International Satoyama Intiative

SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)は、持続可能な社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)の価値を世界で広く認識してもらうことによって、その保全と再生を促進する取り組みです。

福井県若狭町の社会生態学的生産ランドスケープに関する活動の概要

提出機関: 若狭町
提出日: 08/04/2014
カテゴリー:
地区: 福井県
国名: 日本
詳細地図: 詳細地図(Google map)
要旨: 若狭町では、次世代への恵み豊かな環境の継承、住民の参加協働による取り組みを推進し、環境保全を基本にしたまちづくりを進めています。
キーワード: 環境保全、自然再生、三方五湖、年縞
著作者について: 若狭町
関連リンク: http://www.town.fukui-wakasa.lg.jp/

1. 本ケーススタディの活動の目的

生活様式の変化により、自然との関わりが少なくなる中、あらためて先人の工夫や知恵に学び、三方五湖や北川などの豊かな自然、里山を保全することにより、その資源を生かし持続的な環境を構築し、循環と共生のまちを実現するため。

2. ケーススタディ場所の特徴

三方五湖 舟小屋 梅の花

若狭町は、福井県の南西部にあり人口16,099人(平成22年国勢調査)、面積178.65k㎡の町です。平成17年3月31日に「三方郡三方町」と「遠敷郡上中町」が合併し、「三方上中郡若狭町」が誕生しました。

若狭湾国定公園の中心部にあって、国際的に重要な湿地を保全するラムサール条約に登録された「三方五湖」、全国名水百選「瓜割の滝」、近畿一美しい川とされる1級河川「北川」など水資源が豊富な町です。

この地の歴史は1万年以上昔の縄文時代にまでさかのぼり、「縄文遺跡」や「古墳」が数多く点在しています。

また、福井梅発祥の地でもあり、ウメやナシなどの果物栽培が盛んなほか、民宿や旅館が120軒以上あり、観光にも力を入れています。

三方五湖の一つの水月湖の底には7万年の歳月をかけて堆積物が積み重なった「年縞」と呼ばれる縞模様が形成されており、7万年もの連続した年縞とその研究成果は、国内外から注目されています。

■ 若狭町環境宣言(2006年3月制定)

私たちの若狭町は、ラムサール条約登録湿地「三方五湖」や、母なる海「日本海」、聖なる水「瓜割の滝」、近畿一美しい「北川」などをあわせもつ「水の町」です。

瓜割の滝

その清らかな水の根源には、三十三間山をはじめとする緑豊かな大地があります。

縄文の時代から続くこの貴い自然の恵みの中で、私たちは森羅万象すべての生き物とともに暮らし、互いに調和し生命を育んできました。

清らかな水と緑豊かな大地が、長年語りかけてきた「共生」と「循環」の理-海とともに夏に輝き、山とともに実りの秋を迎え、種とともに冬を越え、梅の花とともに春に舞う-を、どんなに便利で豊かな生活になっても、私たちは決して忘れてはなりません。

互いのきずなを強め、若狭の自然と環境を守ることは、唯一この町の未来を託された私たちだけに果たせる使命です。私たちは、このことを自覚し、自然を愛し、緑を育て、すべてのものとともに歩み続けることを、ここに宣言します。

3. ケーススタディの活動

3.1 里地里山の保全活動

里地里山、湿地帯の保全活動の推進として、福井県、若狭町、地元環境保全団体の3者による生物多様性保全協定を締結し、保全活動団体を支援しています。

環境保全団体による環境学習などのイベントが開催されています。

■ 保全協定を結んでいる湿地帯でのイベントとして

・外来生物のウシガエル駆除のイベントを実施

・湿地帯の一部において復田作業をし、田植え、稲刈りなどのイベントを実施

・地元住民、小学生を対象とした生き物観察会の実施

ダルマガエル、ホトケドジョウ、メダカなど、多数の絶滅危惧種が継続して生息している様子が確認できました。

3.2 環境パートナーシップ組織

町内の各種団体で組織する若狭町環境パートナーシップ会議を設立し、町の環境基本計画の推進をしており、今後は構成団体による啓発活動を予定しています。

3.3 三方五湖自然再生の取組

三方五湖は、若狭町および隣町の美浜町にまたがる5つの湖の総称です。三方五湖は文字通り、5つの湖から構成されており、それぞれの湖で塩分濃度が異なることから、生息する生物も湖により異なるなど、多様な生き物を育む変化に富んだ湖水環境です。なかでも、ハス、イチモンジタナゴ、タモロコなどの貴重な魚類の存在は、ラムサール条約登録のより所となりました。

たたき網漁 三方湖

一方で、現在の三方五湖は、水質汚濁が進み、湖岸では魚類など多様な生き物のすみかとなる植生帯は激減し、さらには、オオクチバスやブルーギルなどの外来生物の増加が目立つようになりました。在来の生物が減少し、かつて豊かだった三方五湖の自然環境は、急速に損なわれつつあります。

若狭町は、三方五湖自然再生協議会へ参画し、その取組の1つとして「田んぼと湖のつながり」が特徴的なこの地域において、生物的なつながり、人と自然とのつながり、人と人とのつながりを再生する取組みをしています。取組内容として、水田魚道設置、田んぼでの稚魚育成の研究により在来魚類の田んぼでの再生産を進めています。今後、田んぼでの稚魚育成マニュアルを作成する計画です。

3.4 外来植物の駆除

若狭町内では、外来植物セイタカアワダチソウおよびオオキンケイギクの繁殖が目立ってきており、在来植物への影響や農村景観が損なわれる心配があります。

町では各集落への駆除の呼びかけにより、各地域で刈取りによる駆除作業が実施され住民の外来植物駆除への関心が高まってきています。

3.5 自然再生エネルギーの活用と検討

木質バイオマスの活用として公共施設へペレットストーブを導入しており、町内で発生した建築廃材を原料とした木質ペレット燃料の製造と供給をしています。今後も町内における自然再生可能エネルギーの可能性の検討を進めます。

3.6 環境教育

・資源循環学習

中学校における木質バイオマス利活用研修、ペレット燃料製造所の見学や小学校における廃油石けんづくり学習により環境保全や資源循環への関心が高まることが期待されます。

4. 最後に

三方五湖およびその周辺での自然再生の取組は、始まったばかりです。

田んぼで稚魚を育て放流する取組みや、自然にやさしい農法の研究などを進めております。今後も取組状況、成果の報告をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

三方五湖 夕日