。
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本シンポジウムは、2030生物多様性枠組実現日本会議(J-GBF)の後援の下、UNU-IAS、環境省、地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)が共催しました。
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本イベントの録画画像はこちらからご覧いただけます。
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ユネスコのマハトマ・ガンジー平和と持続可能な開発のための教育研究所(UNESCO MGIEP)が発刊する雑誌「The Blue Dot」の最新号「Humans and Nature: Exploring Relationships」を是非ご覧ください。特に畠山重篤氏による序文は必見です!本書では、自然を単なる人間の繁栄のための道具として見るべきではない理由と、どうすればよいかを示す物語、研究、行動を紹介しています。
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私たちの「心」に自然を取り戻し、共感、思いやり、愛というレンズを通して、自然との感情的な関係を発見しましょう。そうすればきっと私たちが故郷と呼ぶこのBlue Dot(青い点)で、平和で持続可能な社会を築くことが出来るようになるはずです。
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畠山重篤氏は、NPO法人 森は海の恋人(森と海と人の自然なエコロジカルリンクを推進する日本の団体)の理事長です。
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ランドスケープアプローチをNBSAPsに組み込むためのマニュアル案に関するワークショップを開催
2022年4月26日、UNU-IASは、生物多様性国家戦略及び行動計画(NBSAPs)にランドスケープアプローチを組み込む際の指針となる、政策立案者向けのマニュアル案について意見を求める2つのオンラインワークショップを開催しました。本イベントには、生物多様性条約(CBD)締約国や関係団体が参加し、マニュアル案がより実用的なものとなるよう、多くのコメントや提案が寄せられました。本マニュアルは、CBD事務局の支援の下、UNU-IASと地球環境戦略研究機関(IGES)が共同で作成しています。
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2016年以来、UNU-IASはCBDの実施枠組の主要な構成要素であるNBSAPsに対するランドスケープアプローチの関連性・適用性に関する研究からなる一連のIPSI協力活動を率いてきました。本プロジェクトの詳細はこちらをご参照ください
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ウェビナー「SEPLSにおける生物多様性、健康、ウェルビーイングの相互関係の強化」開催
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2022年4月27日、UNU-IASは社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)における社会的および経済的推進力の理解に焦点を当て、生物多様性と健康、そして人間の幸福(ウェルビーイング)との関連性について議論するオンラインセミナーを開催しました。
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また、SEPLSに対するCOVID-19パンデミックの影響を理解し、回復力を強化するために、2021年にIPSIメンバーを対象に実施した調査の結果を発表しました。
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ケニアにおける伝統食品に関する優良保護実践事例
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- 「The African leafy vegetables and traditional foods diversification activities」 (1996-2011年) 伝統食品の一覧表を作成し、約850種の在来植物を記録しました。
- 「The Safeguarding the traditional foodways of two communities in Kenya」 (2009-2012年) 伝統的な食文化を特定し、一覧表を作成するパイロットプロジェクトが実施されました。本調査は、UNESCOがケニア文化省、バイオバーシティ・インターナショナル、ケニア国立博物館の協力のもと、地域のリーダーや小学生と協議しながら実施されました。
本プロジェクトは、今夏に出版予定のSATOYAMAイニシアティブ主題レビュー第7巻に掲載されます。
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UNU-IAS 元研究員イヴォーン・ユーからのメッセージ
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約10年にわたるUNU-IASでの勤務を終え、2022年5月からは新たなキャリアに踏み出すことになりました。2017年末にIPSI事務局に参加して以来、沢山の温情、支援、友情をお寄せ頂き、ありがとうございました。石川県や熊本県で開催されたIPSI会議、SITR-4やSITR-5の執筆者ワークショップ、NBSAPプロジェクトの協議ワークショップ、COP13 (メキシコ・カンクンで開催) やCOP14(エジプト・シェルムエルシェイクで開催)におけるIPSIイベント、その他IPSIメンバーが主催する会議・イベントで皆さんと交流したことを懐かしく思い出します。
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生物多様性に対する皆さんの情熱と、SEPLSコミュニティの豊かな経験は、私に大きな刺激となり、今年7月のIPBES総会で発表されるIPBES多様な価値観評価に、IPBESフェローとして参加するなど、生物多様性保全のためのグローバルな研究へのモチベーションを与えてくれました。生物多様性保全の素晴らしさと価値を教えてくれた皆さんには、感謝してもしきれません。これからも私はより良い地球をつくるための旅を続けていきますし、自然と調和した社会の実現に精進していきます。またお会いしましょう!ありがとうございました。 イヴォーン・ユー
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GIAHS Monitoring and Evaluation Manual: A Technical Reference
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Engaging Communities for biodiversity Conservation: Education for Sustainable Development Projects from the Global RCE Network
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UNU-IAS は「持続可能な開発のための教育に関する地域の拠点(RCE)」が2015年から2019年の「ESDに関するグローバル・アクション・プログラム(GAP)」実施中に開発した12の革新的な生物多様性教育プロジェクトを取り上げた報告書「Engaging Communities for biodiversity Conservation: Education for Sustainable Development Projects from the Global RCE Network」を出版しました。
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各プロジェクトでは、地域の生物多様性の問題や課題に直面したRCEが、地域の状況や地域における教育を通じて行動を起こすための革新的な方法をどのように開発し、正規の教育と非正規の教育の橋渡しをしたか、これらの教育を世界の他の地域にどのように広めていくかを検討しています。
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各プロジェクトはSDGs目標14(海の豊かさを守ろう)またはSDGs目標15(陸の豊かさも守ろう)に焦点を当て、生態系、種、生育地の保護と回復に向けたコミュニティの教育、関与、行動の促進に貢献しました。本書の詳細はこちらからご覧いただけます。
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本ニュースレターで配信を希望されるイベント等の情報がございましたら、IPSI事務局までご連絡ください。
また、日本語の記事をお送りいただければ日本語版ニュースレターに掲載いたします。
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SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)事務局 国際連合大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)
東京都渋谷区神宮前5-53-70 電話:03-5467-1212(代表) E-mail: isi@unu.edu
連絡先やメールアドレスに変更があった場合は、事務局までお知らせください。 □当ニュースレターの配信登録はこちら
*SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)は、日本国環境省の支援により運営されています。
Cover photo from Pexels
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The activities of the IPSI Secretariat are made possible through the financial contribution of the Ministry of Environment, Government of Japan
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